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1話
しおりを挟む私の婚約者だったモイールは、ある時たまたま妹を見て、その瞬間恋に落ちてしまった。
「妹さん、とっても綺麗だったな……」
その日彼はそんなことを呟いていて。
些細なことではあるけれど少しばかり気になる部分もあった。
何となくだが嫌な予感がしたのだ。
とはいえ、妹を褒めてくれている程度ではこちらからは何も言えず。気にし過ぎかな、と思ってごまかすことしか、その時の私にはできなかった。まだ何かが起こったわけでもないのにあれこれ口出しをするのも変だし。
だがその時は想像以上に早くやって来て。
「俺、お前との婚約は破棄するよ」
「え……」
「それでさ、妹さんと結婚することにしたんだ」
モイールは驚きの早さで妹とできていた。
「だからお前とはおしまいにする、分かってくれ、俺は彼女に惚れてるんだよ。てことで、ばいばい。永遠に……さよなら」
こうして私は一方的に切り捨てられてしまったのだった。
モイールは躊躇いなく妹を選んだ。それは私にとってとても辛いことだった。
悲しくて、息もできない――そんな日が続いたほど。
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