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終章 エルネスティーネ、彼女の選んだ決断と未来
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しおりを挟む「王陛下並びに王妃陛下にお願いがあります」
「な、何を他人行儀な⁉」
「そうよ何時も話している通りエルは私達の大切な娘……」
「陛下、エルは私の娘に御座います」
「ええいお前は何時も煩い!! いいだろうが!! 少しは娘のいないわし達にもエルを分けてくれ!!」
「いや陛下、抑々エルを分けるって考えがと言うかだ。お前の頭は当に虫が湧いているのかレオン!!」
いや、お父様ってばそこで王陛下の胸倉を掴んでどうするのよ。
「煩い煩い煩いぞ!! お前は学生時代から少しも変わらんぞユリアン」
陛下も負けじとお父様の胸倉を掴んでいるって言うかよ。
今それをする必要が何処にある。
人が折角一大決心をしたと言うのにこれは余りに――――⁉
ごっきぃぃぃぃぃぃん!!
ごっきぃぃぃぃぃぃん!!
「ぐふぁっ⁉」
「うぐっ、あ、愛の……」
うわぁやっちゃったわ。
行き成りのダブルで頭突き。
王陛下とお父様へ頭突きを喰らわせられたのは当然の事ながらクレメンティーネお母様。
お母様はふん、と鼻息荒くしつつ両手を腰に当てられ仁王立ちとなり、地面へ崩れるように座りこまれたお二人を睨みつけられている。
王妃陛下を始め王子殿下方や騎士の方に至るまでよ。
誰一人としてお二人の許へ駆け寄る事も出来ないと言うのか、お母様より放たれている覇気によって微動だに出来ないらしい。
流石は銀の封印の聖女様?
それとも王妹殿下?
「エル、貴女何かよからぬ事を考えているのではなくて?」
「ま、まさか⁉ 何も考えてはいませんわ!!」
もう既にクレメンティーネお母様の身の内には魂の欠片は回収済みの筈。
だからしてクレメンティーネお母様はもう銀の聖女としての力はなく普通の……人間?
魂の欠片を有してはいてた時でもイルメントルートとしての記憶は有してはいない。
神の記憶を有するのはイルメントルート本人と最初の娘であるエルネスティーネだけ。
何故ならトルテリーゼの封印を維持するだけでも人間の器ではかなりの負担になってしまうから。
記憶の共有迄もだなんて、普通の人間の精神では耐えられな……。
「お馬鹿な事を考えるのではありません。私は貴女に比べれば何の力すらない普通の人間に過ぎないでしょう」
「お、母様?」
ふわりと、何時もの様に優しく包み込む様にお母様は私を抱き締める。
「譬え魂の欠片だけとは言え私は彼の者を封印してきたのです。身の内に欠片を有している間にほんの少しですが神イルメントルートの想いは私の心へ伝わってくるのです。これより先貴女が何へ立ち向かうのか、またそれがどれ程危険な事でありこの世界の根幹に関わりし事であると言うもの……いいえ違うのです!! 私にしてみれば世界よりも何よりも私の愛する娘が、エル貴女だけを護りたいの!! 朧気だけれども貴女が何かしらの使命を抱いてこの世へ誕生したのは理解します。でも一人の娘の母として私はこの身を投げ出しても貴女を護りたい!! 最初から危険な場所とわかっていて貴女を行かせたくはないのです!!」
常に誇り高くまた気高く美しいお母様が今周囲を気にする事なく寛恕のままに全身を震わせながら泣いておられる。
何時もの勝気な女王様然としたお母様にはあり得ない御姿。
でも私は生まれた時よりお母様が誰よりも優しく、そしてとても子供達を愛している事を知っているわ。
「……約束は出来ない、です。ただどの様な形となっても、私はお母様の娘のエルですわ。エルとしてお母様の許へ戻って、きます」
そう譬え肉体が滅び精神体となったとしても、せめて心だけでもお母様、貴女の許へ戻りますだから――――。
「エルぅぅぅ、おどうざまの許にも絶対に帰ってくるのだよぉぉぉぉぉ」
流石お母様の頭突きを受け慣れていらっしゃるお父様、復活が早いですわね。
王陛下は久しぶりなのか、まだ意識が戻られてはおられません。
一方お父様は額に大きなたんこぶを作りつつ涙でボロボロ……ってふふ、イケメンが台無しですわよ。
「はい、必ずどの様な形でも戻ってきますわお父様」
「ど、どの様なって……?」
だって約束は出来ないのですもの。
「内緒です。では行ってまいります」
私は皆の見守る中光に包まれるとスーッと静かに転移した。
目指すはイルクナー領、トルテリーゼの許へ……。
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