不良品の妻と呼ばれたので、子どもを連れて離婚します〜母に押しつけられた結婚から、初恋の人と人生を取り戻す〜

毒親の母に育てられ、「我慢しなさい」と言われ続けてきた女、鵲森夕玻。

学生時代、両親の離婚で突然転校させられ、初恋の少年とも何も言えないまま引き離された。大人になった夕玻は、母に強く押し切られる形で、地元では名の通った鳩羽家の長男・鳩羽鏡哉と結婚する。

「この縁談を逃したら、あんたなんか誰ももらってくれない」
「女は結婚したら嫁ぎ先に尽くすもの」
「あんたが我慢すれば、全部うまくいく」

そう言われ、逆らえなかった。

結婚して五年。
夕玻は総合病院の医療事務としてフルタイムで働きながら、足の悪い姑と心臓病を抱えた舅の世話をし、二人の子どもを育てている。

夫の鏡哉は夕玻より稼ぎがいい。
けれど朝は夕玻より遅く起き、夕方は夕玻より早く帰る。
それでも家事も育児も介護も一切しない。

「俺の方が稼いでるんだから、家のことはお前がやれ」
「お前の仕事なんて補助みたいなもんだろ」
「嫁なら当然だろ」

掃除は埃ひとつ許されず、食器に水滴ひとつ残れば罵られる。茶の温度が気に入らなければ腕にかけられ、料理は皿ごと床に落とされる。仕事で疲れて帰っても、熱があっても、子どもの世話も介護も家事もすべて夕玻一人。舅からの卑劣な接触も、夫の暴力も、姑と義姉は「嫁なら我慢しろ」と笑った。

夫は浮気相手を家に連れ込み、子どもたちまで連れて遊びに行く。
その女は子どもたちに笑って言う。

「未来のママって呼んでもいいんだよ」

夕玻は壊れていく。
それでも子どもたちのために死ねない。

そんな日々の中、夕玻は勤務先の病院で、学生時代に別れた初恋の人、雨品律臣と再会する。
彼は今、離婚・親権・DV案件を扱う弁護士になっていた。

「それは夫婦喧嘩ではありません。暴力です」

その言葉が、夕玻の中で凍っていたものを割る。

五年間の家計簿。
介護記録。
診断書。
勤務記録。
録音。
不倫の証拠。
子どもの怯えた絵。
娘が危険な状態で放置された日の記録。

夕玻は律臣に惹かれていく。
けれど、まだ自分は既婚者だ。

一線は越えない。
告白もしない。
触れることさえ、必要な時だけ。

それでも心だけは、どうしようもなく彼の言葉に救われていく。

不良品の妻と呼ばれた女は、子どもの手を握り、自分を壊した家から出ていく。
夫にも、義実家にも、自分を売った母にも、もう戻らない。
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