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14−24 エルウィンの気持ち
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「少し、外で話さないか?」
エルウィンは周囲をチラリと見ながらアリアドネに尋ねた。
「え?は、はい」
素直に頷くアリアドネ。
一方、驚いたのはカインの方だった。
(え?この寒空の下で……?)
カインはエルウィンの提案にギョッとしたが、自分には関係が無いので何も言えなかった。
「では……お気をつけて行ってらっしゃいませ」
「ああ」
頭を下げるカインにエルウィンは返事をすると、アリアドネに向き直った。
「では行こうか、アリアドネ」
「はい、エルウィン様」
そして2人は騎士達が見守る中、ダイニングルームを出て行った。
「お、おい。エルウィン様‥‥…随分思いつめた顔をしていらしたぞ?」
「そうだな。ただ事では無い雰囲気だった」
「一体どんな話をするつもりなのだろう?」
(アリアドネ様……)
騎士達が騒めく中、カインは心配そうに2人の去って行く後姿を見つめていた……。
****
エルウィンはアリアドネを連れて、離宮の中庭へとやってきた。
庭には円形の噴水が設置され、水を噴き上げている。
「美しい星空ですね」
アリアドネは白い息を吐きながら夜空を見上げた。
「……そうだな」
エルウィンはアリアドネに背を向けたまま、返事をする。
(エルウィン様……)
先程からエルウィンの様子がおかしいことにアリアドネは気付いていた。
何処か苛立ちを込めたその姿に戸惑いを感じずにはいられなかった。
「あの、エルウィン様……。私、何かお気に触ることをしてしまったでしょうか……?」
意を決してアリアドネはエルウィンに尋ねた。
すると……。
「何故だ?」
エルウィンは背中を向けたままアリアドネに尋ねた。
「え?」
何のことか分からずにアリアドネは首を傾げた。
すると今まで背中を向けていたエルウィンが振り向いた。その表情は酷く切羽詰まって見えた。
「アリアドネ。お前は離宮にいたメイド達に嫌がらせを受けていたのだろう?それで晩餐会に出席せず、酷い待遇迄受けていたそうじゃないか?何故そのことを黙っていたのだ?」
「そ、それは……彼女達の話していることは尤もだと……思ったので……」
アリアドネは俯きながら答えた。
「話していること?ひょっとして妾腹の娘だからと馬鹿にされたことがか?」
「!」
その言葉にアリアドネは驚いて顔を上げた。
「確かに、俺もお前と初めて会った時……心無い言葉をぶつけてしまった。お前には何の罪も無いのに……。ただでさえアリアドネは酷い環境で育ってきていたのに、最低な対応を取ってしまった。俺は今……凄く反省している。お前は働き者だし、気立てもいい。だからこそお前を虐げようとする者達が憎くて溜まらないんだ……!」
エルウィンは吐き捨てるように語気を荒げた。
「エ、エルウィン様……」
アリアドネはエルウィンの態度に戸惑っていた。すると次にエルウィンは驚きの言葉を口にした。
「ステニウス伯爵が城に来ている。夫人と共にな」
「え……?!」
その言葉に、アリアドネは目を見開いた――。
エルウィンは周囲をチラリと見ながらアリアドネに尋ねた。
「え?は、はい」
素直に頷くアリアドネ。
一方、驚いたのはカインの方だった。
(え?この寒空の下で……?)
カインはエルウィンの提案にギョッとしたが、自分には関係が無いので何も言えなかった。
「では……お気をつけて行ってらっしゃいませ」
「ああ」
頭を下げるカインにエルウィンは返事をすると、アリアドネに向き直った。
「では行こうか、アリアドネ」
「はい、エルウィン様」
そして2人は騎士達が見守る中、ダイニングルームを出て行った。
「お、おい。エルウィン様‥‥…随分思いつめた顔をしていらしたぞ?」
「そうだな。ただ事では無い雰囲気だった」
「一体どんな話をするつもりなのだろう?」
(アリアドネ様……)
騎士達が騒めく中、カインは心配そうに2人の去って行く後姿を見つめていた……。
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エルウィンはアリアドネを連れて、離宮の中庭へとやってきた。
庭には円形の噴水が設置され、水を噴き上げている。
「美しい星空ですね」
アリアドネは白い息を吐きながら夜空を見上げた。
「……そうだな」
エルウィンはアリアドネに背を向けたまま、返事をする。
(エルウィン様……)
先程からエルウィンの様子がおかしいことにアリアドネは気付いていた。
何処か苛立ちを込めたその姿に戸惑いを感じずにはいられなかった。
「あの、エルウィン様……。私、何かお気に触ることをしてしまったでしょうか……?」
意を決してアリアドネはエルウィンに尋ねた。
すると……。
「何故だ?」
エルウィンは背中を向けたままアリアドネに尋ねた。
「え?」
何のことか分からずにアリアドネは首を傾げた。
すると今まで背中を向けていたエルウィンが振り向いた。その表情は酷く切羽詰まって見えた。
「アリアドネ。お前は離宮にいたメイド達に嫌がらせを受けていたのだろう?それで晩餐会に出席せず、酷い待遇迄受けていたそうじゃないか?何故そのことを黙っていたのだ?」
「そ、それは……彼女達の話していることは尤もだと……思ったので……」
アリアドネは俯きながら答えた。
「話していること?ひょっとして妾腹の娘だからと馬鹿にされたことがか?」
「!」
その言葉にアリアドネは驚いて顔を上げた。
「確かに、俺もお前と初めて会った時……心無い言葉をぶつけてしまった。お前には何の罪も無いのに……。ただでさえアリアドネは酷い環境で育ってきていたのに、最低な対応を取ってしまった。俺は今……凄く反省している。お前は働き者だし、気立てもいい。だからこそお前を虐げようとする者達が憎くて溜まらないんだ……!」
エルウィンは吐き捨てるように語気を荒げた。
「エ、エルウィン様……」
アリアドネはエルウィンの態度に戸惑っていた。すると次にエルウィンは驚きの言葉を口にした。
「ステニウス伯爵が城に来ている。夫人と共にな」
「え……?!」
その言葉に、アリアドネは目を見開いた――。
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