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顔を拭いてあげた彼女は姿勢を正してスカートを摘む。
「初めまして皆様。ボク、じゃありませんでした!私はマーラ・グアーテと申します。今日はご招待ありがとうございます」
「初めまして・・・」
この場にいた人間で私だけがなんとか声を出せたわ。
なにせ一人称ボクの女性は見たことがなかったから。
「マーラ様、そんな早く出て行かれると怪我をされますよ」
「あ、マーティン様ごめんなさい」
「あれはマーティン・フィールズ!」
護衛の人かしら?
マリアがマーティンの名前を言ったから、知ってると思うし聞いてみる。
「マリア、彼は?」
「マーティン・フィールズ。元第三師団の団長ですわ。今は第四師団の副官をしている」
「ガウリ様の前任者?てっきり戦死したのか怪我をしたのかと思ってたわ」
「あぁ、それはあまり表だって言われてないからですわね。何せまだ学生時代のガウリ様に決闘を申し込んで敗北したからですわ」
ガウリ様に・・・?
よく見たらマーティンはマリアのことを細い目で見てる。
恨まれてるんだろうなぁ。
「因みに決闘になった理由は?」
「ワタクシに求婚しようとしている情報を聞きつけて、それをガウリ様が受けて立ったんですの~」
ガウリ様がそんなあからさまなことするのかしら?
そこは少し脚色か勘違いがありそうですわね。
「まぁ彼のことはまた今度聞くわ。今はマラさんに色々と聞きたいわ」
「そうですわね。今回はルルにお茶会に慣れていただく場ですもの」
「流石にサラ様以外のインパクト強すぎて緊張はどこかに吹っ飛んだわ」
社交界の様な探り合いとかもないし、このお茶会はあまり気負わなくていいのがいいところね。
一応皇妃としての教育はされたからそれなりのマナーは大丈夫なはず。
私とマリアがマーティンの話をしてる間に三人とも気を取り直してマーラさんに挨拶してるし。
お茶会が始まってすぐ、私に白羽の矢が立った。
私の婚約破棄の騒動を聞きたくて三人とも集まってくれたらしい。
だからディラの名前はぼかして婚約破棄をしてから、共和国に進軍するまでの経緯を話した。
「というわけで、今は王国魔導士団第三師団に所属しております」
「すごいわ!そんな怒涛の日々を終えて今に至るのね!」
「わたくしもルルシア様のように戦ってみたい!」
「当然ですわ!なにせルルはワタクシの親友ですもの!」
ルカ様とヨハネ様にはこの話は好評のようで、ヨハネ様は私のように戦ってみたいって言ってる。
そしてマリアの中で私は親友に位置づけされたらしい。
少し照れるわね。
「マーラさんは他国の方で保護されたと聞きましたが、差し支えなければ経緯を教えてくださらないかしら?」
流石はこの中で一番頼れるのはサラ様ね。
私も彼女について聞いてみたかったわ。
「あ、はい。私はナンチョウ人民国の人間でして、とある貴族令息と婚約を結んでいたのですが、冤罪で国外追放されてしまいまして路頭に迷っていたところをオリバー殿下に拾われました」
「ナンチョウってあの男尊女卑が酷い国家ですね」
「はい、生まれてすぐに母が亡くなりまして、家では女は私一人でした。一人称もボクと強制され私というと腹を殴られるという生活を送っておりました」
「それは・・・」
そこまで酷い国なのナンチョウって!?
男尊女卑が酷い国って、本当に女性に人権がないってこと?
「実は私は特異体質で、肉体の怪我がほとんどすぐに治ってしまうんです。なので家では兄や父のサンドバックになったり、慰み者にされたりと散々でした・・・」
想像してるよりも酷い仕打ちじゃない!?
マーラさんは話してるうちに涙を流している。
当然よね。
「そのことが相手貴族に発覚して、処女を重んじていた貴族様に婚約破棄をされまして父と兄は処刑され私は恩赦として国外追放されたのです」
「それは苦労をなさいましたね」
サラさんもここまで酷かったわけではないにしても、ラフィール様が暴れるまでは似たような目に遭っていたから共感するところもあるのでしょうね。
マーラさんを抱きしめて抱擁している。
ルカ様とヨハネ様も流石にこの雰囲気でふざけたことは言わないみたいだわ。
「それで聞きたいのですが皆さんはマザーコアをご存じでしょうか?」
「あの国を豊かにするという都市伝説の?」
「まさか本当に存在するんですか?」
ルカ様とヨハネ様はマザーコア自体存じてなかった。
でも私も知らなかったし大国とはいえ、ナンチョウ人民国は王国からもかなり遠いから不思議ではない。
「そういえばナンチョウ人民国にはマザーコアの人間がいるって聞いたことがありますね」
あれ?
名前までは公表してなかったのかな流石に?
「実は私はナンチョウのマザーコアなんです。ナンチョウでは誇示するために周辺国には私の情報を公開していたらしいですがこの国までは届いてなかったみたいですね」
「え!?」
「本当に存在しましたの!?」
「公表する意味があるのかしら?マザーコアがもし本当にいるならその方が亡くなった事が知られれば、その瞬間が攻められれば、恩恵をなくした国は危険になりますし、そうでなくても身代金を要求したり様々ですよね?」
やっぱりサラ様も同じことに至ってる。
でも実際公表するメリットよりもデメリットのが大きすぎる。
それが理由にマリアについて知っているのは私とオリバー様とグレンと魔法師団の師団長だけだって聞いた。
マリアの両親にすら伝えられていないのよね。
「それはナンチョウがマザーコアを軽視していたからです。しかし私が国を去ってからその恩恵がなくなればーーー」
「貴女を取り戻しに我が国に来るということですね」
「はい。実はナンチョウは神国の人間が出入りしているのです」
ちょっと待って、この内容ってこんなただのお茶会で話していい内容なの!?
「初めまして皆様。ボク、じゃありませんでした!私はマーラ・グアーテと申します。今日はご招待ありがとうございます」
「初めまして・・・」
この場にいた人間で私だけがなんとか声を出せたわ。
なにせ一人称ボクの女性は見たことがなかったから。
「マーラ様、そんな早く出て行かれると怪我をされますよ」
「あ、マーティン様ごめんなさい」
「あれはマーティン・フィールズ!」
護衛の人かしら?
マリアがマーティンの名前を言ったから、知ってると思うし聞いてみる。
「マリア、彼は?」
「マーティン・フィールズ。元第三師団の団長ですわ。今は第四師団の副官をしている」
「ガウリ様の前任者?てっきり戦死したのか怪我をしたのかと思ってたわ」
「あぁ、それはあまり表だって言われてないからですわね。何せまだ学生時代のガウリ様に決闘を申し込んで敗北したからですわ」
ガウリ様に・・・?
よく見たらマーティンはマリアのことを細い目で見てる。
恨まれてるんだろうなぁ。
「因みに決闘になった理由は?」
「ワタクシに求婚しようとしている情報を聞きつけて、それをガウリ様が受けて立ったんですの~」
ガウリ様がそんなあからさまなことするのかしら?
そこは少し脚色か勘違いがありそうですわね。
「まぁ彼のことはまた今度聞くわ。今はマラさんに色々と聞きたいわ」
「そうですわね。今回はルルにお茶会に慣れていただく場ですもの」
「流石にサラ様以外のインパクト強すぎて緊張はどこかに吹っ飛んだわ」
社交界の様な探り合いとかもないし、このお茶会はあまり気負わなくていいのがいいところね。
一応皇妃としての教育はされたからそれなりのマナーは大丈夫なはず。
私とマリアがマーティンの話をしてる間に三人とも気を取り直してマーラさんに挨拶してるし。
お茶会が始まってすぐ、私に白羽の矢が立った。
私の婚約破棄の騒動を聞きたくて三人とも集まってくれたらしい。
だからディラの名前はぼかして婚約破棄をしてから、共和国に進軍するまでの経緯を話した。
「というわけで、今は王国魔導士団第三師団に所属しております」
「すごいわ!そんな怒涛の日々を終えて今に至るのね!」
「わたくしもルルシア様のように戦ってみたい!」
「当然ですわ!なにせルルはワタクシの親友ですもの!」
ルカ様とヨハネ様にはこの話は好評のようで、ヨハネ様は私のように戦ってみたいって言ってる。
そしてマリアの中で私は親友に位置づけされたらしい。
少し照れるわね。
「マーラさんは他国の方で保護されたと聞きましたが、差し支えなければ経緯を教えてくださらないかしら?」
流石はこの中で一番頼れるのはサラ様ね。
私も彼女について聞いてみたかったわ。
「あ、はい。私はナンチョウ人民国の人間でして、とある貴族令息と婚約を結んでいたのですが、冤罪で国外追放されてしまいまして路頭に迷っていたところをオリバー殿下に拾われました」
「ナンチョウってあの男尊女卑が酷い国家ですね」
「はい、生まれてすぐに母が亡くなりまして、家では女は私一人でした。一人称もボクと強制され私というと腹を殴られるという生活を送っておりました」
「それは・・・」
そこまで酷い国なのナンチョウって!?
男尊女卑が酷い国って、本当に女性に人権がないってこと?
「実は私は特異体質で、肉体の怪我がほとんどすぐに治ってしまうんです。なので家では兄や父のサンドバックになったり、慰み者にされたりと散々でした・・・」
想像してるよりも酷い仕打ちじゃない!?
マーラさんは話してるうちに涙を流している。
当然よね。
「そのことが相手貴族に発覚して、処女を重んじていた貴族様に婚約破棄をされまして父と兄は処刑され私は恩赦として国外追放されたのです」
「それは苦労をなさいましたね」
サラさんもここまで酷かったわけではないにしても、ラフィール様が暴れるまでは似たような目に遭っていたから共感するところもあるのでしょうね。
マーラさんを抱きしめて抱擁している。
ルカ様とヨハネ様も流石にこの雰囲気でふざけたことは言わないみたいだわ。
「それで聞きたいのですが皆さんはマザーコアをご存じでしょうか?」
「あの国を豊かにするという都市伝説の?」
「まさか本当に存在するんですか?」
ルカ様とヨハネ様はマザーコア自体存じてなかった。
でも私も知らなかったし大国とはいえ、ナンチョウ人民国は王国からもかなり遠いから不思議ではない。
「そういえばナンチョウ人民国にはマザーコアの人間がいるって聞いたことがありますね」
あれ?
名前までは公表してなかったのかな流石に?
「実は私はナンチョウのマザーコアなんです。ナンチョウでは誇示するために周辺国には私の情報を公開していたらしいですがこの国までは届いてなかったみたいですね」
「え!?」
「本当に存在しましたの!?」
「公表する意味があるのかしら?マザーコアがもし本当にいるならその方が亡くなった事が知られれば、その瞬間が攻められれば、恩恵をなくした国は危険になりますし、そうでなくても身代金を要求したり様々ですよね?」
やっぱりサラ様も同じことに至ってる。
でも実際公表するメリットよりもデメリットのが大きすぎる。
それが理由にマリアについて知っているのは私とオリバー様とグレンと魔法師団の師団長だけだって聞いた。
マリアの両親にすら伝えられていないのよね。
「それはナンチョウがマザーコアを軽視していたからです。しかし私が国を去ってからその恩恵がなくなればーーー」
「貴女を取り戻しに我が国に来るということですね」
「はい。実はナンチョウは神国の人間が出入りしているのです」
ちょっと待って、この内容ってこんなただのお茶会で話していい内容なの!?
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