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「花嫁」を狙う者~近づく者は許さない~

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「死ぬかと思った」
 ベッドの上で零はぐったりとしていた。
「ごめーん、零さん」
「お前が昏睡状態になるとこれだからな」
「マジごめん」
 フエは零に何度も頭を下げた。
「いいさ、お前の異形性なんだからな」
「──有り難う」
「しかし疲れた、何か飲み物を作ってくれないか」
「オッケー!」
 そう言って部屋から居なくなると、零は目を閉じた。


『見つけた、見つけた』
『「花嫁」見つけた』
『矢をさして僕らの神様の「花嫁」にしてしまおう』
 小さくどこか凶悪な笑みを浮かべるキューピッドのような存在が部屋に現れ、矢を構える。


 ざしゅ! ざしゅ!


 その存在は引き裂かれ、矢は折れて落ちた。
『何者だ!』
「零さんが急に眠ったのを不自然に感じた異形の子よ、あとあんた達の神様ってこれ?」
 フエが現れ、白い本を手に持っていた。
『それを返せ!』
「やなこった」
 フエはビリビリと本を破いた。
『ぎゃあああああ‼』

 存在は全て綺麗さっぱり消えて無くなった。


「ん……?」
「お早う零さん、レモネードでいい?」
「ああ……少し寝ていたのか?」
「うん」
 そう言って体を起こした零に、フエはレモネードを渡す。
「美味い」
「マヨイの果樹園のだからねー」
「なるほど」
 零は頷いてレモネードを飲み干した。
「さっぱりしていて美味しかった。有り難う」
「いえいえ──ちょっと結界かけ直したいんだけどいい?」
「ああ、構わない」
 零がそう答えると、フエの足下が光り、そして魔方陣のようなものが広がる。
「これで良しと」
「そうか?」
「うん」
 フエは腕を組む。
「零さんは『花嫁』だからねー、しばらくは交代で見回りするから」
「分かった」
「くれぐれも変なのには着いていかないようにね」
「分かってる」
 そう言って零は再び眠りに着いた。

「『花嫁』に負担かけちゃったもんなぁ」

「それに結界もほつれたし」

「だからこんな変なのが来るし」
 フエは先ほどのキューピッドにも見える存在がズタズタになったのをつまむ。
『ひ、ひぃ……』
「親玉がアンタだからまだ生きてたのね」

「まぁ、今死ぬからどうでもいいけど」

 フエは異形の口を開いてそれを口に放り込んだ。

『たすけて! たすけて!』

 ばきょ、めきゃ、ぼきぼき

「やなこった」
 咀嚼し、飲み込み終えるとフエは舌を出した。
「うえ、まっず! あとで、口直ししよ!」
 そう言って零の部屋を後にした。




 異形の花嫁は常に結界や何かで守られている。
 異形に邪神に奪われない為に──





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