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武闘大会

武闘大会の準備1

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 ハンターギルドのギルド長室の応接セットでは頭を抱え脂汗をたらすギルド長の姿が見えた。
 ギルド長の向かいには腕を組んだ男が口を真一文字に結んで厳しい目を向けていた。

「俺は・・・逃がしたわけじゃない・・・」

 搾り出すように声を上げると男の方へ顔を上げる。

「では、何故サリーがこの街に居ない?それと、このおかしな人員の動きは何だ?他にも聞きたいことがある。
 陛下の御世では税を上げたことが無いのは知っているな?」

「は、はぃ・・・」

「だが、この街では税が上がっているようでな、ハンターから取る税が上がっておるな?しかも王国へは、いつも道りの金額が納められておる。」

「それは、その・・・」

 青い顔をして蚊の鳴くような声で何かを言おうとするが、打ち消されていく。

「国王陛下におかれてはサリーの事に関しては、お前に王都に来て説明せよとの仰せじゃ、よほどの用がなければ明日にでも出発してもらわんとな」

「あ、明日ですか?」

「ああ、国王陛下はたいそうご立腹でな、早急につれて来いとの事だ、よっぽどの事が無い限り許されるとは思えぬが・・・たしか、ドラゴニアの武闘大会で優勝でもせぬ限りは無理だろうな」

 使者の言葉にギルド長は顔を上げると、「ドラゴニア?」と聞き返すと、使者は呆れたような顔をすると。

「なんだ?ドラゴニアも知らんのか、最近話題のドラゴニックメタル産出地でな、4日後に武闘大会が行われるのじゃよ」

「出ます!無論優勝を勝ち取って見せますので、ご猶予を頂きたい!!」

 使者は一瞬にやりと笑うと厳しい顔つきになり

「国王陛下の呼び出しを断るのか?」

「い、いえ、とんでもない、武闘大会に出たいと思っておりまして。
 優勝を手土産に謁見させていただければと・・・」

「ふむ・・・お前もハンターギルドのトップ・・・陛下肝いりの武闘大会も盛り上がるか・・・」

 考えるように顎鬚を撫でると、う~んと声を上げる。

「ご使者殿、辺境のイノブタの弟である俺が伝説を作って見せます」

「なら・・・しかたないな・・・」

 こうしてギルドマスターは処刑台に登るのだった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 炎龍王の場合

 龍王の間にミネルバからの手紙が届けられた。

「貴方、ミネルバからの要請です。
 拳闘は我らの特技、ドラゴニアでは獣人が拳闘王を名乗っているらしいですわ」

炎龍王の隣に座る女性、龍妃は龍王をチラリと見ると、龍王もそれに答えるように鷹揚に頷くと

「そうじゃな、由々しき事態よ。
早速数人拳闘士を見繕って・・・」

「貴方が行くのですわ、勿論敗北は許されなくってよ、最強の戦闘民族である赤龍のお家芸をのっとられたままで良いはずが無いのですわ」

 拳を握り締め力説する龍妃に少し腰の引けたようになった龍王が言葉弱げに

「え?わし龍王だし・・・」

「ミネルバにわたくしも会いたい事ですしね?」

「・・・はい」

 反論も虚しく開催告示から4日目に炎龍王の参戦が決まった。
 次いで水龍王の参戦も決まり、地龍王は工事関係で参加、フォース王国からも騎士団長の参戦も決まった。
 ドラゴニアの商業ギルドでは、舞台を帝国から貰った廃鉱山にして良かったと、喜びの声がかなり上がったと言う。
 

 この秋、ドラゴニアで武闘大会が行われることが告知されると多くの者が参加しようと、受け付けのドラゴニアに殺到した。
 その間に廃鉱山の麓のうち捨てられた町を大改造し武闘大会に備えていった。
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