君は俺の“一等星”
君が死ぬ前に、俺たちは一曲だけ奇跡を歌う。
人間には誰にだって明日が来るはずだ。そんな無意識の思い込みは、ただの脆い幻想に過ぎない。
人生がどうせ死ぬまでの暇つぶしだというのなら、せめて俺はこの息苦しい世界で、誰にも素顔を見せず、孤独にギターの弦を弾いてやり過ごすつもりだった。
――あの日、放課後の埃っぽい渡り廊下で、君の歌声に出会うまでは。
中学時代、親友の純也を突き放して以来、俺は誰にも心を開かなかった。
狐の面を被り、ネットの海にただ音を落とすだけの俺を、赤松陽菜は強引に陽の当たる場所へと引っ張り出す。
「生徒会選挙の応援演説、印象的でした。私と一緒に、文化祭のステージに立ってくれませんか?」
シャンプーの甘い香りと、夕陽に透ける琥珀色の瞳。
一等星のように眩しく笑う君の熱に当てられ、俺の止まっていた時間は再び動き始めた。
だけど、君は残酷な秘密を隠していた。
末期ガン。
暗闇のベッドで死の恐怖に震えながらも、君は俺の「明日」を救おうとしていたんだ。
これは、君が灰になって消えた後も、俺が胸を張ってこの残酷な明日を生きていくための――一瞬で永遠の、最高に美しい暇つぶしの物語だ。
人間には誰にだって明日が来るはずだ。そんな無意識の思い込みは、ただの脆い幻想に過ぎない。
人生がどうせ死ぬまでの暇つぶしだというのなら、せめて俺はこの息苦しい世界で、誰にも素顔を見せず、孤独にギターの弦を弾いてやり過ごすつもりだった。
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