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第六章 【二つの世界】
6-494 謁見の間
しおりを挟む「おめでとうございます!ステイビル様!」
「ありがとう、エレーナ。マーホンもよく来てくれた」
「あの……この度はおめでとうございます。ステイビルさん……ニーナさん」
「ありがとうございます、ハルナ様」
ハルナの祝福の言葉を受けて、ニーナはニッコリと笑いハルナに応えた。
ここは、城内の謁見の間。
王選の開始の宣言を受けた際にリリィと争い、始めてモイスと出会ったことを思い出していた。
この場には先代の王でグレイネスの姿もあり、キャスメルと一緒にクリエの姿も見られた。
グラキアラムからの代表として、エルフとドワーフのブンデルとサナが出席している。
西の王であるカステオの姿は無いが、代表の使者がこの間の一角に固まっている。
ハルナがステイビルの申し出を断ってから、半年の時間が過ぎた。
今は、ステイビルとニーナの結婚式が行われている。
ハルナはグレイネスから呼び出しを受け、なぜステイビルと共にこの国を支えてくれないのかと問いかけられた。
グレイネスは王選時のハルナのイメージしか持っていなかったため、一介の精霊使いであるハルナが王子からの求婚を断ることに疑問を感じていた。
ハルナは、この場にステイビルやエレーナはいないため、その答えに窮していた。
そんなハルナを助けるように、エレーナの母であるアーテリアが、エレーナから聞いていたハルナ性格とステイビルの求婚を断った場面の情報をもとに、グレイネスに説明をする。
ハルナが創造者という存在の能力を引き継ぎ、ハルナ自身の寿命が通常の人間のものではないことを伝え、ハルナが神に近い存在であることを説明した。
グレイネスとローリエンは、耳にした信じられない情報に目を丸くした。
だが、その情報は友人で最も信頼しているアーテリアからのもので、疑うことなく受け入れた。
それによって、グレイネスは権力を用いてまで、ステイビルとの結婚を考えていたがそれを諦めてくれた。
ニーナのお腹の中には、既に二人の結晶がいるということも、数日間にエレーナから聞かされていた。
ハルナのことを断ってから、すぐにそういう関係になったらしいが、これはほとんどニーナがステイビルにアプローチをしていたらしい。
ハルナの気分が悪くならないかと、エレーナはそのことをお腹の中の子のことは黙っていたらしいが、ハルナは全く気にもせず二人の関係を喜んでいた。
しかし、ニーナとの結婚は政治的な意味でも望ましいことだった。決して関係性は悪くは無かったが、二国間の交流がずっと薄い時代が続いていた。
そのためディバイド山脈の際のことも、上手く西の王国との連携が取れないことが問題となっていた。
今回のハルナたちの行動と、ステイビルがニーナと婚姻関係になることで、繋がりが寄り強くなると東西の家臣たちから喜ばれたとエレーナは言っていた。
その後はお披露目パーティが開かれ、ステイビルとニーナの元にお祝いの言葉を送りたい貴族や大商人たちの列が続いていく。
ハルナは、エレーナたちによって守られながら、その会場の隅で過ごした。
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