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婚約指輪と前世の欠片

焦がれた気持ちが重なる時

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ベッドに寝かされた私の胸を覆いかぶさったオースティン様にサテン生地の上から舐められていた。


濡れたナイトドレスは、更に透けて肌に張り付いている。


捲れた裾はお臍まで見え、ショーツを脱がされず、隙間から指を入れられ擦られている。


ずっと弱い刺激を受け続け、声は我慢出来るものの、物足りなさを感じ始めていた。


私の胸を舐めるオースティン様の頭を手で撫でた。


すると舐めながら私を見たオースティン様の目と視線が合うと、ニヤリと口角を上げ笑っている。


「どうしたんだ?」


「その…………えっと」


「ハッキリ言ってごらん?」


自習室では胸を捉えた唇が強く吸い付き、指は激しく出し入れされた。


今はベッドの上で、舐めて擦るだけ。



……………もしかして………焦らされてる?



「リリーの心と身体が、ちゃんとオレを受け入れる覚悟ができるまで待つつもりだ」


つまり、したいと意思表示をしろと?


「自習室ではオレが一方的にイタズラした感があったからな」


「あの?」


「オレは性欲処理をしたいんじゃない。リリーと愛し合い、抱き合いたいんだ」



私も求めろと…………。


「ただし”好きにして”だと減点対象だからな?」


「減点されると、どうなるのですか?」



「…………お仕置きだな」


「痛いのは嫌ですわ」


「痛い事はしないさ。でも恥ずかしい事はするがな」



正しく誘惑しろと要求されている。


愛し合いたいと伝えるには、どんな言葉が考えてみるけど”キスした男の前で考えに没頭するなんて自信を失う”と言っていたセシル様を思い出して止めた。


「私はオースティン様が好きです。だからオースティン様で満たして欲しいのです。いっぱいオースティンを感じたいの。心だけじゃなくて………カラダモ」


舐める舌も、擦る指も止まり沈黙が襲う。


怖くて、恥ずかしくて、両手で顔を隠して反応を待つのが精一杯だった。



「やべぇ。何だ……この可愛い生き物」


そっと指の隙間から覗くと、鼻の下を手で押さえている姿が見えた。


「…………して」


ダメ押ししてみる。


「オレもリリーが好きだ。ずっとブルームフォンテーン公爵家の居候していた時から、リリーしか見ていなかった。愛してる」


真剣な告白が嬉しくて、首に腕を回し抱き着いた。


「私も愛してます。居候なんて思っていませんでした。突き放す言葉を放っても、付いてくる私を待ってくれる優しい年上の男の子。1人になりたいって言いながら、私が駆け寄ると嬉しそうに笑ってくれる本当は寂しがり屋のオースティン様が、私の初恋なのです。一度は諦めた初恋」


オースティン様の腕が抱き締め返してくれる。


「オレはランスロットとの婚約を聞いた時は、腸が煮えくり返る程に憤りを感じていた。リリーはオレのだと叫びたかった。だが、リリーが幸せになるならと我慢した。なのにリリーは結婚を望んでいないと気が付いたら、気持ちが抑えられなくなった。愛しているんだ」


眉間にキスをすると、私の頬を優しく撫でてくれた。


「オースティン様?」


「様は要らない」


「…………オースティン」


「愛しているんだ、リリー」



頬に顎を舐めるようにキスされると、お臍の下がキュンキュンする。


もっとオースティンとくっつきたい。



「いっぱい…して?オースティンだけを感じたいの。他の事なんて考えられなくなるくらい、いっぱいにして欲しの。初めてなのにエッチなリリー嫌い?」



「大歓迎だ。婚約期間は指輪の魔法効果で妊娠しないからな……………溢れるくらい注ぎ込んでやる」


お互いに吸い寄せられる様に唇を重ねる。


もう我慢する必要はありませんでした。
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