57 / 122
亡国王子、1人目の同郷と邂逅する 3
しおりを挟む睨み合う巨大イカと巨大カニ軍団。あと真っ白いウナギ(?)。その上にキラリと何かが光った。
「カカカカカ!今夜の飯は鰻か蟹汁か!?烏賊刺しも良いのう!」
聞き慣れた声。空中を駆けていく影は……
「せ……せんせえ!?」
「…む?知り合いか?」
「えー……えええ…」
空中を縮地で駆けていく姿は、俺の記憶の中の『先生』とはだいぶ違う。かなり違う。若い。若すぎるんだ。先生は皺くちゃのおじいちゃんで、髪も真っ白の白髪だった。手足も木の枝みたいに細かった。
それなのにこの『先生』は、つやっつやの黒髪で、着物から見える手足はしっかりとお肉と筋肉がついてる。しわしわじゃない。お顔はかなりの美形だ。あっさりした塩顔だからこっちの人にはない顔だよねぇ。
「せんせえー!」
叫んでみた。違ったら恥ずかしいけど、多分違わない。
『うふふ~!女神様の祝福よぉ~』
やっぱり一花姉だったかぁ…。
「……お?おおお?応、そこに居るのは二葉か!?一花の言うた通りじゃ!ほんに小そうなって!」
小さくないもん!成長期だもん!
先生は嬉しそうに笑いながら俺の心を抉り、カニの手を切り落とした。……あ、美味しそう…。(じゅるり)
「………あれから逃げていたのか…」
フィアツェンさんが呆然と呟いた。あー、先生ってやっぱり規格外だったんだあ。全盛期は水滴を蹴って縮地で走ったって本当だったんだぁ…。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
779
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる