文字の大きさ
大
中
小
584 / 783
連載
そして休息の時&掲示板
女神によって塔の中央にある休息の場所へと自分は飛ばされた。ようやく塔の攻略が終わったのだと実感が沸くと共に、残された時間はのんびりできるなという感情が沸いてくる。塔の攻略中はのんびりなんか出来なかったし……女神との最終決戦前日までは、のんびりまったりと過ごすことにしよう。
そう今後の流れを頭の中で考えているとインフォメーションのアナウンスが始まった。これは先ほどの一件かな?
”お伝えします。白の塔を他プレイヤーとのパーティプレイを強要されるエリア以外をソロで踏破したプレイヤーが現れました”
うん、これは先ほど許可を求めてきた内容だね。このインフォメーションを聞いて周囲のプレイヤー達がざわつき始めた。だが、インフォメーションはこれだけでは終わらなかった。
”更に、白の塔、黒の塔を踏破したプレイヤーパーティが現れました。素晴らしき成果を上げたプレイヤー各員に、称賛を送ります”
なに!? 白と黒の両方を踏破したプレイヤーパーティ!? グラッド達は自分が足止めしてしまったから彼等ではない。そうなると──あっちゃー……グラッド達は自分と戦ったが故に両方の塔をトップで踏破したという栄誉を逃したことになる。申し訳ない気分にもなるが、それを口にしてはだめか。
(お互い全力で戦って、奥の手も使っての結果だった。下手な感情を持つことは、彼等に対して却って失礼だろうしな)
彼等も悔しいとは思うだろうが、納得もしてくれるだろう。それに明日、もう一度アナウンスが流れるかもしれないしな。さて、今日はもうログアウトだ。明日からはのんびりするぞ。
トチ狂ってる奴)雑談掲示板NO.48557(現れる
24:無名の冒険者 ID:RSGgsz545
さっきのインフォメーション、聞いたか?
25:無名の冒険者 ID:RSGsvz85w
耳を疑ったぞ。あの塔を方やソロ、方や両方制覇とか……狂ってるとしか思えん
26:無名の冒険者 ID:GFDBSsdv4
パーティですらすさまじくきついってのに、それをソロ踏破とか何考えてるんだよそいつは
27:無名の冒険者 ID:5358gfEqc
ソロもおかしいが、塔両方制覇もすさまじく狂ってると思うぞ? 難易度はもう登ってる人は嫌でも知ってるわけだし……それを両方とか絶対やりたくねえ!
28:無名の冒険者 ID:DFZdfs4WF
どれだけ戦ってるんだよこいつらは……俺もつい先日黒の塔ををやっとクリアした訳だが、両方クリアした奴らは単純で二倍戦ってるわけで。どういう戦い方をすればそんなペースで進められるんだよ
29:無名の冒険者 ID:RADFSBsr5
ソロもおかしいだろ……あの塔を、どうやったらソロでクリアできるんだよ! 普段ソロプレイヤーだった連中も、流石にこの塔ではパーティ組んで攻略してたんだぞ? 白の塔は確かに戦闘難易度という点では黒の塔よりは低いけどよ……ええ……??
30:無名の冒険者 ID:rgaskcjkv
まあ、普通のプレイヤーじゃ無理だわな。装備なりプレイヤースキルなり、そう言ったものが優れてないと無理だろ。まあ、やりそうなプレイヤーに心当たりが数名ほどあると言えばあるんだが
31:無名の冒険者 ID:EGFef4Wef
どのゲームでもすげえ奴はいるからな。それがプレイヤースキル側か、強烈な装備を手に入れられる強運持ち側かって差はあるが。両方揃う事はまずない……
32:無名の冒険者 ID:xEGraefs5
両方揃ったらもう止められない。過去にやったゲームでそう言うプレイヤー集団が現れて、タイムアタック系のトップをひた走ってた時期があった
33:無名の冒険者 ID:Phgb5rrWX
おそらく、両方の塔をクリアしたパーティはそろったパターンじゃね? そうじゃなきゃ無理だろ……攻略情報はこの時期だからかなり揃ってきているが、それをベストな状況で実行できるかどうかは全くの別。なにせVRだからなぁ
34:無名の冒険者 ID:EFe4ggeCV
それに加えて痛覚もあるからなこのゲームは。パーティでタンク役やってくれる皆さまにはいつも感謝しています……俺は出来ない
35:無名の冒険者 ID:OIHTdtg4W
タンカー役は本当に大変だからなぁ。痛みに耐えながら、モンスターの攻撃を押さえなきゃいけないんだからホント尊敬する
36:無名の冒険者 ID:xcXv122eL
いや、流石に痛覚軽減も兼ねたダメージ軽減系スキルはとってるからな? そして盾や武器でちゃんと受け流せば全く痛くないからな? 毎回痛かったら流石に出来ねえって
37:無名の冒険者 ID:GRESra4tE
まあ、中には回避する事でダメージを受けずに引き付け続ける回避盾というタンカーも存在するけど、どのみち俺は無理だわ。痛覚軽減されても、やる気にならねえ
38:無名の冒険者 ID:RTreggr4I
そして、ソロの踏破者に話が戻る。ソロである以上ある程度必要なスキルは決まってくる。故に、そいつは痛覚を軽減してくれるスキル系はたぶん取っていない。回復してくれる奴もいない。そしてモンスターは普通に複数出るから、判断ミスで囲まれて袋叩きにされる。ひたすら隠密で逃げるしかないだろうな
39:無名の冒険者 ID:676yhWEwf
真っ向勝負は絶対無理だろ。最小戦闘に抑えて、出来る限り戦わずにやり過ごす事で突破するしかない。試練はソロならある程度緩和はいるだろうからクリアは不可能ではないだろう。だからいかに道中のモンスターと戦わないかにかかってくるだろう
40:無名の冒険者 ID:BFSBdsf9J
誰にも頼れず、全ての困難を自分自身で対処するしかなく、出来なければ死ぬ。だから普通はダンジョンに入る時にはパーティを組むもんなんだが、ソロ踏破、出来るもんなんだな……
41:無名の冒険者 ID:KYdtfh54e
パーティならばその問題はかなり緩和されるけど、それでも一般の攻略速度の二倍近い速度で攻略しないと現時点で両方制覇は無理! 一体だれがやったんだよ? グラッド達か? アイツ等ならやれそうだが
42:無名の冒険者 ID:DGd5we2fe
出来そうなやつに心当たりはあるんだが、そいつらじゃないなぁ。あいつらだったら掲示板で発表するタイプだから。うーん、本当に誰がやったのやら
43:無名の冒険者 ID:fe8f2RWfg
でも踏破者の名前だしたらそいつらに多くの人が集まって根掘り葉掘り聞こうとするだろうから名前は出さなかったんだろうな。そこの判断は素晴らしい
44:無名の冒険者 ID:TJshd4rWe
相手の都合などお構いなしなパパラッチタイプの突撃プレイヤーはどうしても一定数いるからねぇ。名前を出したらそりゃもう何も考えずに突撃よ。そして怒涛の質問連射……まあ、このあたりがお約束の動きかね
45:無名の冒険者 ID:Hsg725wvB
よくもまあ、あそこまで大騒ぎできるよなとはおもうよパパラッチ系プレイヤー。勝手に大騒ぎして、勝手にデマ流して、迷惑かけても私知りませーんと知らんぷりする。個人的にはチーターの次に嫌いな連中
46:無名の冒険者 ID:vv52dFwrz
そこは同感。後はこの塔はして連中が最終日の決戦に出てくるかどうかだけど……来るよな? ここまで気合入った行動する奴らが参加しないとかありえんよな?
47:無名の冒険者 ID:HGDFd5rVd
そりゃー出るでしょ。最後の一大イベントなんだから、それを逃す奴はいないでしょ……踏破すれば絶対参加できるんだから。だからこそみんな踏破を目指してるんだし……心が折れた連中以外
48:無名の冒険者 ID:Dsgffd4E7
あーうん、一定数心が折れた連中もいるんだよね。でも、無理もないとは思うよ? くそきつい試練引いちゃった事でずっと進めなくなっちゃって、心身ともに疲れたって零す知り合いはいるし
49:無名の冒険者 ID:EGFg85erG
容赦なくプレイヤーをふるいにかけてる感じだもんね、この塔。今までの成果が問われてるってひしひしと感じる。その一方で、今回みたいな連中も居るわけで
50:無名の冒険者 ID:sfYtr4fid
クリアした連中は積極的に援軍として動いてくれないかな? そうなればかなり試練で苦しんでいる人達の福音となってくれそうなんだけど……難しいかな?
そう今後の流れを頭の中で考えているとインフォメーションのアナウンスが始まった。これは先ほどの一件かな?
”お伝えします。白の塔を他プレイヤーとのパーティプレイを強要されるエリア以外をソロで踏破したプレイヤーが現れました”
うん、これは先ほど許可を求めてきた内容だね。このインフォメーションを聞いて周囲のプレイヤー達がざわつき始めた。だが、インフォメーションはこれだけでは終わらなかった。
”更に、白の塔、黒の塔を踏破したプレイヤーパーティが現れました。素晴らしき成果を上げたプレイヤー各員に、称賛を送ります”
なに!? 白と黒の両方を踏破したプレイヤーパーティ!? グラッド達は自分が足止めしてしまったから彼等ではない。そうなると──あっちゃー……グラッド達は自分と戦ったが故に両方の塔をトップで踏破したという栄誉を逃したことになる。申し訳ない気分にもなるが、それを口にしてはだめか。
(お互い全力で戦って、奥の手も使っての結果だった。下手な感情を持つことは、彼等に対して却って失礼だろうしな)
彼等も悔しいとは思うだろうが、納得もしてくれるだろう。それに明日、もう一度アナウンスが流れるかもしれないしな。さて、今日はもうログアウトだ。明日からはのんびりするぞ。
トチ狂ってる奴)雑談掲示板NO.48557(現れる
24:無名の冒険者 ID:RSGgsz545
さっきのインフォメーション、聞いたか?
25:無名の冒険者 ID:RSGsvz85w
耳を疑ったぞ。あの塔を方やソロ、方や両方制覇とか……狂ってるとしか思えん
26:無名の冒険者 ID:GFDBSsdv4
パーティですらすさまじくきついってのに、それをソロ踏破とか何考えてるんだよそいつは
27:無名の冒険者 ID:5358gfEqc
ソロもおかしいが、塔両方制覇もすさまじく狂ってると思うぞ? 難易度はもう登ってる人は嫌でも知ってるわけだし……それを両方とか絶対やりたくねえ!
28:無名の冒険者 ID:DFZdfs4WF
どれだけ戦ってるんだよこいつらは……俺もつい先日黒の塔ををやっとクリアした訳だが、両方クリアした奴らは単純で二倍戦ってるわけで。どういう戦い方をすればそんなペースで進められるんだよ
29:無名の冒険者 ID:RADFSBsr5
ソロもおかしいだろ……あの塔を、どうやったらソロでクリアできるんだよ! 普段ソロプレイヤーだった連中も、流石にこの塔ではパーティ組んで攻略してたんだぞ? 白の塔は確かに戦闘難易度という点では黒の塔よりは低いけどよ……ええ……??
30:無名の冒険者 ID:rgaskcjkv
まあ、普通のプレイヤーじゃ無理だわな。装備なりプレイヤースキルなり、そう言ったものが優れてないと無理だろ。まあ、やりそうなプレイヤーに心当たりが数名ほどあると言えばあるんだが
31:無名の冒険者 ID:EGFef4Wef
どのゲームでもすげえ奴はいるからな。それがプレイヤースキル側か、強烈な装備を手に入れられる強運持ち側かって差はあるが。両方揃う事はまずない……
32:無名の冒険者 ID:xEGraefs5
両方揃ったらもう止められない。過去にやったゲームでそう言うプレイヤー集団が現れて、タイムアタック系のトップをひた走ってた時期があった
33:無名の冒険者 ID:Phgb5rrWX
おそらく、両方の塔をクリアしたパーティはそろったパターンじゃね? そうじゃなきゃ無理だろ……攻略情報はこの時期だからかなり揃ってきているが、それをベストな状況で実行できるかどうかは全くの別。なにせVRだからなぁ
34:無名の冒険者 ID:EFe4ggeCV
それに加えて痛覚もあるからなこのゲームは。パーティでタンク役やってくれる皆さまにはいつも感謝しています……俺は出来ない
35:無名の冒険者 ID:OIHTdtg4W
タンカー役は本当に大変だからなぁ。痛みに耐えながら、モンスターの攻撃を押さえなきゃいけないんだからホント尊敬する
36:無名の冒険者 ID:xcXv122eL
いや、流石に痛覚軽減も兼ねたダメージ軽減系スキルはとってるからな? そして盾や武器でちゃんと受け流せば全く痛くないからな? 毎回痛かったら流石に出来ねえって
37:無名の冒険者 ID:GRESra4tE
まあ、中には回避する事でダメージを受けずに引き付け続ける回避盾というタンカーも存在するけど、どのみち俺は無理だわ。痛覚軽減されても、やる気にならねえ
38:無名の冒険者 ID:RTreggr4I
そして、ソロの踏破者に話が戻る。ソロである以上ある程度必要なスキルは決まってくる。故に、そいつは痛覚を軽減してくれるスキル系はたぶん取っていない。回復してくれる奴もいない。そしてモンスターは普通に複数出るから、判断ミスで囲まれて袋叩きにされる。ひたすら隠密で逃げるしかないだろうな
39:無名の冒険者 ID:676yhWEwf
真っ向勝負は絶対無理だろ。最小戦闘に抑えて、出来る限り戦わずにやり過ごす事で突破するしかない。試練はソロならある程度緩和はいるだろうからクリアは不可能ではないだろう。だからいかに道中のモンスターと戦わないかにかかってくるだろう
40:無名の冒険者 ID:BFSBdsf9J
誰にも頼れず、全ての困難を自分自身で対処するしかなく、出来なければ死ぬ。だから普通はダンジョンに入る時にはパーティを組むもんなんだが、ソロ踏破、出来るもんなんだな……
41:無名の冒険者 ID:KYdtfh54e
パーティならばその問題はかなり緩和されるけど、それでも一般の攻略速度の二倍近い速度で攻略しないと現時点で両方制覇は無理! 一体だれがやったんだよ? グラッド達か? アイツ等ならやれそうだが
42:無名の冒険者 ID:DGd5we2fe
出来そうなやつに心当たりはあるんだが、そいつらじゃないなぁ。あいつらだったら掲示板で発表するタイプだから。うーん、本当に誰がやったのやら
43:無名の冒険者 ID:fe8f2RWfg
でも踏破者の名前だしたらそいつらに多くの人が集まって根掘り葉掘り聞こうとするだろうから名前は出さなかったんだろうな。そこの判断は素晴らしい
44:無名の冒険者 ID:TJshd4rWe
相手の都合などお構いなしなパパラッチタイプの突撃プレイヤーはどうしても一定数いるからねぇ。名前を出したらそりゃもう何も考えずに突撃よ。そして怒涛の質問連射……まあ、このあたりがお約束の動きかね
45:無名の冒険者 ID:Hsg725wvB
よくもまあ、あそこまで大騒ぎできるよなとはおもうよパパラッチ系プレイヤー。勝手に大騒ぎして、勝手にデマ流して、迷惑かけても私知りませーんと知らんぷりする。個人的にはチーターの次に嫌いな連中
46:無名の冒険者 ID:vv52dFwrz
そこは同感。後はこの塔はして連中が最終日の決戦に出てくるかどうかだけど……来るよな? ここまで気合入った行動する奴らが参加しないとかありえんよな?
47:無名の冒険者 ID:HGDFd5rVd
そりゃー出るでしょ。最後の一大イベントなんだから、それを逃す奴はいないでしょ……踏破すれば絶対参加できるんだから。だからこそみんな踏破を目指してるんだし……心が折れた連中以外
48:無名の冒険者 ID:Dsgffd4E7
あーうん、一定数心が折れた連中もいるんだよね。でも、無理もないとは思うよ? くそきつい試練引いちゃった事でずっと進めなくなっちゃって、心身ともに疲れたって零す知り合いはいるし
49:無名の冒険者 ID:EGFg85erG
容赦なくプレイヤーをふるいにかけてる感じだもんね、この塔。今までの成果が問われてるってひしひしと感じる。その一方で、今回みたいな連中も居るわけで
50:無名の冒険者 ID:sfYtr4fid
クリアした連中は積極的に援軍として動いてくれないかな? そうなればかなり試練で苦しんでいる人達の福音となってくれそうなんだけど……難しいかな?
感想 5,013
あなたにおすすめの小説
名門御曹司の婚約者を奪ったあざといルームメイトが、三日後「助けて」と泣きついてきた
熾星 午前一時、大学近くの女性専用シェアハウスは、エアコンの低い音だけが響いていた。森下莉香から一枚の写真が送られてきた。ホテルのスイートルームらしいベッドの上で、彼女は片方の肩を露わにし、鎖骨のあたりには生々しい赤い痕が残っていた。
背後の男の顔は写っていなかった。けれど、画面の端に映った手首だけで、私は十分だった。そこに巻かれていた白檀の腕輪念珠を、私は知っていた。
あれは、私が神宮寺怜央に贈ったものだった。
東京・港区の旧財閥系一族、神宮寺家の後継者。神宮寺家は老舗の不動産開発会社を中核に、近年は医療・介護施設への投資も広げていた。怜央はその跡取りとして、著名な卒業生であり、大学の有力なスポンサーでもある人物として、たびたび私たちの大学に顔を出していた。
『嘘の病気で同情を買うな』と私を死に追いやった婚約者、私の墓標の前で額を叩きつけ、血の涙を流して号泣する大破滅!
熾星婚姻届を出す前日、久世景人はようやく、十年遅れの婚約指輪を私の指にはめた。
銀色の輪が薬指に滑り込んだ瞬間、私は照明の下で光るダイヤをぼんやり見つめた。長く続いた待ち時間が、やっと終わったような気がした。けれど次の瞬間、彼は私の手を見下ろし、まるで似合わない品物を評するように静かな声で言った。
「正直、澪の手ってあまりきれいじゃないよな」
私は言葉を失った。
景人はそのまま私の指先を取ると、さっきはめたばかりの指輪を抜き取った。十年待ち続けた指輪は、彼の手のひらの上で冷たく光っていた。
「この指輪、瑠奈の手にあったほうが似合うと思う」
私は手を引き戻し、信じられない思いで彼を見た。
「どういう意味? 瑠奈と結婚するつもりなの?」
景人は目を伏せ、指輪の縁を指先でなぞった。まるで、たいしたことではない問いを少し考えているだけのようだった。
「そこまでじゃない。ただ、会えない時間が長くなると、どうしても瑠奈のことを考えるんだ」
その瞬間、私は自分がどうやってあのタワーマンションを出たのかさえ覚えていない。
「もやし炒めかぁ」——切り忘れた本音が、世界中のお姉さんを落とした件。
冬野 結流行りのイケメンボイスが出せず、事務所の同期やマネージャーから「才能がない」とバカにされ契約解除された底辺個人VTuber。絶望しながら最後の個人配信を終えた後、マイクの切り忘れに気づかず「お姉さん達に美味しいご飯作ってあげたいな」と素朴な本音を愚痴ってしまう。その不器用なギャップがSNSで世界中に大拡散。配信画面に戻ると、赤スパチャの嵐。元事務所が泣きついてくるが、すでに億万長者になった彼は完全無視する。
「お姉様の刺繍は素人ね」と笑った義妹の婚礼衣装——裏地を見た女官十二人が、一斉に針を置いた
歩人(あゆと)「お姉様の刺繍は、素人の手習いに見えますわね」――王太子妃となる異母妹アデリーナは、王宮女官たちの前で姉ローゼを笑った。翌週の婚礼の朝。式典装の最終確認のため、十二人の女官が衣装の裏地を検めた瞬間――一人、また一人と、針を置いた。裏地に縫い込まれていたのは、女官たちが十二年間ずっと探していた一筆の銀糸。即位式の絹外套、二人の王女の婚礼ドレス、亡き王太后の弔意の喪服。王家儀礼衣装のすべての裏地に、同じ手で、同じ糸で、同じ銀の花が縫い込まれていた。「アデリーナ様、これは――あなた様の手では、ございません」縫い手は、ずっと一人だった。それを十二年間、誰の名でも呼べなかっただけのこと。
夫が私の移植用心臓を運ぶヘリを愛人の犬に回したので、目覚めた私は彼を知らないふりをした
熾星 宗一郎がシャツの三つ目のボタンを留めたときには、私はもうスマートフォンで銀行アプリを開いていた。
ベッドの脇には女物のワンピースと彼のベルトが散らばっている。神崎美月はホテルのバスローブをまとい、浴室の入り口に立っていた。鎖骨には意味ありげな赤い痕。まるで私に見せつけるために、そこに立っているようだった。
カーテンは完全には閉じられていない。朝の光が絨毯に差し込み、部屋の惨状を残酷なほど鮮明に照らしていた。
初めてこんな場面に出くわしたとき、私は部屋のグラスを叩き割り、宗一郎の胸ぐらをつかんで理由を問い詰めた。
あのときの彼はベッドヘッドにもたれて煙草を吸い、ズボンすらまともに穿かないまま、淡々と言った。
「部屋が暗くて、お前と間違えた」
その後、同じような「人違い」は二度起きた。
それをきっかけに、私たちは書面で取り決めを交わした。不貞行為が一度発覚するたび、離婚成立前の解決金として、彼は私に五百万円を支払う。
「振り込んで」
「愛していない」って言われましても
小鳥遊 れいら結婚式前夜に「お前など愛していない」と言ったフォーエル侯爵家嫡男のルーカスに嫁ぐことになったスターリング伯爵家長女のべリーチェは、驚きながらも冷静だった。所詮は、貴族同士の政略結婚なのだから愛してほしいなど願ったこともなかった。べリーチェの反応に驚きながらも恋人との時間を優先していくルーカス。
ルーカスが本当に大切なものに気づいた時には時すでに遅かった・・・
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝 「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。