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連載
試作パイルバンカーのテスト
最初は単発式でいい。まずは土台を作ってそこから装填方法を考えよう。リボルバー型、カードリッチ型、方法は色々ある。だがあれもこれもと一気に進めようとするとかえって何も進まない事が良くある。もちろんそれで進めることが出来る人もいるが、自分はそんな形で物事を進めて破綻名完成させられるような能力を持つ人間ではない。
だから一つづつ試作品を作る事を繰り返して改善し、完成にもっていく。今まで作ってきた武具より難しい物を作ろうとしている以上、その方が時間はかかっても完成品の品質をあげられるはずだ。それに、あれこれ挑戦した方が本来の依頼品であるハサミを仕込んだシールドの設計に対するひらめきを得られると思うし。
(とりあえず、最初はメカ物のパイルバンカーを大いに参考にさせて貰って作るか。そこからどうすれば小型化しつつ強度を維持できるか、きちんと機能するようにできるかを考えていけばいい)
どんなことでもまずは模倣から始める。パクるって意味じゃないぞ? まずは先人がどういう理由でその形にしたのかを自分で作ってみる事で理解するって事だ。作ってみて、実際に動かしてみて、それで齟齬が出るか否かを実際に確かめる。使う素材は安価な鉄だ……多分一発成功はしない。それに動力が火薬系統なので……
(恐らく何回か試作品が悲惨な事になりそうだって予感があるんだよねぇ。もちろんすんなり成功してくれるに越したことはないし、その方がありがたいんだけどそんなうまくはいかないと思う……)
とにかく、初挑戦な所が多くある今回のパイルバンカー。だからこそまずは安価な素材で作り、完成度をあげてから本命の素材を使うのだ。安価な素材でも問題なく動くようになれば、本命の素材で作ったモノは長く運用できる武具として活躍してくれるはずだ。メカ物のパイルバンカーとにらめっこしながら設計図を引き、分からない部分はたぶんこうなんじゃないか? という想像力で書く。
(参考にしている物とはどうしても細部が異なる事になってしまうが、それでも問題なく動いてくれるのであればそれでいい。肝心なのは耐久性、武器としての威力、動作の安定性なのだから)
参考資料として使っているメカ物のパイルバンカーも完全に一からの設計図を書いてくれるなんて事は流石にないので、これは仕方がないだろう。それに、分からない部分は現実のパイルバンカー……しっかり地面などに固定してから打ち下ろす工業機械の方も参考にしている。とにかく、まずはパイルバンカーとして動く物を作り出せなければ始まらない。
初代試作パイルバンカーの設計図は大体三十分弱ぐらいで書きあがっただろうか? 正直甘い部分も多々あるが……まずはこれでワンモアの世界がこの武器をどう判断するかのテストをしてみたかった為、制作に取り掛かる事にした。パーツを作り、組み立てて一応の形になる。ただ完成した物は持ち運ぶのはかなり大変だ。自分の筋力だと両手を使わないと持ち運べない。
(ここから軽量化も考えなきゃいけないんだよな。これはストラスの作る合金に期待するしかないか。彼の作る合金次第でどれだけ軽量化が出来るか左右されることになる)
とりあえずそれは後で考えれば良いだろう。とりあえず今はこの試作品を試したい。なので動力源とする火薬を得るためにカーネリアンの所に訪れる。
「そう言う事ならもちろん良いわよ。とりあえずこれぐらいあればいいかしら?」
渡された火薬の量だが、試作品で使うなら多分一万回以上は試せるんじゃないかなーってぐらいの量だった。まあ、多いに越したことはない。参考までに火薬の質などは──
ネルジェネイト火薬
カーネリアンという技術者が生み出した途轍もなく強烈な火薬。僅かな量で従来の火薬以上の爆発的な威力を生み出せる危険な一品。扱いを間違えれば、使った本人の肉体を文字通り木っ端みじんに消し飛ばして何もかにも消しかねない。
制作評価10
とまあ、物騒すぎる説明文。それでも便利な事には変わりないのでありがたく運用させてもらう。なお、テストする場所は白の塔で敵が出ない五階。あそこなら他の人の迷惑になる事は無いだろう。もちろん試作品として他の人に見せられるレベルになったらストラスとカーネリアンに見せるためにも親方の隠し工房内でやるんだけど、今はどうなるか分からないから無理。
(火薬の量は……当初の予定の四分の一まで削っておこう。説明文を信用するなら、それぐらいの量で充分杭を打ち出すだけのパワーが得られるはずだ)
なお、杭の方も量産してある。当然だよね、今回のパイルバンカーは杭を打ち出す形なのだから一発しか杭を用意しないなんてのは流石にあり得ない。さて、ではさっそくテストと行こう。白の塔の内部で試作型パイルバンカーとそれを乗せて固定する土台。的としてジャンクになってしまってもういらないゴミの鎧を貰ってきてあるのでそれを設置。
ゴミとはいえ、鎧なので一定の装甲はまだ維持されている。が、それを貫けない様じゃ話にならない。相手に突き刺さらないんじゃパイルバンカーの火力はがた落ちで、本領を発揮できない。実際にはパイルバンカーが役に立たないと言われている理由がこれで、相手の装甲を杭が突き破れないとされているからだ。
何故突き破れないのかというと、杭を打ち出して相手に接触すると当然ぶつかった相手の装甲がそれを阻む。すると、パイルバンカーを持つ腕は固定されていないので後ろに圧し戻されてしまう形になる。現実の工事現場で使われている奴が作動するのはがっちり固定を施した上で運用しているからに他ならない。
じゃあ何故メカ物では刺さってんの? という話になってくるが……これはメカ故に腕自体に相当の重量があり、特にパイルバンカーに特化した腕は後ろに圧し戻されないようにする為太い腕で物理的な重量などを増やし、安定性を高めている為であると思われる。故に杭が当たった事で押し戻される力を押さえつけて貫通力を相手に押し付けられているのだろう。多分……
(この点に関しては、自分もこうすればよいというイメージは持っている。だがまずはこの最初の段階である動作確認を行わないとな。一つづつ問題をクリアするべきだ)
今回の杭を打ち出す仕組みは、極端な例を挙げるなら火縄銃の弾丸だ。後ろにある火薬が弾丸の尻を叩き、弾丸を押し出す仕組みというあまりにも簡単な物だ。まあ火薬そのものをそのまま詰め込んでいるのではなく簡易的なカードリッチの様な物を作り、杭を打ち出す機構の動力源となる様にしている。
セットが完了したら十分に距離を取る。トリガーを引く方法は、ワイヤーのような物を引っ張る事で遠距離から引けるようにした。何せ最初の試作品だから、何が起こるか分からない。だからしっかりと避難しておかなければならない……火薬の説明文にもあったし、自爆して木っ端みじんになるような事態は御免被る。
いよいよ実験だ。深呼吸をしてから盾を構え、体を小さくすぼめてから意を決してトリガーを引くべくワイヤーを大きく一気に引いた。その瞬間自分が見た物は──あまりに激しい閃光に包まれる試作パイルバンカーとジャンクの鎧。一拍遅れて凄まじい衝撃と共に轟音が耳に届いた。
自分は吹き飛ばされて地面を転がる。耳鳴りがひどいし、閃光に目をやられたのか盲目状態となっている影響で視覚と聴覚が全く機能しない。それでも分かった、初代試作パイルバンカーは失敗に終わったのだと。あの閃光と衝撃に耐えられるようなつくりにはなっていないのだから……
とにかく、視覚と聴覚が回復するまではこのままでいるほかない。回復次第試作品がどう吹っ飛んだのかを確認して、改善点を洗い出す必要がある。その前に考えるべきことは──
(火薬の量の調整だなぁ……あれだけ少なくしたというのにこちらの想定していた想像の数十倍の威力を発揮した。これならもっと量を削っていい……貰った量から計算しなおすと、一万回どころか十万階以上テストできる量だわ、あれは)
早く耳鳴りと盲目が治ってくれと願いながらも、次回のテストに使う火薬の量はどれぐらいが適切なのか……と再計算。最初から上手く行く訳がないと思ってはいたけれど、これでは先が思いやられるなぁ。
だから一つづつ試作品を作る事を繰り返して改善し、完成にもっていく。今まで作ってきた武具より難しい物を作ろうとしている以上、その方が時間はかかっても完成品の品質をあげられるはずだ。それに、あれこれ挑戦した方が本来の依頼品であるハサミを仕込んだシールドの設計に対するひらめきを得られると思うし。
(とりあえず、最初はメカ物のパイルバンカーを大いに参考にさせて貰って作るか。そこからどうすれば小型化しつつ強度を維持できるか、きちんと機能するようにできるかを考えていけばいい)
どんなことでもまずは模倣から始める。パクるって意味じゃないぞ? まずは先人がどういう理由でその形にしたのかを自分で作ってみる事で理解するって事だ。作ってみて、実際に動かしてみて、それで齟齬が出るか否かを実際に確かめる。使う素材は安価な鉄だ……多分一発成功はしない。それに動力が火薬系統なので……
(恐らく何回か試作品が悲惨な事になりそうだって予感があるんだよねぇ。もちろんすんなり成功してくれるに越したことはないし、その方がありがたいんだけどそんなうまくはいかないと思う……)
とにかく、初挑戦な所が多くある今回のパイルバンカー。だからこそまずは安価な素材で作り、完成度をあげてから本命の素材を使うのだ。安価な素材でも問題なく動くようになれば、本命の素材で作ったモノは長く運用できる武具として活躍してくれるはずだ。メカ物のパイルバンカーとにらめっこしながら設計図を引き、分からない部分はたぶんこうなんじゃないか? という想像力で書く。
(参考にしている物とはどうしても細部が異なる事になってしまうが、それでも問題なく動いてくれるのであればそれでいい。肝心なのは耐久性、武器としての威力、動作の安定性なのだから)
参考資料として使っているメカ物のパイルバンカーも完全に一からの設計図を書いてくれるなんて事は流石にないので、これは仕方がないだろう。それに、分からない部分は現実のパイルバンカー……しっかり地面などに固定してから打ち下ろす工業機械の方も参考にしている。とにかく、まずはパイルバンカーとして動く物を作り出せなければ始まらない。
初代試作パイルバンカーの設計図は大体三十分弱ぐらいで書きあがっただろうか? 正直甘い部分も多々あるが……まずはこれでワンモアの世界がこの武器をどう判断するかのテストをしてみたかった為、制作に取り掛かる事にした。パーツを作り、組み立てて一応の形になる。ただ完成した物は持ち運ぶのはかなり大変だ。自分の筋力だと両手を使わないと持ち運べない。
(ここから軽量化も考えなきゃいけないんだよな。これはストラスの作る合金に期待するしかないか。彼の作る合金次第でどれだけ軽量化が出来るか左右されることになる)
とりあえずそれは後で考えれば良いだろう。とりあえず今はこの試作品を試したい。なので動力源とする火薬を得るためにカーネリアンの所に訪れる。
「そう言う事ならもちろん良いわよ。とりあえずこれぐらいあればいいかしら?」
渡された火薬の量だが、試作品で使うなら多分一万回以上は試せるんじゃないかなーってぐらいの量だった。まあ、多いに越したことはない。参考までに火薬の質などは──
ネルジェネイト火薬
カーネリアンという技術者が生み出した途轍もなく強烈な火薬。僅かな量で従来の火薬以上の爆発的な威力を生み出せる危険な一品。扱いを間違えれば、使った本人の肉体を文字通り木っ端みじんに消し飛ばして何もかにも消しかねない。
制作評価10
とまあ、物騒すぎる説明文。それでも便利な事には変わりないのでありがたく運用させてもらう。なお、テストする場所は白の塔で敵が出ない五階。あそこなら他の人の迷惑になる事は無いだろう。もちろん試作品として他の人に見せられるレベルになったらストラスとカーネリアンに見せるためにも親方の隠し工房内でやるんだけど、今はどうなるか分からないから無理。
(火薬の量は……当初の予定の四分の一まで削っておこう。説明文を信用するなら、それぐらいの量で充分杭を打ち出すだけのパワーが得られるはずだ)
なお、杭の方も量産してある。当然だよね、今回のパイルバンカーは杭を打ち出す形なのだから一発しか杭を用意しないなんてのは流石にあり得ない。さて、ではさっそくテストと行こう。白の塔の内部で試作型パイルバンカーとそれを乗せて固定する土台。的としてジャンクになってしまってもういらないゴミの鎧を貰ってきてあるのでそれを設置。
ゴミとはいえ、鎧なので一定の装甲はまだ維持されている。が、それを貫けない様じゃ話にならない。相手に突き刺さらないんじゃパイルバンカーの火力はがた落ちで、本領を発揮できない。実際にはパイルバンカーが役に立たないと言われている理由がこれで、相手の装甲を杭が突き破れないとされているからだ。
何故突き破れないのかというと、杭を打ち出して相手に接触すると当然ぶつかった相手の装甲がそれを阻む。すると、パイルバンカーを持つ腕は固定されていないので後ろに圧し戻されてしまう形になる。現実の工事現場で使われている奴が作動するのはがっちり固定を施した上で運用しているからに他ならない。
じゃあ何故メカ物では刺さってんの? という話になってくるが……これはメカ故に腕自体に相当の重量があり、特にパイルバンカーに特化した腕は後ろに圧し戻されないようにする為太い腕で物理的な重量などを増やし、安定性を高めている為であると思われる。故に杭が当たった事で押し戻される力を押さえつけて貫通力を相手に押し付けられているのだろう。多分……
(この点に関しては、自分もこうすればよいというイメージは持っている。だがまずはこの最初の段階である動作確認を行わないとな。一つづつ問題をクリアするべきだ)
今回の杭を打ち出す仕組みは、極端な例を挙げるなら火縄銃の弾丸だ。後ろにある火薬が弾丸の尻を叩き、弾丸を押し出す仕組みというあまりにも簡単な物だ。まあ火薬そのものをそのまま詰め込んでいるのではなく簡易的なカードリッチの様な物を作り、杭を打ち出す機構の動力源となる様にしている。
セットが完了したら十分に距離を取る。トリガーを引く方法は、ワイヤーのような物を引っ張る事で遠距離から引けるようにした。何せ最初の試作品だから、何が起こるか分からない。だからしっかりと避難しておかなければならない……火薬の説明文にもあったし、自爆して木っ端みじんになるような事態は御免被る。
いよいよ実験だ。深呼吸をしてから盾を構え、体を小さくすぼめてから意を決してトリガーを引くべくワイヤーを大きく一気に引いた。その瞬間自分が見た物は──あまりに激しい閃光に包まれる試作パイルバンカーとジャンクの鎧。一拍遅れて凄まじい衝撃と共に轟音が耳に届いた。
自分は吹き飛ばされて地面を転がる。耳鳴りがひどいし、閃光に目をやられたのか盲目状態となっている影響で視覚と聴覚が全く機能しない。それでも分かった、初代試作パイルバンカーは失敗に終わったのだと。あの閃光と衝撃に耐えられるようなつくりにはなっていないのだから……
とにかく、視覚と聴覚が回復するまではこのままでいるほかない。回復次第試作品がどう吹っ飛んだのかを確認して、改善点を洗い出す必要がある。その前に考えるべきことは──
(火薬の量の調整だなぁ……あれだけ少なくしたというのにこちらの想定していた想像の数十倍の威力を発揮した。これならもっと量を削っていい……貰った量から計算しなおすと、一万回どころか十万階以上テストできる量だわ、あれは)
早く耳鳴りと盲目が治ってくれと願いながらも、次回のテストに使う火薬の量はどれぐらいが適切なのか……と再計算。最初から上手く行く訳がないと思ってはいたけれど、これでは先が思いやられるなぁ。
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