ゆめも

toyjoy11

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困った夢

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「私今、幸せなの。」
眠って、すぐ、耳元でそう言われた。
思わず、目を覚まそうと体を起こそうとしたが、起きた体は自分の体ではなかった。
女子高校生と思われる服を着た腐乱死体。
それが、目の前の棚に座り、そう嬉しそうな声色でそう言った。

彼女の夢は2回目である。
前回の夢で、彼女は私に
「私を助けて。このままだと、この男に殺されてしまう。」
と首が半分切れている状態でそう言ったのだ。
明らかに既に死んでいる彼女がそう言った。

私は前回、彼女にこう返事した。
「貴方は既に死んでしまっている。」
「私は寝ている間、しかも、起きている状態の私は、体が動かない。だから、あなたを助けに行けない。もしも行けたとしても、きっと私が殺されて終了。」
そうすると、彼女はとても怒り狂って、私を何度も殴ろうとして失敗していた。

さておき、そんな彼女の2回目の登場。しかも、体は既に人だったと言う感じになってしまっている。
彼女は死んでいるのを自覚して尚、なんでそんなことを言うのかと思ったら、そこからは惚気だった。
「彼は家に帰って来て、いつも私に挨拶をしてくれる。」
「彼はいつも、私に愛していると言う。」
「お休みのキスをしてくれる。」
「一緒に食事をしてくれる。」
などなど。

新婚さんの惚気そのものだった。
多少の吐き気を2つの意味で覚えつつ、
「よかったね。」
と返す。
ちなみに、一応、犯人である男を同じ状況で見るのは恐らく3回目である。彼は基本的に1年~3年は相手を変えない。だから、その間に成仏してくれと切実に思う。まぁ、今度は本気かもしれないから一生貴方かもしれないけどさ・・・。
しかし、これを彼女に悟られるのはなんとなく怖かった。
だから、顔色は砂糖吐くって感じ以外のまま変えずに、惚気をそのまま聞いて
「じゃあ、出来れば、もう、会わないことを願うよ。」
と返した。
「なんで?」
と彼女が言う。
「私は、悪い生き物だからね。魂食べちゃう。」
と返すと彼女は初めて恐怖の顔で慄く。
「大丈夫、もう、30年も食べてない。」
と教えると
「あんた何歳よ。」
と返された。
「36。」
「帰れ!」
彼女は大きな声で叫んで、私を家から追い出した。
追い出されて、周りを見回す。一軒家。比較的新しい住宅街。表札を見ようとしたら、目が覚めた。

私は今日も腹ペコである。
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