文字の大きさ
大
中
小
130 / 783
9巻
9-2
2
王様がやってくるまでの間、自分は色々な掲示板を眺めて時間を潰すことにした。到着次第、向こうから念話を繋げてくれるだろう。念話の仕組みは電話みたいなもので、こっちから繋げないのは番号が分からないから、といったところだ。
ふむ、鍛冶屋スレッドは、サーズの街近くの坑道がついに枯れたとの話題で盛り上がっているな。うーむ、こうなってしまうと、当分は金属武器や防具の値上げが深刻になりそうだ。装備の修理をするにも多少金属が必要になることが多いし、最新の金属を使った装備は、全般的に運用がやや厳しくなるかもしれないな。掲示板に書き込まれる内容も、これからどうするか、どう節約するかについてがメインだ。
木工のスレでは、新しい杖の話が旬のようだ。魔法系のスキルは〈魔術〉から始まり、経験を積んで〈魔法〉、〈上位魔法〉を経て、〈熟練魔法〉の域に到達する。現在そういう人がぼちぼち増えてきているようで、より強力かつ、マジックパワーコストを軽減してくれる杖の需要が高まっている様子が窺えた。
上位になればなるほど強力な魔法が使えるようになるが、当然ながら強力なほどMPを多く消費する。中にはMPだけではなく、特定のアイテムを触媒として用いないと発動できないものまで出てきたらしい。触媒については所持数に限りがあるのは仕方ないにしても、せめてMPの負担は少しでも減らしたいのは当然だろう。
料理関係スレでは、さまざまな料理が説明文付きで紹介されているが……あんたらどこのコックさんですか? と言いたいレベルのものがずらりと並ぶ。フランス料理、中華料理、懐石料理にとどまらず、見たこともないような料理も多い。
デザートの種類も山ほどあって、ケーキだけでも四〇種類はあるな。ショートケーキとかチーズケーキとかは分かるが、あまりに手の込んだものはよく分からん……オペラケーキとか再現した人は誰だよ!? これ、リアルでも作るのが大変なケーキじゃなかったか? すご過ぎて参考にならないとはまさにこのことか。
人魚関連スレは……毎日誰かが来ている様子だな。いちいちSS付きで、やってきた人魚の紹介まで書かれている。注意事項で「人魚の許可なく触れるのは厳禁! 過去にそれをやって人魚さんがこちらに来なくなるということがありました」との一文もしっかりある。
また、サハギンの話もぽつぽつあるな。ふむ、〈妖精言語〉があれば話ができる、というか、こちらの意思を伝えて相手の意思も確認できるのか……住んでいる場所は、サーズの川の下流とある。後で行ってみるのも悪くないかもしれない。
雑談スレは……ありゃ、やっぱりレッド・ドラゴンの王女様のSSが貼られているな。王女様のファンが増えるのはいいけど、立場が立場だからな。普通の王女様ならほほえましいという感想で終わるのだが、下手を打つとブラック・ドラゴンがすっ飛んでくるということを知ってしまった今では、あんまり派手に目立ってほしくないというのが自分の本音だ。
そんな感じで掲示板を眺めつつ時間を潰していると、頭の中をノックされるような感覚が。
どうやら王様が近くまで来たようだ。
『聞こえるか?』
やはり王様だった。プレイヤー同士で行うウィスパーチャットのときは、こんな感覚はないからな。
『はい、聞こえています』
こちらの返事に、王様が、うむ、と声を出して確認している様子が窺える。
『とりあえずファストの街の北門付近まで来たのだが……私はここで待てばよいか? 以前、私の髪がとても目立つということを思い知らされたからな、あまり人の街の中には入りたくないのだ』
王様の意見に、自分も同意する。
あの燃えるような紅の髪が目立つのは、確かに仕方がない。その美しさが本当に見事だからだ。きらきらと紅に輝いて、どうしても多くの人の目を引きつけてしまう。
『では、北門の外まで自分が王女様を背負ってお連れするということでよろしいでしょうか?』
『む? なぜ背負うのだ? 我が娘は普通に歩けるし、もう空も飛べるのだが』
王様が疑問に思ったようなので、今王女様はベッドの上ですやすやと寝ていると伝えた。気持ちよさそうに寝息を立てている彼女を、眠りから覚まさせるのは気が引ける。
『なるほど、そういうことであれば、承知したぞ』
王様からの許可も頂いたので、寝ている王女様に頭の上から緑色の外套を被せて背負う。あんまり急ぐと起こしてしまうかもしれないので、できるだけ静かにゆっくりと。
『よかった、何とか無事に背負えました。では、これから北門へ向かいます』
王様との念話は、王女様を無事にお届けするまで切るつもりはない。念話の維持を王様にお願いすると、この程度の距離なら数時間は平気で持つとのことだった。
『うむ、では待っている。一度ならず二度までも迷惑をかける』
王様の謝罪には、気にしないでください、と返す。
『王女様が元気に育っている姿を見られたのは、あのときに助けた甲斐があるというものです。ですから、こちらとしても嬉しかったのですよ』
これに王様からも「そう言ってもらえると助かる」との返答。さて、できるだけ早くこの可愛い王女様をお返ししないとな。宿屋を出て、なるべく人がいない場所を静かに歩く。
外套で王女様の姿を隠してはいるが、小さな足などがその陰から見え隠れしており、見る人が見れば一発で幼女を背負っていると見抜くだろう。そして雑談掲示板ではその幼女のことが話題になっている今、その二つを結び付けられてもおかしくはないからだ。
(このままこっそりと。ただし歩き方は堂々と)
変にこそこそするより、堂々と歩いている方が怪しく見えないという。だから他のプレイヤーとすれ違っても、自分は背中を隠そうというそぶりは見せない。他のプレイヤーも自分が背負っている物が何なのか疑問に思うことがあるかもしれないが、堂々としていれば何かの配達クエストの途中なのかもしれないと勝手に考えてくれるだろう。
実際、宿屋を出てから今まで、自分に声を掛けてくるプレイヤーはいない。配達クエストは時間制限ありの場合も多いから、邪魔をしないようにと気を遣ってくれた部分もあるかもしれない。
そして北門まであと少し、というところで、ついに他のプレイヤーから声を掛けられた。
「ねーねー、随分と大きな物を背負っているようだけど、それなーに?」
声を掛けてきたのは女性プレイヤーだ。適当に流すか。
「配達クエストの途中で、依頼人の都合で中身は内緒にしてほしいとの条件付き。時間制限もあるので失礼するよ」
そのまま追及を回避して進もうとしたが……
「でも足が見えてるよね~? 誘拐?」
チッ、目ざとく見つけたか。本当のところは誘拐の逆で保護なのだが、この手の人には何を言っても始まらんか……ならば巻き込んでやることにする。
「それなら、もう少しで依頼人と会えるから、ついてくるか? これが誘拐ではないと証明しよう」
この切り替えしは予想していなかったのか、目をぱちくりとして、一瞬思考停止した表情を浮かべる女性プレイヤー。
「うん、ならついていくわ。誘拐だって分かったら大声上げるからね」
どうぞご勝手に、ってところだな。それよりとにかく急がないと。ブラック・ドラゴンの長が突っ込んできて阿鼻叫喚なファストの街とか見たくない。今は言い争う時間もないのだ。
余計な連れが一人できてしまったが、その後は無事に北門へとたどり着き、街の外に出た。
「北門の外には、何もないじゃない。せいぜいモンスターがいるだけ……まさかアンタ、ここでその子を相手にいかがわしいことをするんじゃないでしょうね? ピーーーとか、ピーーーとか!」
放送禁止用語がやかましいなぁ、王女様が起きたらどうするんだよ。せっかく気持ちよさそうに寝ているというのに。
そのとき、ゆっくりと一人の男性が自分たちに近寄ってきた。
「変なおまけがいるようだが……すまぬな、感謝する」
近づいてきたのは王様だ。今回の人化の術では、いかにも王族が着るような煌びやかなコート姿になっている。
「うわ、すっごいイケメン……」
ついてきた女性プレイヤーがポツリと呟く。その正体が最強の竜であるレッド・ドラゴンだと知ったら、彼女はどのような反応をするだろうか。
「一応言っておくが既婚者だからな? 王様は」
自分はそう女性プレイヤーに伝えると、背負っていた王女様をいったん柔らかい草の上に下ろし、被せていた外套を取った。それから俗にお姫様抱っこと呼ばれる方法で再び持ち上げて、王様に近寄る。女性プレイヤーが自分の背負っていたものの正体を見て「あっ!?」と驚くが、知ったことではない。
「王様、王女様を間違いなくここにお返しいたします」
王様は自分の娘である王女様を、同じくお姫様抱っこの形でゆっくりと受け取る。
「我が娘が世話になった。報酬は後ほどでよいか?」
この王様の申し出に、自分は首を横に振る。
「報酬は、王女様の健康なお姿を見れたこととしておいてください」
王女様が一人でこっそりやってきてしまったことは王様の責任だ、と言い切るのには抵抗がある。今回はご馳走した料理もローコストで済んだので、サービスという形で済ませてしまっても問題はなかった。
「すまん」
それでも王様はもう一度頭を下げた。レッド・ドラゴンの王様に頭を下げさせるって、他のドラゴンが見たら驚くだろうな。
「それよりもお早くお帰りを。長老が暴走する前に」
そう、自分にとってはそっちの方が心配だ。早くドラゴンの里に帰っていただいて、孫大好きなおじいさんのような雰囲気を撒き散らすブラック・ドラゴンの長老を抑えてもらわないと、非常に困る。
「そうさせてもらおう。この礼はいずれ」
そう言うが早いか、王様は大地を蹴って空高く飛び上がり……そのまま飛び去っていった。おそらく相当な上空まで行ってから本来の姿に戻り、里に帰るのであろう。
とりあえず自分の仕事は無事に完了だな、さて、見送りも済んだことだし、宿屋に帰って今日はログアウトしよう。
「ちょっと!? どういうことなのか説明して!? あの幼女はお姫様だったの!?」
状況が分かるはずもない女性プレイヤーが、自分に詰め寄ってきた。
「詳しい話は明かせないが、あの子は間違いなく、この世界のとある場所にある国の王女様だよ。万が一あの子に何かあったら、ファストの街にとんでもない攻撃が仕掛けられていただろうね。これ以上は言えない」
それだけを女性プレイヤーに教えて、自分はさっさとその場を立ち去った。
ログアウトして雑談掲示板を確認したら、あの幼女は王女様だという可能性があるとの話題がすでに上がっており、王様が王女様をお姫様抱っこしているSSまで載せられていた。いつの間に撮っていたんだ……髪の毛の色が同じ紅だったので、親子だということだけはすんなりと理解されたようだが。
◆ ◆ ◆
可愛いドラゴンの王女様が無事に帰ってから、数日が経過した。掲示板の方も、今回はイベントの前座かもしれないとの結論に落ち着いたようだ。
自分は、さて今日は何をしようかと、ファストの街にあるベンチに腰掛けて予定を考えていた。
とりあえず生産の方は少しお休み。木工のスキルLvをもうちょっと上げた方がいいのだろうが、いまいち作りたい物のイメージが湧いてこないので今はやらない。料理の方は狼の肉を使い、野菜炒めと、味噌を絡めたおにぎりの具を作り、いつでも食べられる携帯食として所持することにした。
【狼肉味噌絡めおにぎり】
狼肉を炒めて味噌で味付けした具を包んだおにぎり。
効果:攻撃力上昇(小)
製作評価:8
狼肉と味噌のバランスにこだわった結果、食べるとAtkが少しだけ上昇する食べ物が出来上がった。おにぎりなので素手でぱくっと食べられる点も便利だ。その分、今までに作ってきたステーキなどに比べると、空腹度の回復量は控えめになっている。
ちなみに野菜炒めの方は、ずっと前に作ったものと中身の変更などはない。
このままボーっとしているのも時間の無駄だし、サハギンの様子でも見に行こうかな……そんな予定を考えていたとき、懐かしい声が聞こえてきた。
「そこのお主、少々よいか? もしかしてアースではないかの?」
声が聞こえてきた方向に顔を向けると、そこには両手斧を背中に背負ったシルバーのおじいちゃんがいた。
「あれ、シルバーさんじゃないですか。妖精イベントのとき以来ですね、本当にお久しぶりです」
【ドラゴンスケイルライトアーマー一式】の頭部分と外套のフード部分を脱ぎ、フェンリルの頬当てを外してシルバーさんに素顔を晒す。
「もしやと思って声をかけてみたのじゃがな……久しいのう。あのときの戦いっぷりはよく覚えておるよ」
そう言うシルバーさんの隣には、以前と同じく街中などでは姿を隠しているようだが、相変わらず契約妖精のヴァルキリーがいるのだろう。
「シルバーさんの方もお元気そうで何よりです。それにしても、シルバーさんがファストにいるのは珍しいですね?」
白い豊かな髭を蓄えたおじいさんの外見を持つシルバーさんだが、立派な最前線プレイヤーでもある。てっきりサーズの方で山道ダンジョンの最奥を目指していると思ったのだが……
「なに、ちょっとばかりファストの露店を見て回っておったのじゃよ。山道ダンジョンの途中で道具をかなり使ってしもうてのう。今日は他のパーティメンバーに来れぬ者がおるから、休憩がてら消耗品の補充を済ますことにしたのじゃ。サーズで買うと少々高いからの、ファストやネクシアまで足を伸ばして買い付けに来たというわけでな」
うーむ、やっぱり現在の最前線だけあって、サーズの周りでは各薬草なども争奪戦が発生していておかしくはないし、それに釣られて少々お値段がお高くなるのかね? 一つ一つは一〇グロー程度の差でも、それがずーっと続けばかなりの額になる。急いでいるときや時間がないときはあっちで買うしかないだろうが、大量に補充したいのなら安い場所まで探しにきた方がいい。もちろん品質が同じぐらいであれば、という前提条件はつくが。
「それでシルバーさん、よいポーションは買えましたか?」
普段自分が見る露店の中に、ポーションなどの消耗品を扱う店は入っていない。よっぽど急いでいない限りは自分で作ってしまうからだ。だから現時点でのポーションの相場などを、実は自分は殆ど知らなかったりする。
「数はあまり買えなかったのう……最近は武器や防具も値上がり気味じゃし、資源が枯渇しておるのかもしれんなぁ」
資源が有限である。この枷がある影響で、攻略の速度も極端に早くはならないというのが現時点での「ワンモア」の世界だ。このシステムで、運営がプレイヤーの攻略速度をコントロールしているような気もする。
「どこもそうですか……鍛冶の掲示板には、新しく出現したサーズの坑道でも鉱石が枯れてしまったとの情報がありましたよ」
この自分の言葉を聞いて、シルバーさんはううーむと唸る。
「それは困ったのう……あんまり武器を傷めてしまうと、修理すら頼めなくなってしまいかねんの」
「ワンモア」のゲームシステムの一つとして、武器や防具が大きく破損してしまうほど、修理に使用する素材が多くなる。多少磨り減ったぐらいなら素材消耗なしで十分修理できるが、全体ががたがたになったり、大きくひん曲がったりといったレベルの損傷には、その武器を造るのに使った素材がそれなりに必要なのだ。
別の素材で代用も可能なものの、代用した素材と元の素材の差の分だけ、性能そのものが容赦なく落ちてしまう。最悪の場合になると製作評価まで下がり、取り返しがつかなくなることすらあるので、別素材代用修理は最終手段である。
「ええ、特に前衛の人で、ドラゴン素材と【グリンド鉱石】から作られた武器を使っている人は厳しいかもしれません」
だからといって、戦闘に入ったら武器の損耗をあまり気にしていられないというのもまた事実だ。特に両手武器使いは、武器を用いてガードせざるをえない場面もあるし、装備へのダメージを気にし過ぎて死亡してしまえば、今度はデスペナルティで装備品全ての耐久力を大幅に消耗してしまう。装備を守るという意味では、死亡する方が大きなマイナスだ。
「うむ、こちらのPTメンバーにもPTチャットで話を聞いたがの、顔なじみの鍛冶屋も修理に必要な素材の確保が厳しいと話しておると言うておったでのう。当分の間は攻略速度を落として、じっくりと行くしかないようじゃわい」
そうするしかないだろうな……ごり押し気味の作戦では受けるダメージも大きくなる。普段なら最前線プレイヤーは消耗した分の数倍以上もの大きなリターンをたたき出せるが、しかし今は、修理と補給すら十分に受けられるのかも怪しい状態に陥っている。たとえ金が山ほどあったとしても、物がなければ買うこと自体ができないのだ。
「厳しい話ですね……その上、山道ダンジョンのモンスターは鈍器持ちが多いですし」
現実世界において、フルプレートの騎士相手に剣では歯が立たず、切れないなら叩き潰せという考えのもとで、先端を重くしたメイスという武器が登場した。このゲームはそうした一面を受け継いでいるのか、鈍器による攻撃は防具の耐久力を削る割合がやや大きめになっている。
「できる限り遠距離から魔法などでダメージを与えた後に接近戦をやるのが基本じゃったが、これからはそれをより徹底せねばならんかの……でなければ、タンカーを務めてくれる者がおらんようになってしまうわい」
それしかないだろう。その分、魔法使いや弓使いの負担が増えるが、木材はまだ枯渇したとの話は伝わってきていない。矢は派手に損耗しても、補充は問題なく行える。
「そうですね、しばらくの間はそれが基本的な戦術になりそうですね」
いざというときに備えて、前衛の装備耐久力を温存しておく必要がある、か。なかなか厳しい話になりそうだ。
自分があごをさすりながらそう考えていると、シルバーさんが、「ちょっとすまんの」といって数歩離れた。どうやらウィスパーチャットがかかってきたようだ。
「ぬ、それは真か!? 困ったのう」
仲間とやり取りをしていたと思われるシルバーさんだったが、つい声が大きくなってしまった様子である。そのまま話し合いが続くかと思いきや、彼はふとこちらを見た。そしてそのままこちらへと歩いてくる。
「アース、すまぬが、明日の大体このぐらいの時間は空いておるかの? 実はメンバーに欠席者が出てな、我々のPTへの臨時参加を頼めないじゃろうか?」
何ですと!?
【スキル一覧】
〈風迅狩弓〉Lv10 〈剛蹴〉Lv23 〈百里眼〉Lv23 〈技量の指〉Lv5(←1UP) 〈小盾〉Lv22
〈武術身体能力強化〉Lv37 〈スネークソード〉Lv40 〈義賊頭〉Lv18 〈隠蔽・改〉Lv3
〈妖精招来〉 Lv2(強制習得・昇格・控えスキルへの移動不可能)
追加能力スキル
〈黄龍変身〉Lv3
控えスキル
〈上級木工〉Lv30 〈上級薬剤〉Lv21 〈人魚泳法〉Lv8 〈釣り〉Lv2
〈料理の経験者〉Lv8(←1UP) 〈鍛冶の経験者〉Lv21
ExP29
称号:妖精女王の意見者 一人で強者を討伐した者 ドラゴンと龍に関わった者
妖精に祝福を受けた者 ドラゴンを調理した者 雲獣セラピスト 人災の相
託された者 龍の盟友 ドラゴンスレイヤー(胃袋限定) 義賊 人魚を釣った人間
プレイヤーからの二つ名:妖精王候補(妬) 戦場の料理人
感想 5,013
あなたにおすすめの小説
名門御曹司の婚約者を奪ったあざといルームメイトが、三日後「助けて」と泣きついてきた
熾星 午前一時、大学近くの女性専用シェアハウスは、エアコンの低い音だけが響いていた。森下莉香から一枚の写真が送られてきた。ホテルのスイートルームらしいベッドの上で、彼女は片方の肩を露わにし、鎖骨のあたりには生々しい赤い痕が残っていた。
背後の男の顔は写っていなかった。けれど、画面の端に映った手首だけで、私は十分だった。そこに巻かれていた白檀の腕輪念珠を、私は知っていた。
あれは、私が神宮寺怜央に贈ったものだった。
東京・港区の旧財閥系一族、神宮寺家の後継者。神宮寺家は老舗の不動産開発会社を中核に、近年は医療・介護施設への投資も広げていた。怜央はその跡取りとして、著名な卒業生であり、大学の有力なスポンサーでもある人物として、たびたび私たちの大学に顔を出していた。
『嘘の病気で同情を買うな』と私を死に追いやった婚約者、私の墓標の前で額を叩きつけ、血の涙を流して号泣する大破滅!
熾星婚姻届を出す前日、久世景人はようやく、十年遅れの婚約指輪を私の指にはめた。
銀色の輪が薬指に滑り込んだ瞬間、私は照明の下で光るダイヤをぼんやり見つめた。長く続いた待ち時間が、やっと終わったような気がした。けれど次の瞬間、彼は私の手を見下ろし、まるで似合わない品物を評するように静かな声で言った。
「正直、澪の手ってあまりきれいじゃないよな」
私は言葉を失った。
景人はそのまま私の指先を取ると、さっきはめたばかりの指輪を抜き取った。十年待ち続けた指輪は、彼の手のひらの上で冷たく光っていた。
「この指輪、瑠奈の手にあったほうが似合うと思う」
私は手を引き戻し、信じられない思いで彼を見た。
「どういう意味? 瑠奈と結婚するつもりなの?」
景人は目を伏せ、指輪の縁を指先でなぞった。まるで、たいしたことではない問いを少し考えているだけのようだった。
「そこまでじゃない。ただ、会えない時間が長くなると、どうしても瑠奈のことを考えるんだ」
その瞬間、私は自分がどうやってあのタワーマンションを出たのかさえ覚えていない。
「もやし炒めかぁ」——切り忘れた本音が、世界中のお姉さんを落とした件。
冬野 結流行りのイケメンボイスが出せず、事務所の同期やマネージャーから「才能がない」とバカにされ契約解除された底辺個人VTuber。絶望しながら最後の個人配信を終えた後、マイクの切り忘れに気づかず「お姉さん達に美味しいご飯作ってあげたいな」と素朴な本音を愚痴ってしまう。その不器用なギャップがSNSで世界中に大拡散。配信画面に戻ると、赤スパチャの嵐。元事務所が泣きついてくるが、すでに億万長者になった彼は完全無視する。
「お姉様の刺繍は素人ね」と笑った義妹の婚礼衣装——裏地を見た女官十二人が、一斉に針を置いた
歩人(あゆと)「お姉様の刺繍は、素人の手習いに見えますわね」――王太子妃となる異母妹アデリーナは、王宮女官たちの前で姉ローゼを笑った。翌週の婚礼の朝。式典装の最終確認のため、十二人の女官が衣装の裏地を検めた瞬間――一人、また一人と、針を置いた。裏地に縫い込まれていたのは、女官たちが十二年間ずっと探していた一筆の銀糸。即位式の絹外套、二人の王女の婚礼ドレス、亡き王太后の弔意の喪服。王家儀礼衣装のすべての裏地に、同じ手で、同じ糸で、同じ銀の花が縫い込まれていた。「アデリーナ様、これは――あなた様の手では、ございません」縫い手は、ずっと一人だった。それを十二年間、誰の名でも呼べなかっただけのこと。
夫が私の移植用心臓を運ぶヘリを愛人の犬に回したので、目覚めた私は彼を知らないふりをした
熾星 宗一郎がシャツの三つ目のボタンを留めたときには、私はもうスマートフォンで銀行アプリを開いていた。
ベッドの脇には女物のワンピースと彼のベルトが散らばっている。神崎美月はホテルのバスローブをまとい、浴室の入り口に立っていた。鎖骨には意味ありげな赤い痕。まるで私に見せつけるために、そこに立っているようだった。
カーテンは完全には閉じられていない。朝の光が絨毯に差し込み、部屋の惨状を残酷なほど鮮明に照らしていた。
初めてこんな場面に出くわしたとき、私は部屋のグラスを叩き割り、宗一郎の胸ぐらをつかんで理由を問い詰めた。
あのときの彼はベッドヘッドにもたれて煙草を吸い、ズボンすらまともに穿かないまま、淡々と言った。
「部屋が暗くて、お前と間違えた」
その後、同じような「人違い」は二度起きた。
それをきっかけに、私たちは書面で取り決めを交わした。不貞行為が一度発覚するたび、離婚成立前の解決金として、彼は私に五百万円を支払う。
「振り込んで」
「愛していない」って言われましても
小鳥遊 れいら結婚式前夜に「お前など愛していない」と言ったフォーエル侯爵家嫡男のルーカスに嫁ぐことになったスターリング伯爵家長女のべリーチェは、驚きながらも冷静だった。所詮は、貴族同士の政略結婚なのだから愛してほしいなど願ったこともなかった。べリーチェの反応に驚きながらも恋人との時間を優先していくルーカス。
ルーカスが本当に大切なものに気づいた時には時すでに遅かった・・・
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。