文字の大きさ
大
中
小
558 / 783
連載
料理と掲示板と守護者と
と言う訳で、いくつもの料理を作りながら気になったのでこの階の試練を担当している試験官に話しかけてみた。
「料理と言う事ですが、ここまで登ってきた人たちの中には料理スキルを持っている人が一人もいないパーティとかいるじゃないですか? そう言う場合ってどうなるんですか?」
この自分の質問に対する返答はこうだった。
「もちろん他の試練をあてがうだけですよ。今回のあなたの場合は戦闘物などにしてしまうと──試練そのものを文字通りぶち壊してしまう存在がいますので。もし料理が出来なければ、クイズを出すなどの手段もありました。試練の手段は複数用意してあるのが普通ですから」
との事。それもそうか、と納得して料理を続けているのだがその一方で……
「かっこいいところを見せてあっさり通過する予定が……」
と、守護者さんが隅っこでいじけていた。そう言う行動取られてもどうしようもないんですが。そもそも、この階の試験官が言っていたように、こうやって守護者が他の階をふらついていていいのだろうか? そして七五〇階の試練は本当に大丈夫なんだろうか? なので、久々に料理を実行しながら掲示板を覗いてみた。
試練内容)雑談掲示板NO.46327(また厳しくなった?
877:無名の冒険者 ID:RTHvds8dv
残り二ヶ月切ってる訳なんだが……ここに来て白の塔の七五〇階の試練が厳しくなったって話が上がってきてるよな?
878:無名の冒険者 ID:WEwe52w3$
ああ、黒の塔をクリアして二周目の感じで白の塔を攻略している友人がいるんだけど、黒の塔より戦闘難易度高いのおかしいってぼやいてる。で、動画を見せてもらったんだけど……ものすごい数の分身をボスが出してきて擦り潰されてるんだよ
879:無名の冒険者 ID:FDGHBsfdz
あの動画かな? あれは確かにひどい。一時停止などをして数えてみたけど……多分三桁行ってる。で、その分身がみんなえぐい火力もってるからタンクがヒーラーが判断ミスると即座にタンクが落とされる。で、タンクが落ちたら……その後は分かるな?
880:無名の冒険者 ID:wKUf9WEDfv
数の暴力って言葉を痛感してるよ。あれは酷い……だけどさ、俺達のパーティが挑んだ時はここまでひどくなかったぞ? 分身も精々一〇体前後だったし、タンクがあんな一瞬で落とされる事なんてなかったんだが……
881:無名の冒険者 ID:DVdd211ww
ああ、俺の時もそんな感じだった。多少は苦戦したけどあそこまでくっそえぐい事にはなってなかったぞ? 何なのあの全力フルスロットルで妨害するって殺意マシマシな守護者は。守護者になんかあったの?
882:無名の冒険者 ID:fgz569rWe
あったんだろうなぁ。ストレスが溜まったとか、理由があって二周目のパーティは何が何でもここで止めるっていう指令が飛んできたとか、その辺?
883:無名の冒険者 ID:DVFras8RE
結局守護者も塔の主人の命令で動く中間管理職だもんなぁ。そう言う指令が飛んできてもおかしくない、か?
884:無名の冒険者 ID:DVd552eWq
中間管理職……上からは無理な指示が飛び、下からはあれこれ不満をぶつけられ、ストレスで身を削られる立ち位置……ああ、また髪の毛が抜ける
885:無名の冒険者 ID:GEef53eIU
おい884の背中に哀愁が漂ってるんだが……大丈夫か?
886:無名の冒険者 ID:Kuyuy52dW
と言うか、もろ884の会社での立ち位置がそこなんだろうよ……働くって大変だよなぁ。胃薬も常飲してそうだ……ホント体には気をつけてな?
887:無名の冒険者 ID:EGDe5e123
いたたまれない話になってしまったなぁ。しかし、そう言う話を聞いてしまうと守護者が暴れるのも仕方がないと思えてきてしまった
888:無名の冒険者 ID:THGSdx5EZ
いやいや、それは流石にないぞ! やられている側からしてみればたまった物じゃない! あと二ヶ月無いのに、ここで足止めされるのは非常に痛すぎる! しかも理不尽難易度に突然なったんだから納得できないぞ!
889:無名の冒険者 ID:Hg33trW78
気持ちはわかる……んだけどさ、かなり遅れて七五〇階にようやく到着した自分達は分身五体ほどで、苦戦するぐらいで通してもらえたから同意が難しい。なお、黒の塔はクリアしてない一週目です
890:無名の冒険者 ID:j2feEwe2w
あ、一週目の人にはちゃんと配慮してくれる野ね。そこはちょっと安心。一週目の人すら何が何でも通さないモードになってないかだけが心配だったからさ。二周目の人は、まあ、がんばれ?
891:無名の冒険者 ID:nVCDCv5VC
二周目の人は挑戦する気持ちでやってるんだからしょうがないかもな。一週目の人が巻き込まれていないのであれば、個人的には問題なしじゃないかと思う。一週目の人が巻き込まれるなら流石に文句が出るけどな
892:無名の冒険者 ID:732gWerBd
一週目の難易度がそれぐらいならまあいいか。みんなの言っている通り、一週目の人すら三桁分身で擦り潰されてたらどうすんだって点だけが心配だった
893:無名の冒険者 ID:4f5f2rFeW
流石にワンモアもそこまで鬼畜じゃなかったか。慈悲の心の一かけらはあったんだなって
894:無名の冒険者 ID:5e32rfvrw
その代わり一かけらしかないけどな! 二種目ならばもう慈悲など要るまいと全力で殺しに来るけどな!!!
895:無名の冒険者 ID:dJrdg653r
それでこそワンモアってもんだろう(白目)それこそが運営ってもんだろう?(失神)
──どうやらおいてきた一番強い分身さんが無双しているようだ。が、ちゃんと一週目の人にはほどほどの難易度で挑戦者を通過させる気配りもある模様。その代わり……二周目の人は何が何でも通さないという殺意も見せているが、これって守護者の人に対するいろいろな不満やストレスが溜まって……と、守護者をちらりと見るとまだいじけていらっしゃった。
(しょーが無いなぁ。九品までは出来たから、最後の十品目は手伝える奴にするか)
作ったのはチャーハン、水餃子、ラビットホーンのステーキ、うどん、牛丼、ファルファッレパスタのミートソース(ファルファッレとは、蝶の形をしたパスタの事)、焼きおにぎり醤油&味噌、野菜炒め、漬物。料理の指定は無かったのですごいごっちゃりとしたモノになっちゃったけど、まあいいだろ。
そして最後の一品だが……守護者に声をかける前にこの階の試験官に、丈夫な木材を用意できるか質問。当然「そんな物が必要なのですか?」と聞かれてしまったが、木材を加工して作りたい物があるんですよと伝えて用意してもらった。そして作った物は……臼と杵。今まで高めてきた木工スキルの甲斐あってすぐにできた。
そう、最後の一品はお雑煮を作ろうと思ったのだ。鶏肉でだしを取ったお雑煮は旨いのだ。もち米が用意された食材の中にあったので、守護者のいじけを解消するためにも絶対作ろうと考えていた。少しでも出番を与えておいた方がこの先の事も考えると良いはず。
「すいません、守護者さん。最後の一品を作るのに協力をお願いしてもよろしいですか?」
そう声をかけると、いじけ状態から一転して笑顔になって寄ってくる守護者さん。何というか、やっぱり最初の頃のフェアリークィーンを見ている気分になるよ……
「料理と言う事ですが、ここまで登ってきた人たちの中には料理スキルを持っている人が一人もいないパーティとかいるじゃないですか? そう言う場合ってどうなるんですか?」
この自分の質問に対する返答はこうだった。
「もちろん他の試練をあてがうだけですよ。今回のあなたの場合は戦闘物などにしてしまうと──試練そのものを文字通りぶち壊してしまう存在がいますので。もし料理が出来なければ、クイズを出すなどの手段もありました。試練の手段は複数用意してあるのが普通ですから」
との事。それもそうか、と納得して料理を続けているのだがその一方で……
「かっこいいところを見せてあっさり通過する予定が……」
と、守護者さんが隅っこでいじけていた。そう言う行動取られてもどうしようもないんですが。そもそも、この階の試験官が言っていたように、こうやって守護者が他の階をふらついていていいのだろうか? そして七五〇階の試練は本当に大丈夫なんだろうか? なので、久々に料理を実行しながら掲示板を覗いてみた。
試練内容)雑談掲示板NO.46327(また厳しくなった?
877:無名の冒険者 ID:RTHvds8dv
残り二ヶ月切ってる訳なんだが……ここに来て白の塔の七五〇階の試練が厳しくなったって話が上がってきてるよな?
878:無名の冒険者 ID:WEwe52w3$
ああ、黒の塔をクリアして二周目の感じで白の塔を攻略している友人がいるんだけど、黒の塔より戦闘難易度高いのおかしいってぼやいてる。で、動画を見せてもらったんだけど……ものすごい数の分身をボスが出してきて擦り潰されてるんだよ
879:無名の冒険者 ID:FDGHBsfdz
あの動画かな? あれは確かにひどい。一時停止などをして数えてみたけど……多分三桁行ってる。で、その分身がみんなえぐい火力もってるからタンクがヒーラーが判断ミスると即座にタンクが落とされる。で、タンクが落ちたら……その後は分かるな?
880:無名の冒険者 ID:wKUf9WEDfv
数の暴力って言葉を痛感してるよ。あれは酷い……だけどさ、俺達のパーティが挑んだ時はここまでひどくなかったぞ? 分身も精々一〇体前後だったし、タンクがあんな一瞬で落とされる事なんてなかったんだが……
881:無名の冒険者 ID:DVdd211ww
ああ、俺の時もそんな感じだった。多少は苦戦したけどあそこまでくっそえぐい事にはなってなかったぞ? 何なのあの全力フルスロットルで妨害するって殺意マシマシな守護者は。守護者になんかあったの?
882:無名の冒険者 ID:fgz569rWe
あったんだろうなぁ。ストレスが溜まったとか、理由があって二周目のパーティは何が何でもここで止めるっていう指令が飛んできたとか、その辺?
883:無名の冒険者 ID:DVFras8RE
結局守護者も塔の主人の命令で動く中間管理職だもんなぁ。そう言う指令が飛んできてもおかしくない、か?
884:無名の冒険者 ID:DVd552eWq
中間管理職……上からは無理な指示が飛び、下からはあれこれ不満をぶつけられ、ストレスで身を削られる立ち位置……ああ、また髪の毛が抜ける
885:無名の冒険者 ID:GEef53eIU
おい884の背中に哀愁が漂ってるんだが……大丈夫か?
886:無名の冒険者 ID:Kuyuy52dW
と言うか、もろ884の会社での立ち位置がそこなんだろうよ……働くって大変だよなぁ。胃薬も常飲してそうだ……ホント体には気をつけてな?
887:無名の冒険者 ID:EGDe5e123
いたたまれない話になってしまったなぁ。しかし、そう言う話を聞いてしまうと守護者が暴れるのも仕方がないと思えてきてしまった
888:無名の冒険者 ID:THGSdx5EZ
いやいや、それは流石にないぞ! やられている側からしてみればたまった物じゃない! あと二ヶ月無いのに、ここで足止めされるのは非常に痛すぎる! しかも理不尽難易度に突然なったんだから納得できないぞ!
889:無名の冒険者 ID:Hg33trW78
気持ちはわかる……んだけどさ、かなり遅れて七五〇階にようやく到着した自分達は分身五体ほどで、苦戦するぐらいで通してもらえたから同意が難しい。なお、黒の塔はクリアしてない一週目です
890:無名の冒険者 ID:j2feEwe2w
あ、一週目の人にはちゃんと配慮してくれる野ね。そこはちょっと安心。一週目の人すら何が何でも通さないモードになってないかだけが心配だったからさ。二周目の人は、まあ、がんばれ?
891:無名の冒険者 ID:nVCDCv5VC
二周目の人は挑戦する気持ちでやってるんだからしょうがないかもな。一週目の人が巻き込まれていないのであれば、個人的には問題なしじゃないかと思う。一週目の人が巻き込まれるなら流石に文句が出るけどな
892:無名の冒険者 ID:732gWerBd
一週目の難易度がそれぐらいならまあいいか。みんなの言っている通り、一週目の人すら三桁分身で擦り潰されてたらどうすんだって点だけが心配だった
893:無名の冒険者 ID:4f5f2rFeW
流石にワンモアもそこまで鬼畜じゃなかったか。慈悲の心の一かけらはあったんだなって
894:無名の冒険者 ID:5e32rfvrw
その代わり一かけらしかないけどな! 二種目ならばもう慈悲など要るまいと全力で殺しに来るけどな!!!
895:無名の冒険者 ID:dJrdg653r
それでこそワンモアってもんだろう(白目)それこそが運営ってもんだろう?(失神)
──どうやらおいてきた一番強い分身さんが無双しているようだ。が、ちゃんと一週目の人にはほどほどの難易度で挑戦者を通過させる気配りもある模様。その代わり……二周目の人は何が何でも通さないという殺意も見せているが、これって守護者の人に対するいろいろな不満やストレスが溜まって……と、守護者をちらりと見るとまだいじけていらっしゃった。
(しょーが無いなぁ。九品までは出来たから、最後の十品目は手伝える奴にするか)
作ったのはチャーハン、水餃子、ラビットホーンのステーキ、うどん、牛丼、ファルファッレパスタのミートソース(ファルファッレとは、蝶の形をしたパスタの事)、焼きおにぎり醤油&味噌、野菜炒め、漬物。料理の指定は無かったのですごいごっちゃりとしたモノになっちゃったけど、まあいいだろ。
そして最後の一品だが……守護者に声をかける前にこの階の試験官に、丈夫な木材を用意できるか質問。当然「そんな物が必要なのですか?」と聞かれてしまったが、木材を加工して作りたい物があるんですよと伝えて用意してもらった。そして作った物は……臼と杵。今まで高めてきた木工スキルの甲斐あってすぐにできた。
そう、最後の一品はお雑煮を作ろうと思ったのだ。鶏肉でだしを取ったお雑煮は旨いのだ。もち米が用意された食材の中にあったので、守護者のいじけを解消するためにも絶対作ろうと考えていた。少しでも出番を与えておいた方がこの先の事も考えると良いはず。
「すいません、守護者さん。最後の一品を作るのに協力をお願いしてもよろしいですか?」
そう声をかけると、いじけ状態から一転して笑顔になって寄ってくる守護者さん。何というか、やっぱり最初の頃のフェアリークィーンを見ている気分になるよ……
感想 5,013
あなたにおすすめの小説
名門御曹司の婚約者を奪ったあざといルームメイトが、三日後「助けて」と泣きついてきた
熾星 午前一時、大学近くの女性専用シェアハウスは、エアコンの低い音だけが響いていた。森下莉香から一枚の写真が送られてきた。ホテルのスイートルームらしいベッドの上で、彼女は片方の肩を露わにし、鎖骨のあたりには生々しい赤い痕が残っていた。
背後の男の顔は写っていなかった。けれど、画面の端に映った手首だけで、私は十分だった。そこに巻かれていた白檀の腕輪念珠を、私は知っていた。
あれは、私が神宮寺怜央に贈ったものだった。
東京・港区の旧財閥系一族、神宮寺家の後継者。神宮寺家は老舗の不動産開発会社を中核に、近年は医療・介護施設への投資も広げていた。怜央はその跡取りとして、著名な卒業生であり、大学の有力なスポンサーでもある人物として、たびたび私たちの大学に顔を出していた。
『嘘の病気で同情を買うな』と私を死に追いやった婚約者、私の墓標の前で額を叩きつけ、血の涙を流して号泣する大破滅!
熾星婚姻届を出す前日、久世景人はようやく、十年遅れの婚約指輪を私の指にはめた。
銀色の輪が薬指に滑り込んだ瞬間、私は照明の下で光るダイヤをぼんやり見つめた。長く続いた待ち時間が、やっと終わったような気がした。けれど次の瞬間、彼は私の手を見下ろし、まるで似合わない品物を評するように静かな声で言った。
「正直、澪の手ってあまりきれいじゃないよな」
私は言葉を失った。
景人はそのまま私の指先を取ると、さっきはめたばかりの指輪を抜き取った。十年待ち続けた指輪は、彼の手のひらの上で冷たく光っていた。
「この指輪、瑠奈の手にあったほうが似合うと思う」
私は手を引き戻し、信じられない思いで彼を見た。
「どういう意味? 瑠奈と結婚するつもりなの?」
景人は目を伏せ、指輪の縁を指先でなぞった。まるで、たいしたことではない問いを少し考えているだけのようだった。
「そこまでじゃない。ただ、会えない時間が長くなると、どうしても瑠奈のことを考えるんだ」
その瞬間、私は自分がどうやってあのタワーマンションを出たのかさえ覚えていない。
「もやし炒めかぁ」——切り忘れた本音が、世界中のお姉さんを落とした件。
冬野 結流行りのイケメンボイスが出せず、事務所の同期やマネージャーから「才能がない」とバカにされ契約解除された底辺個人VTuber。絶望しながら最後の個人配信を終えた後、マイクの切り忘れに気づかず「お姉さん達に美味しいご飯作ってあげたいな」と素朴な本音を愚痴ってしまう。その不器用なギャップがSNSで世界中に大拡散。配信画面に戻ると、赤スパチャの嵐。元事務所が泣きついてくるが、すでに億万長者になった彼は完全無視する。
「お姉様の刺繍は素人ね」と笑った義妹の婚礼衣装——裏地を見た女官十二人が、一斉に針を置いた
歩人(あゆと)「お姉様の刺繍は、素人の手習いに見えますわね」――王太子妃となる異母妹アデリーナは、王宮女官たちの前で姉ローゼを笑った。翌週の婚礼の朝。式典装の最終確認のため、十二人の女官が衣装の裏地を検めた瞬間――一人、また一人と、針を置いた。裏地に縫い込まれていたのは、女官たちが十二年間ずっと探していた一筆の銀糸。即位式の絹外套、二人の王女の婚礼ドレス、亡き王太后の弔意の喪服。王家儀礼衣装のすべての裏地に、同じ手で、同じ糸で、同じ銀の花が縫い込まれていた。「アデリーナ様、これは――あなた様の手では、ございません」縫い手は、ずっと一人だった。それを十二年間、誰の名でも呼べなかっただけのこと。
夫が私の移植用心臓を運ぶヘリを愛人の犬に回したので、目覚めた私は彼を知らないふりをした
熾星 宗一郎がシャツの三つ目のボタンを留めたときには、私はもうスマートフォンで銀行アプリを開いていた。
ベッドの脇には女物のワンピースと彼のベルトが散らばっている。神崎美月はホテルのバスローブをまとい、浴室の入り口に立っていた。鎖骨には意味ありげな赤い痕。まるで私に見せつけるために、そこに立っているようだった。
カーテンは完全には閉じられていない。朝の光が絨毯に差し込み、部屋の惨状を残酷なほど鮮明に照らしていた。
初めてこんな場面に出くわしたとき、私は部屋のグラスを叩き割り、宗一郎の胸ぐらをつかんで理由を問い詰めた。
あのときの彼はベッドヘッドにもたれて煙草を吸い、ズボンすらまともに穿かないまま、淡々と言った。
「部屋が暗くて、お前と間違えた」
その後、同じような「人違い」は二度起きた。
それをきっかけに、私たちは書面で取り決めを交わした。不貞行為が一度発覚するたび、離婚成立前の解決金として、彼は私に五百万円を支払う。
「振り込んで」
「愛していない」って言われましても
小鳥遊 れいら結婚式前夜に「お前など愛していない」と言ったフォーエル侯爵家嫡男のルーカスに嫁ぐことになったスターリング伯爵家長女のべリーチェは、驚きながらも冷静だった。所詮は、貴族同士の政略結婚なのだから愛してほしいなど願ったこともなかった。べリーチェの反応に驚きながらも恋人との時間を優先していくルーカス。
ルーカスが本当に大切なものに気づいた時には時すでに遅かった・・・
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。