転生先でヴァンパイア始めました(冷やし中華のようにはいかない)
せめて――転生するなら、せめて人間に生まれ変わりたかった。
勇者じゃなくてもいい。王族とか貴族じゃなくても全然構わない。
まさか魔族の国に住むヴァンパイアって。
毎月人間の生き血を補充しないといけないし、街に出れば他の魔族が人間を食らうおぞましい光景も頻繁に目に入ってくるし。
俺の価値観は東京に住んでいたサラリーマンのままだから、流石にきつすぎるわ。
でも、俺が新たに生まれ変わった国は人間の多くが奴隷だから、そういう食文化も公然と存在しているんだ。
と思ったら、隣の国では立場が逆になり、人間が支配者で魔族が奴隷らしい。
どういうこっちゃ?
もうさぁ……逃げろ逃げろ。
人間は全部隣の国に逃げちゃえよ。あと、隣の国にいる魔族もこっち逃げて来いよ。
それでなんとか解決できるんじゃねぇの?
だけど問題はなかなか複雑らしい。
隣国から我が国に渡り、自発的に奴隷になろうとする人間。その逆を行おうとする魔族。
奴隷っていっても富豪の執事とかになって優雅な暮らしの恩恵を受けている奴とか、有力大臣の秘書になったりした奴もいるらしい。
つまり、貧困から抜け出ようとするやつらが他国に渡り、一発逆転を狙えるのが『奴隷』だ。
奴隷っていうか、一種の『職業』だな。
挙句はヴァンパイアに血を吸われながらあの世に旅立ちたいという人間たち。
俺の住む屋敷にもそういう人間たちが定期的に補充されているけど、本人たち曰く、そういう死に方をすると天国に行けるんだと……。
宗教概念って怖ぇな。
とはいえ、俺の体は人間の血を欲するヴァンパイアだから、月一で行われるこの儀式だけは決して避けられねぇんだよなぁ。
うーん。ここは覚悟を決めるか……?
でも、そんなことに悩んでいる間に、その隣国と戦争だとさ。
……って、俺も行くの?
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