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VSジャグド
ジャグドからPVPの申請が届き自分がそれを受諾、再びPVPエリアに自分は降り立つ事となった。
「じゃ、時間も押してるしとっとと始めるか。が、アースは大丈夫か? 息を整えてえっていうなら待つが?」「いえ、大丈夫です。始めましょう」
ジャグドの気遣いに、大丈夫と返答を返して構える自分。ジャグドも自分の行動をみて問題は無いと判断したようで向こうも構えたのだ、が……
「その弓……」「ああ、こいつか。特注で作らせていた弓が先日ようやく手元に届いてな。アース、お前の弓を参考にさせてもらったぜ」
ジャグドが取り出した弓は今までの物とは違う、自分のように弓の先端に刃が取り付けてあるものだったのだ。まさかジャグドが、自分の弓を模した物を作ってくるとは……流石に弓の形そのものはベーシックな物だし、ついている刃も長めのナイフぐらいの刃渡りで爪のようにはなっていない。だが、あれならば自分と同じような戦い方が出来るだろう。
「弓の先に刃を取り付けるってのはキワモノかと思ったが……実際に使ってみると存外悪くねえ。しかもこの刃による近接戦闘のダメージは弓スキルによって上昇するお陰で火力も上々だ。アースがなぜこんなスタイルを取っているかが、実際に握ってみると良く分かったぜ」
ジャグドの事だ、こうして実戦に投入してくるって事は慣らしは十分に済ませているとみて良い。そして、これが他のプレイヤーにはまだ見せたくない札の一つと言う事だろう。外にいた時はこの弓を持ち出していなかったからな。
「さらにはこうして、目の前にこのスタイルを生み出した第一人者がいる。アース、全力で試させてもらうぜ!」
ジャグドが獰猛な笑みを浮かべるとほぼ同時にカウントダウンが始まった。外ではまず見せないジャグドのここまで明確な敵意を自分がぶつけられることになるとは、本当に何があるか分からないものだ。だが、今更怯んでも何にもならないし──こちらもまた、全力で跳ね返すだけである。
カウントダウンが終わってPvPが始まった直後、ジャグドは自分に対して突っ込んできた。一応射撃戦を仕掛けてくることも想定していたがこれなら接近戦重視で──と、考えるのは浅はかだろう。ジャグドの技術力なら、一瞬でクィックドローっていうんだっけ? 珠の早打ちをするような感覚で弓に矢を番えて放ってくるなんて事は普通にやってくる。
だからこそ、近距離戦の最中でも射撃される可能性はある。もっとも、向こうも同じことを考えているのだろうが。更にこっちには色々と道具がある事も当然ジャグドは知っている。だから、お互いの札を出し合いながら、どこで相手を騙すかの勝負となるだろう。
(それにしても、ジャグドはどれだけこの新しい弓の訓練に時間を費やしたんだろう? 自分よりはるかに使っている時間は短いはずなのに、こうも打ち合えるとは)
自分は長い間八岐の月を使ってきたし、時間をかけて修練を重ねてきたがジャグドはそうはいかなかったはず。だと言うのに、こうしてぶつかり合っているとジャグドの近接戦にす気を見出す事が難しい。無論グラッドを始めとしたパーティメンバーと散々戦いながら慣らしたんだろうが、それにしたって習得速度が速すぎるぞ。
だが、それを可能にするだけの修練をきっとジャグドは積んだのだろう。才能ではなく努力。元々グラッド率いるパーティメンバーは上昇志向が非常に強い。強くなるならば外道働き以外は何でもやると言う面子である。そんな面子の前で八岐の月を何度も振り回していれば、こうなるのも自然な話だったのかもしれない。
(おっと、やっぱりやってきたか)
戦闘の最中、ジャグドが至近距離で素早く矢を弓に番えて放とうとしてきた。なのでこちらはジャグドの弓に攻撃を加えてそれを阻止する。ジャグドが弓を取り落す事はなかったが、攻撃によって狙いがぶれた事で当たらないと判断したらしいジャグドは矢を引っ込めた。
「初見で防ぐかよ」「その行動の可能性は、この弓を長く使っていれば考えるよ。こんな風にね」
と、お返しとばかりに今度はこっちが素早く矢を番えて放つ。素早く放つためにあまり弦を引けず、放たれた矢は普段と比べて勢いも速度もなかったためジャグドの回避を許した。それでも多少掠めたらしく、ジャグドの脇腹あたりから鮮血が僅かに舞った。
「ち、やはり使いこなしてる奴は違うな!」「伊達に長くこの相棒と旅を続けてきたわけじゃないからね」
これ以上の接近戦は流れを持っていかれるだけと判断でもしたのだろうか。ジャグドは大きくパックステップしながら何か黒い物を複数自分に向かって投げつけてくる。そんな危険物には触れたくないので、こちらもサイドステップした後にさらに大きく跳躍して離れる。ジャグドの投げてきた物は爆発物だってようで、大きな爆発音が周囲にこだました。
そこから自分とジャグドがほぼ同時に矢を番えてお互いに向かって放つ。放たれた矢は……自分が放った矢をジャグドはぎりぎり回避し、自分はジャグドが放った矢を回避し損ねた──が、ピカーシャの心羽根の特殊効果で矢がそれた事でノーダメージ。とはいえ、一定距離が開くとやはりジャグドの方が強いのは今の一瞬で如実に出た。
が、だからと言って簡単に距離をジャグドが詰めさせてくれるはずもない。ジャグドは走り回りながらも弓を構えて次々と矢を放ってくる。動きが固定されるアーツは一切なし、純粋に己の技量だけで攻撃を仕掛けてくる。こちらも同じような行動をとる。アーツを下手に放てば、外した瞬間狙いすました一矢が自分の脳天か首に突き刺さるのは間違いないから。
(危ない!)
たまに回避が難しいタイミングで嫌らしい所にまさに置いてあったかのような矢が飛んでくる。そう言った矢は八岐の月の爪部分で弾き落としたり盾によって受け流したりすることで凌いでいる。それに比べてこちらの矢は、ジャグドに一本も当てられないどころかガードすらさせていない。状況はこちらが悪いのは言うまでもないか。
とはいえ、泣き言を言っている暇もない。集中力を切らせばジャグドが放ってくる矢への対処が遅れて即死しかねない。とにかく頭部や首に殺意の高い矢がバカスカ飛んでくるのが恐ろしい。これがトッププレイヤーのAIM力か……だが感心してばかりもいられない。こちらも出来る限りジャグドの嫌がりそうな場所を考え、移動先を呼んで先読み射撃を交えながら抵抗する。
「いいぞ、良いぞアース! 面白くって仕方がねえ!」
そんな戦闘の最中、笑いながらジャグドが叫ぶ。叫んだあとはますます殺意が高い矢が遠慮なく飛んでくる。頭部、首だけでなく心臓まで狙い始めた様で、とことんこちらを即死させかねない矢がひっきりなしだ。が、これはつまりジャグドは本気を出しているという事だ。さすがにこれをまだ加減しているとは思いたくないというのが本音なんだけど。
なんて弱音を心の中で吐いている場合じゃない。ジャグドが強いのは事実だが、じゃあ負けてもいい? と問われればノーと答えるだけの意地はしっかり持っている。それに早々に負けを認めてやる気のない行為を取るのは、ジャグドに対しても失礼だろう。だから必死で抵抗する。
(それに、こういう必死になる状況こそ自分自身のプレイヤースキルを磨く場になりうる)
全力で殺しに来る相手だからこそ、生き延びる術が身につく。今までの経験をより高度に練り上げられる。ゲームならではの話ではあるのだが、VRと言う世界だからこそ、スキルやアーツに頼らないそう言った動きを磨いて実戦でできるプレイヤーこそがこの世界では強いのである。
女神との戦いまであと一月弱……だからこそ、こういった場は最大限に生かそう。もう地上に降りる事は出来ない為、雨龍師匠に鍛えてもらう事も出来ない。だからこういったPvPが最後の修行の場とも言えるだろう。だからこそ全力で事に当たる。
──とはいえ、このままではジャグド優位な状況は変わらないな。それはちょっと、面白くない。ジャグドが放ってくる矢を対処するのは良い訓練になってはいるが、それだけでは勝てるはずもない。だからこそ、そろそろこっちもより積極的な行動をとるべきだ。勝負に勝つ方法とは、自分の有利を相手に押し付ける事なんて言葉もある。
(そろそろ、次の手を打とうか)
次はこちらが仕掛ける番だ。ジャグドの矢を放ってくるタイミングを見計らって、距離を詰める。まずはそこからだ。
「じゃ、時間も押してるしとっとと始めるか。が、アースは大丈夫か? 息を整えてえっていうなら待つが?」「いえ、大丈夫です。始めましょう」
ジャグドの気遣いに、大丈夫と返答を返して構える自分。ジャグドも自分の行動をみて問題は無いと判断したようで向こうも構えたのだ、が……
「その弓……」「ああ、こいつか。特注で作らせていた弓が先日ようやく手元に届いてな。アース、お前の弓を参考にさせてもらったぜ」
ジャグドが取り出した弓は今までの物とは違う、自分のように弓の先端に刃が取り付けてあるものだったのだ。まさかジャグドが、自分の弓を模した物を作ってくるとは……流石に弓の形そのものはベーシックな物だし、ついている刃も長めのナイフぐらいの刃渡りで爪のようにはなっていない。だが、あれならば自分と同じような戦い方が出来るだろう。
「弓の先に刃を取り付けるってのはキワモノかと思ったが……実際に使ってみると存外悪くねえ。しかもこの刃による近接戦闘のダメージは弓スキルによって上昇するお陰で火力も上々だ。アースがなぜこんなスタイルを取っているかが、実際に握ってみると良く分かったぜ」
ジャグドの事だ、こうして実戦に投入してくるって事は慣らしは十分に済ませているとみて良い。そして、これが他のプレイヤーにはまだ見せたくない札の一つと言う事だろう。外にいた時はこの弓を持ち出していなかったからな。
「さらにはこうして、目の前にこのスタイルを生み出した第一人者がいる。アース、全力で試させてもらうぜ!」
ジャグドが獰猛な笑みを浮かべるとほぼ同時にカウントダウンが始まった。外ではまず見せないジャグドのここまで明確な敵意を自分がぶつけられることになるとは、本当に何があるか分からないものだ。だが、今更怯んでも何にもならないし──こちらもまた、全力で跳ね返すだけである。
カウントダウンが終わってPvPが始まった直後、ジャグドは自分に対して突っ込んできた。一応射撃戦を仕掛けてくることも想定していたがこれなら接近戦重視で──と、考えるのは浅はかだろう。ジャグドの技術力なら、一瞬でクィックドローっていうんだっけ? 珠の早打ちをするような感覚で弓に矢を番えて放ってくるなんて事は普通にやってくる。
だからこそ、近距離戦の最中でも射撃される可能性はある。もっとも、向こうも同じことを考えているのだろうが。更にこっちには色々と道具がある事も当然ジャグドは知っている。だから、お互いの札を出し合いながら、どこで相手を騙すかの勝負となるだろう。
(それにしても、ジャグドはどれだけこの新しい弓の訓練に時間を費やしたんだろう? 自分よりはるかに使っている時間は短いはずなのに、こうも打ち合えるとは)
自分は長い間八岐の月を使ってきたし、時間をかけて修練を重ねてきたがジャグドはそうはいかなかったはず。だと言うのに、こうしてぶつかり合っているとジャグドの近接戦にす気を見出す事が難しい。無論グラッドを始めとしたパーティメンバーと散々戦いながら慣らしたんだろうが、それにしたって習得速度が速すぎるぞ。
だが、それを可能にするだけの修練をきっとジャグドは積んだのだろう。才能ではなく努力。元々グラッド率いるパーティメンバーは上昇志向が非常に強い。強くなるならば外道働き以外は何でもやると言う面子である。そんな面子の前で八岐の月を何度も振り回していれば、こうなるのも自然な話だったのかもしれない。
(おっと、やっぱりやってきたか)
戦闘の最中、ジャグドが至近距離で素早く矢を弓に番えて放とうとしてきた。なのでこちらはジャグドの弓に攻撃を加えてそれを阻止する。ジャグドが弓を取り落す事はなかったが、攻撃によって狙いがぶれた事で当たらないと判断したらしいジャグドは矢を引っ込めた。
「初見で防ぐかよ」「その行動の可能性は、この弓を長く使っていれば考えるよ。こんな風にね」
と、お返しとばかりに今度はこっちが素早く矢を番えて放つ。素早く放つためにあまり弦を引けず、放たれた矢は普段と比べて勢いも速度もなかったためジャグドの回避を許した。それでも多少掠めたらしく、ジャグドの脇腹あたりから鮮血が僅かに舞った。
「ち、やはり使いこなしてる奴は違うな!」「伊達に長くこの相棒と旅を続けてきたわけじゃないからね」
これ以上の接近戦は流れを持っていかれるだけと判断でもしたのだろうか。ジャグドは大きくパックステップしながら何か黒い物を複数自分に向かって投げつけてくる。そんな危険物には触れたくないので、こちらもサイドステップした後にさらに大きく跳躍して離れる。ジャグドの投げてきた物は爆発物だってようで、大きな爆発音が周囲にこだました。
そこから自分とジャグドがほぼ同時に矢を番えてお互いに向かって放つ。放たれた矢は……自分が放った矢をジャグドはぎりぎり回避し、自分はジャグドが放った矢を回避し損ねた──が、ピカーシャの心羽根の特殊効果で矢がそれた事でノーダメージ。とはいえ、一定距離が開くとやはりジャグドの方が強いのは今の一瞬で如実に出た。
が、だからと言って簡単に距離をジャグドが詰めさせてくれるはずもない。ジャグドは走り回りながらも弓を構えて次々と矢を放ってくる。動きが固定されるアーツは一切なし、純粋に己の技量だけで攻撃を仕掛けてくる。こちらも同じような行動をとる。アーツを下手に放てば、外した瞬間狙いすました一矢が自分の脳天か首に突き刺さるのは間違いないから。
(危ない!)
たまに回避が難しいタイミングで嫌らしい所にまさに置いてあったかのような矢が飛んでくる。そう言った矢は八岐の月の爪部分で弾き落としたり盾によって受け流したりすることで凌いでいる。それに比べてこちらの矢は、ジャグドに一本も当てられないどころかガードすらさせていない。状況はこちらが悪いのは言うまでもないか。
とはいえ、泣き言を言っている暇もない。集中力を切らせばジャグドが放ってくる矢への対処が遅れて即死しかねない。とにかく頭部や首に殺意の高い矢がバカスカ飛んでくるのが恐ろしい。これがトッププレイヤーのAIM力か……だが感心してばかりもいられない。こちらも出来る限りジャグドの嫌がりそうな場所を考え、移動先を呼んで先読み射撃を交えながら抵抗する。
「いいぞ、良いぞアース! 面白くって仕方がねえ!」
そんな戦闘の最中、笑いながらジャグドが叫ぶ。叫んだあとはますます殺意が高い矢が遠慮なく飛んでくる。頭部、首だけでなく心臓まで狙い始めた様で、とことんこちらを即死させかねない矢がひっきりなしだ。が、これはつまりジャグドは本気を出しているという事だ。さすがにこれをまだ加減しているとは思いたくないというのが本音なんだけど。
なんて弱音を心の中で吐いている場合じゃない。ジャグドが強いのは事実だが、じゃあ負けてもいい? と問われればノーと答えるだけの意地はしっかり持っている。それに早々に負けを認めてやる気のない行為を取るのは、ジャグドに対しても失礼だろう。だから必死で抵抗する。
(それに、こういう必死になる状況こそ自分自身のプレイヤースキルを磨く場になりうる)
全力で殺しに来る相手だからこそ、生き延びる術が身につく。今までの経験をより高度に練り上げられる。ゲームならではの話ではあるのだが、VRと言う世界だからこそ、スキルやアーツに頼らないそう言った動きを磨いて実戦でできるプレイヤーこそがこの世界では強いのである。
女神との戦いまであと一月弱……だからこそ、こういった場は最大限に生かそう。もう地上に降りる事は出来ない為、雨龍師匠に鍛えてもらう事も出来ない。だからこういったPvPが最後の修行の場とも言えるだろう。だからこそ全力で事に当たる。
──とはいえ、このままではジャグド優位な状況は変わらないな。それはちょっと、面白くない。ジャグドが放ってくる矢を対処するのは良い訓練になってはいるが、それだけでは勝てるはずもない。だからこそ、そろそろこっちもより積極的な行動をとるべきだ。勝負に勝つ方法とは、自分の有利を相手に押し付ける事なんて言葉もある。
(そろそろ、次の手を打とうか)
次はこちらが仕掛ける番だ。ジャグドの矢を放ってくるタイミングを見計らって、距離を詰める。まずはそこからだ。
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