落ちこぼれの写実の才で、僕は夜空に火の馬を駆けさせる
水の豊かな田舎の領に生まれたカイルは、領主が魔法で夜空に描いた水の龍に、心を奪われた。いつか自分も、あんな魔法を――炎のたてがみをなびかせて夜空を駆ける、火の馬を、本物にしてみせる。そう夢見て、来る日も来る日も、地面に火の馬を描き続けた。
けれど、十の年の選別の儀式で、女神がカイルに授けたのは、魔法の才ではなかった。「写実の才」。見たものを、写すだけの才能。魔法士になる夢は、あっけなく閉ざされた――はずだった。
絶望のふちで出会った、ひとりの風変わりな男。彼が明かした、自らの才能。それは、カイルと同じ、笑われるはずの才能だった。
「才能ってのはな、坊主。持って生まれてハイ終わり、ってもんじゃない。持って生まれた、ちんけなカケラを、どこまで信じて磨くか、だ」
魔法の素養は、ゼロ。あるのは、誰よりも鮮やかに思い描く、想像力だけ。
落ちこぼれと笑われた少年が、たったひとつの才能を武器に、夜空へ、火の馬を駆けさせるまでの物語。
――これは、あきらめなかった僕の、はじまりの記録。
けれど、十の年の選別の儀式で、女神がカイルに授けたのは、魔法の才ではなかった。「写実の才」。見たものを、写すだけの才能。魔法士になる夢は、あっけなく閉ざされた――はずだった。
絶望のふちで出会った、ひとりの風変わりな男。彼が明かした、自らの才能。それは、カイルと同じ、笑われるはずの才能だった。
「才能ってのはな、坊主。持って生まれてハイ終わり、ってもんじゃない。持って生まれた、ちんけなカケラを、どこまで信じて磨くか、だ」
魔法の素養は、ゼロ。あるのは、誰よりも鮮やかに思い描く、想像力だけ。
落ちこぼれと笑われた少年が、たったひとつの才能を武器に、夜空へ、火の馬を駆けさせるまでの物語。
――これは、あきらめなかった僕の、はじまりの記録。
あなたにおすすめの小説
おばあちゃんへの感謝
20歳になり、成人式を迎えた僕。
僕の心には、ぽっかりと大きな穴が開いていた。
「もしも、過去の自分に手紙が送れるなら……」そんな切ない願いから、僕は5歳、10歳、14歳、17歳の自分に向けて手紙を書き始めた。
僕におばあちゃんがたくさんのことを教えてくれた。
人を笑顔にする「褒める魔法」と「感謝の言葉」。
その教えのおかげで、僕はたくさんの友達に恵まれ、楽しく成長することができたと思う。
だけど、今の僕は知っている。
昔の自分がすっかり忘れていた大切なことを。
そして今、僕はひどく後悔している。
君にその大切なことを伝えるから決して忘れないでね。
そして、僕のように後悔しないで欲しい。
ことばの森と、しずかな石
小学四年生の桝井ミトは、クラスいちのおしゃべりだ。じいちゃんちの土間の冷たさも、スイカを切る音も、いくらでも話せる。それなのに原稿用紙に向かうと、書けるのは「たのしかったです。」の七文字だけ。
宿題を前にうなったまま眠ったその夜、ミトは不思議な森で目を覚ます。葉の一枚一枚がひらがなの形をした、ことばの森。案内人だという鉛筆頭の小人・コクーは、森の奥へ行けば言葉が見つかると言う。
けれど、森のはずれには近づこうとしない。灰色に開けたその一角には、言葉が石になって、几帳面に並んでいた。しかも訪れるたび、石は一つずつ増えている。
もやの沼、つなぎの渓谷、見立ての庭。ミトは森で少しずつ言葉の使い方を覚えていく。覚えた技で、初めて人に褒められる。そして、初めて人を傷つける。
石に彫られた几帳面な字を、ミトは知っていた。毎日、教室で見ている字だった。
言葉は、正しく並べるだけでは届かない。
書けない女の子と、書きすぎて黙ってしまった男の子の物語。
株式会社六年三組 ~社長って、なにをする人ですか~
国語、算数、理科、社会——そこに突然ならんだのは、【会社】という二文字だった。
六年生になった岩崎カイの学校で、その学年だけの特別授業がはじまる。クラスごとにひとつ会社をつくり、校内だけで使えるお金「校内円」を元手に、商品やサービスを考え、作り、売る。一年かけて、本当に経営する。買ってもらえなければ、つぶれる。
教室の勢いに押し出されて、カイは三組の社長になった。特別講師としてやってきた元経営者・神代は、カイにひとつだけ問う。「社長とは、何をする者だ」。カイは答える。「いちばんえらい人です。指示を出して、決めて、かせぐ人」。神代は、その答えを一年後にもう一度聞く、とだけ言い残す。
ライバルは二人。品質だけを信じる職人肌の一組社長・白石ハルトと、売れてこそ価値だと言い切る二組社長・桝井ナナ。二つの完成された答えのあいだで、三組だけが、自分たちの答えを持たないまま走り出す。
開店初日の大失敗。分裂しかけた仲間。届かない利益。約束を破って泣かせてしまった、一年生の男の子。 そのすべてを通って、カイはようやく気づいていく。社長とは、いちばん前に立って命令する人ではなく、誰かのやりたいことと、誰かの困りごとを、つなぐ人なのだと。
働くこと、売ること、あやまること、そして人にまかせること。
小学校最後の一年をまるごと使った、失敗だらけで、少しだけ誇らしい会社の物語。
運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)
冷遇された王女ですが、山向こうでは大切にされています
価値のない十三王女だった私は、兄王子が山向こうの国の祠を壊した責任を押し付けられ、人質兼花嫁として嫁ぐことになりました。
「蛮族に嫁がされるなんて可哀想」
そう言われましたが、待っていたのは豪快で優しい夫と、温かな家族、そして毎日おいしい食事。
その数年後――
『校内未確認記録 ―ナナツノフシギ―』
転校初日、僕が見つけたのは――存在しないはずの「学校の記録」だった。
この学校には、七つの怪談がある。
誰もいない教室から聞こえる声。
夜になると鳴るチャイム。
十三段目が現れる階段。
黒板に残り続ける知らない名前。
ただの噂だと思っていた。
でも、古い資料室で見つけた一冊のノートには、こう書かれていた。
『校内未確認記録』
そこには、学校で起きた説明できない出来事が記録されていた。
そして最後のページには、まだ空白の項目が一つ。
八つ目のフシギ
七つの怪談を追ううちに、僕たちは気づいてしまう。
この学校の怪談は、ただの噂じゃない。
誰かが忘れた記憶。
誰かが残した約束。
そして、今も校舎のどこかにいる「誰か」の存在。
これは、放課後に始まる――
少年少女と七つの怪異を巡る、少し怖くて不思議な学校の記録。
あなたの隣にいるその子は、本当に“あなたの知っている子”ですか?
稀代の悪女は死してなお
「めでたく、また首をはねられてしまったわ」
稀代の悪女は処刑されました。
しかし、彼女には思惑があるようで……?
悪女聖女物語、第2弾♪
タイトルには2通りの意味を込めましたが、他にもあるかも……?
※ イラストは、親友の朝美智晴さまに描いていただきました。