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君ほんとは悪魔じゃないの?
しおりを挟む「どういうわけか知らないけど、絶対に嫌だ……」
魔王様が、おそらくしぶい表情をなさいました。
「魔王の力は、開放してほしくない。だけどこんな黒いモヤモヤがド派手に飛び込んで『ガハハハッ魔王だ!』と叫んだところで寒い目で見られるだけだし……俺は割とガチなレベルの不死属性を持ってるから、下手に人間に捕まって永遠に拷問コースが決定しても嫌だし……」
「そんなもの、全部わたくしが解決してあげましてよ。あなた様が魔王の力を開放したくないと言うのなら、聖力でちょちょいと魔王っぽい見た目を作って差し上げますし、何なら魔力を模した聖力も分け与えてそれっぽい演出ができるように致しますわ」
「多分それ聖力じゃないよ。君本当は聖女じゃなくて悪魔じゃないの?」
魔王様がぶつぶつと「お前の願いを叶えてやろうとか言いそうで怖いよ……裏があるやつ……」と呟いています。
「ああ、もちろん。お礼として、あなた様の本当の願いを叶えてさしあげますわ」
「うわ、ほんとにきた! だけど俺の願いは君には絶対――……」
「見くびらないでくださいませ。わたくし、歴代最強の聖女ですのよ」
「え?」
顔を伏せた魔王様が顔を上げます。わたくしはその魔王様ににっこりと微笑みました。
「わたくしなら、あなた様の願いを叶えられます。――あなた様の永遠の命を、わたくしが終わらせることを約束致しますわ」
「………………」
魔王様がわたくしの目を見つめます。
そのまま長い沈黙の果てに、ぽつりと呟きました。
「ちょっと違う……」
そう言いつつも魔王様は、苦渋の末に頷きました。
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