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14話 嵐の前にはウキウキを!
しおりを挟むツアーも無事に終わって、日常を取り戻しつつあった。
久しぶりの休みがもらえて、大好きな野球を観戦した。
『ごめん。待った?』
『全然、待ってません。』
隼に誘われて、野球を観戦することになっててん
珍しく、天気が良くて良かったなんて思う。
雨男の俺が、外出する時はほんとに雨が多いから。
朝から、天気もいいしなんかご機嫌な気分だ!
『今日!めちゃくちゃ楽しみにしてたんです!!』
少し気合の入った服の隼が言った。
『俺も、楽しみにしてた!!この試合見たかったから!よくチケット取れたな?』
『…そういう事じゃ…ないんだけど。まぁ、氷雨さんが楽しんでくれたらいいです。』
『隼も野球観戦するんだな?』
『いや…初めてです。氷雨さんと観たくて…』
『よっしゃ!俺が、野球観戦の楽しみ方教えてやるっ!!』
久しぶりの休みと観たかった試合という事もあって、俺のテンションは爆上がりだった。
嬉しそうに笑う隼と球場へ入っていった。
俺のテンションが上がれば上がるほど…
天気は崩れて…
やっぱ俺、雨オトコ?
さっきまで、いい天気だったのに…
『雨…降りそうだな…。やっぱ、俺雨男なんだな。』
少し、しょんぼりしていると
『雨でもいいです!』
どこかうれしそうな隼。
仕事の時より笑顔が多くて、ずっと嬉しそうだなって思った。
まぁ、隼がいいなら…いいけど。
『ドームだし、雨降ってもいっか!』
『はい』
とびきりのアイドルスマイルで頷いた隼。
楽しい時間はあっという間に過ぎて、推し球団が勝った喜びを興奮気味に話す。
隼も一緒に観てたのに。
『隼、アレ見た?マジですごかったよな?あそこのホームランはすごいわ!!』
『氷雨さん、めっちゃホームラン祈ってましたもんね。』
くすくすと優しく微笑む隼が俺を見下ろす。
何か楽しくて!
『あそこでだぞ!!打ってくれ~って願って。打った~ってなっったら!!もうっ!!まじでっ!すげ~よ!!』
『クスクスっ…語彙力置いてきましたね。』
俺の話を、楽しくて仕方がないって感じで見守る後輩。
『あんなスゴイの観たら。置いてきちゃうよな!!』
興奮気味の俺に
『ご飯食べて帰りません?』
『おう!行こう!!俺のおごりだ!!』
とにかくテンション上がってたと思う。
食事中もずっと興奮した感じで、しゃべってた気がする。
食事が終わって帰り際に、ふと気が付く。
俺、ひとりで楽しんでた?
『今日はありがと!…と、ごめん。なんか俺、楽しくてひとりで楽しんじゃった。』
『いえ、俺も楽しかったです。』
『野球観戦の楽しみ方教えてやる~なんて言ったのに、自分が一番楽しんじゃった。』
『いえ、テンション高い氷雨さん可愛いんで!!大丈夫です。俺も楽しかったです』
おいおい…可愛いって、俺先輩だぞ!
でも…
『俺も!楽しかった!ありがとな!じゃあここで!』
『氷雨さん!』
『ん?どした?』
『俺、めっちゃ楽しかったです。』
『おう!俺も!』
『デートみたいで』
少し恥ずかしそうに隼が言った。
『おう!また行こう!今度は俺がチケット取るから!!』
『はい』
『じゃあな~』
隼とは家の方角が違うので、反対方向へ歩き出した。
その時
『氷雨さんっ!』
呼び止められて、振り返る。
『………大好きですっ!!』
大声で叫ばれて
『おう!俺も!大好き!!またな~』
軽い気持ちで返事をした。
この【大好き】が後々事件を巻き起こすなんて
この時の俺には想像すらできなかった。
そして、事件は翌日起こった。
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