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連載
VSジャグドその2
前に詰めようとランダムな動きを加えながら進もうとする自分に対してジャグドが放つ矢がすぐ近くを飛んでいく。自分があと一秒動いていなければ当たっているコースだ……ジャグドはグラッドパーティの弓使いと言う事を改めて認識する。やはり、強い。分かってはいた事だが、やっぱりこうして戦うたびに痛感させられるのだ。
(距離を詰めるつもりで動いているけど、それを許しちゃくれないな)
距離が詰まるとこちらの引き出しから出せるものが増える事など、ジャグドは十分に理解している。だからこその攻撃だ。手数、威力共に保ってこちらの接近を許さない弓による遠距離射撃。しかもアーツに頼っていない為MP切れなどには期待できない。このままではこちらがやられる結末を迎えるだけだ。なので、こちらも手札を切る。
爆裂矢を三本取り出し、ジャグドと自分の間を狙って放つ。重量がある為、ジャグドに直接当てる事は叶わないのでこうした。地面に当たると爆発を起こして大きな音と爆発によって三本の煙が立つ。つまり、短時間だがお互いの視界が塞がれた事になる。当然次の手は〈隠蔽・改〉による姿隠しだ。
「ち、爆発物か!」
ジャグドがそう言い放ち、すぐさま何らかのアーツで煙を払ってきた。アーツの宣言が聞こえなかったため名前は不明だが、広範囲を吹き飛ばす系統のアーツだろう。そして煙が吹き飛んだ時、自分の姿はジャグドの前から消えている。こちらの〈隠蔽・改〉の発動が一手早かったからだ。当然、ジャグドもこちらが何をしたか理解したようだ。すぐさま自分が移動できそうな場所へと矢を乱れ討ちしてきたからだ。
「ここでもねえか、くそ、こういう手はほんと得意だな!」
舌打ちしながらジャグドが悪態をつきつつ攻撃を続行している。だがジャグドの行動は間違いではない。〈隠蔽〉系統は一発でも攻撃が掠れば効果が切れる。それを狙って範囲攻撃であぶりだすのは常套手段の一つ。当然そんな事はこちらも分かっている、なので自分がいる場所は……実はジャグドの真正面。しゃがみ歩きをしながら近づいているのである。
ただ、もたもたしている余裕はない。〈隠蔽・改〉のコストの重さは知っている……長く続けているとMPが尽きて、いざという時にアーツを放つだけの残量が確保できない事態に陥ってしまう。だからこそできるだけ短時間で接近する必要がある。自分の近くをジャグドのアーツが過ぎ去る事もあるが、声を上げでもしたら居場所がバレるため当然恐怖心を抑え込む。
そうして一定距離まで近寄った所で自分は《大跳躍》を発動。この瞬間〈隠蔽・改〉の効果は切れて自分の姿があらわになる。当然ジャグドも気が付いたが……自分が《大跳躍》を発動したのはジャグドが範囲攻撃アーツを放った瞬間。短時間ではあるがジャグドは体が硬直して動けない。もちろんこのタイミングは狙ったものだ。
「こんな近くに潜んでいやがったのか!?」
ジャグドの予想では、もう少し離れた場所にいると思っていたようだ。とりあえずジャグドの予想を外す事が出来たか──ここで行うは、昔懐かしいフェアリークィーンとと戦った時に披露した技の一つ、強化オイルをジャグドの周囲に投げて六本の火柱を立てる──事に加えて、ヘルマインオイルをジャグドの頭上に落ちるように調整して軽く投げつける。
その後は当然両腕の盾によるガード体制を取りながら風魔術の《フライ》を用いてジャグドから距離を取る。後は爆発するのを待つだけ──だったのだが、今度はジャグドがこちらの想定外の動きを見せる。なんと自分が投げた強化オイルの瓶を地面に落ちる前に次々とキャッチし、自分に向かって投げつけてきたのである。
「返すぜ!」
が、こちらもそれならばと投げつけられた強化オイルを次々とキャッチして再びアイテムボックスの中に入れる。さて、そうして六本の強化オイルを自分に投げ返してきたジャグドであったが……自分が投げたオイルはまだ一つ、そしてジャグドの真上と言う死角から落ちてきている。ジャグドもあと一つ何かが落ちてきていると言う事には気が付いたようだが……死角からと言う事もあったためか、反応が遅れた。ヘルマインオイルがジャグドの頭上にぶち当たって起動する。
「どわぁ!?」「ぐおおおおお!?」
自分はその爆風で吹き飛ばされて勢いよく地面を転がり(ついでに多少のダメージが入った)、ジャグドは直撃を貰った事で苦悶の声を上げた。流石ヘルマインオイル、火力『だけ』なら超一級品だ。その火力故に、誤射や自爆なんてものは覚悟しなければならない。今回の自分への影響はかなり軽く済んだ方である。
だが、これはチャンスだ。すぐさま立ち上がり、ジャグドのいる方向に向かってダッシュする。位置は当然《危険察知》先生とのダブルチェックで把握ししており、先ほど自分が行った隠蔽系のアーツで場所を移動されている事に気がつかない、と言うオチはない。一気に距離を詰めると、ヘルマインオイルの影響でまだ大量の煙が漂うジャグドがいる向こう側から複数の矢が飛んできた。
(やっぱり、痛みで長時間その動きを止めるようなタマじゃないよな。でも、こちらもそれは想定していた事。対処は可能だ)
飛んできた矢を盾ではじき返し、さらに距離を詰める。すでにレガリオンは鞘から抜いており、いつでも斬りかかれる。間合いに入るまで後三歩……その間合いで、ジャグドが弓に付けた刃で斬りかかるようにしながらこちらに突撃してきた。こちらもレガリオンで対応して切り結ぶ。
「クソ痛かったぞ、なんだあの爆発物はよ! あの規模の爆発は流石に想定してねえぞ!」「ある意味失敗作だからね! 自爆や誤射が怖いからなかなか使えないんだよ!」
そんな会話を交わしつつ火花を散らしてひたすら近接戦闘で刃を交わす。弓を持っているのにやっている事は完全なインファイト戦である……ジャグドも完全に一般的なレンジャーとは別物の動きをするようになっ──っと危ない。ジャグドの鋭い蹴りが飛んできたので、こちらも蹴りを合わせて相殺した。
「ち、バレたか」「あいにく、蹴り技の師匠にこう言った不意の蹴り技の対処は学んできているよ」「また師匠かよ、何人てめえには師が居やがるんだ! てめえの一番怖い所はその人脈と作り上げる力だな!」
ここからは蹴りも交えての戦闘に移っていく。だがお互いにクリーンヒットは無し。かすった程度のダメージはあるが、試合の流れを変えるほどの物はない。そしてジャグドは何らかの方法で毒に対する耐性を持っているようだ。数回マリン・レッグセイヴァーの爪の先がジャグドを掠めているのだが、ジャグドが毒に苦しむ様子が見られない。
(インファイトに持ち込んでも五分か……遠距離戦ではジャグド側にアドバンテージが大きいからここで何とかできないと厳しいんだけど。焦ってもしょうがない、とにかく活路を無理やりにでも切り開かないと)
逆に言えば、接近戦なら五分に出来るのだ。やはりジャグド相手は近距離戦で勝機を探さないと話になりそうにない。距離を離されたら、またあの強弓による容赦ない急所狙いの矢が飛んでくるのを回避する事が中心の動きを強いられることになってしまう。こちらの反撃の手数が少なくなるため、その形にまた移行されたら勝ち目が薄くなる。
やはり、ジャグドに勝つにはこの盾に仕込んであるパイルバンカーやシザーを使うしかないだろう。初見殺しと言う形になってしまうのは申し訳ないけれど……使える物を使って勝つのが自分のスタイルだ。地力で負けている以上、そうせざるを得ないのだが。後は仕掛けるタイミングだ……意表を突き、そして確実に決めなければならない。その瞬間をジャグド相手に作らなければならない。
でも、やらなければ勝てないならやるだけである。そう考えたまさにその瞬間だった、ジャグドが動いたのは。ジャグドの振ってきた弓の上部についていた刃が突如伸びた……違う、スネークソードになった。その刃がこちらの防御の隙間を潜り抜け──自分の顔面を切り裂いた。一気に減る自分のHP、そして燃えるような痛み。戦いの流れを変えるその一撃を、自分はもろに貰ってしまったのである。
(距離を詰めるつもりで動いているけど、それを許しちゃくれないな)
距離が詰まるとこちらの引き出しから出せるものが増える事など、ジャグドは十分に理解している。だからこその攻撃だ。手数、威力共に保ってこちらの接近を許さない弓による遠距離射撃。しかもアーツに頼っていない為MP切れなどには期待できない。このままではこちらがやられる結末を迎えるだけだ。なので、こちらも手札を切る。
爆裂矢を三本取り出し、ジャグドと自分の間を狙って放つ。重量がある為、ジャグドに直接当てる事は叶わないのでこうした。地面に当たると爆発を起こして大きな音と爆発によって三本の煙が立つ。つまり、短時間だがお互いの視界が塞がれた事になる。当然次の手は〈隠蔽・改〉による姿隠しだ。
「ち、爆発物か!」
ジャグドがそう言い放ち、すぐさま何らかのアーツで煙を払ってきた。アーツの宣言が聞こえなかったため名前は不明だが、広範囲を吹き飛ばす系統のアーツだろう。そして煙が吹き飛んだ時、自分の姿はジャグドの前から消えている。こちらの〈隠蔽・改〉の発動が一手早かったからだ。当然、ジャグドもこちらが何をしたか理解したようだ。すぐさま自分が移動できそうな場所へと矢を乱れ討ちしてきたからだ。
「ここでもねえか、くそ、こういう手はほんと得意だな!」
舌打ちしながらジャグドが悪態をつきつつ攻撃を続行している。だがジャグドの行動は間違いではない。〈隠蔽〉系統は一発でも攻撃が掠れば効果が切れる。それを狙って範囲攻撃であぶりだすのは常套手段の一つ。当然そんな事はこちらも分かっている、なので自分がいる場所は……実はジャグドの真正面。しゃがみ歩きをしながら近づいているのである。
ただ、もたもたしている余裕はない。〈隠蔽・改〉のコストの重さは知っている……長く続けているとMPが尽きて、いざという時にアーツを放つだけの残量が確保できない事態に陥ってしまう。だからこそできるだけ短時間で接近する必要がある。自分の近くをジャグドのアーツが過ぎ去る事もあるが、声を上げでもしたら居場所がバレるため当然恐怖心を抑え込む。
そうして一定距離まで近寄った所で自分は《大跳躍》を発動。この瞬間〈隠蔽・改〉の効果は切れて自分の姿があらわになる。当然ジャグドも気が付いたが……自分が《大跳躍》を発動したのはジャグドが範囲攻撃アーツを放った瞬間。短時間ではあるがジャグドは体が硬直して動けない。もちろんこのタイミングは狙ったものだ。
「こんな近くに潜んでいやがったのか!?」
ジャグドの予想では、もう少し離れた場所にいると思っていたようだ。とりあえずジャグドの予想を外す事が出来たか──ここで行うは、昔懐かしいフェアリークィーンとと戦った時に披露した技の一つ、強化オイルをジャグドの周囲に投げて六本の火柱を立てる──事に加えて、ヘルマインオイルをジャグドの頭上に落ちるように調整して軽く投げつける。
その後は当然両腕の盾によるガード体制を取りながら風魔術の《フライ》を用いてジャグドから距離を取る。後は爆発するのを待つだけ──だったのだが、今度はジャグドがこちらの想定外の動きを見せる。なんと自分が投げた強化オイルの瓶を地面に落ちる前に次々とキャッチし、自分に向かって投げつけてきたのである。
「返すぜ!」
が、こちらもそれならばと投げつけられた強化オイルを次々とキャッチして再びアイテムボックスの中に入れる。さて、そうして六本の強化オイルを自分に投げ返してきたジャグドであったが……自分が投げたオイルはまだ一つ、そしてジャグドの真上と言う死角から落ちてきている。ジャグドもあと一つ何かが落ちてきていると言う事には気が付いたようだが……死角からと言う事もあったためか、反応が遅れた。ヘルマインオイルがジャグドの頭上にぶち当たって起動する。
「どわぁ!?」「ぐおおおおお!?」
自分はその爆風で吹き飛ばされて勢いよく地面を転がり(ついでに多少のダメージが入った)、ジャグドは直撃を貰った事で苦悶の声を上げた。流石ヘルマインオイル、火力『だけ』なら超一級品だ。その火力故に、誤射や自爆なんてものは覚悟しなければならない。今回の自分への影響はかなり軽く済んだ方である。
だが、これはチャンスだ。すぐさま立ち上がり、ジャグドのいる方向に向かってダッシュする。位置は当然《危険察知》先生とのダブルチェックで把握ししており、先ほど自分が行った隠蔽系のアーツで場所を移動されている事に気がつかない、と言うオチはない。一気に距離を詰めると、ヘルマインオイルの影響でまだ大量の煙が漂うジャグドがいる向こう側から複数の矢が飛んできた。
(やっぱり、痛みで長時間その動きを止めるようなタマじゃないよな。でも、こちらもそれは想定していた事。対処は可能だ)
飛んできた矢を盾ではじき返し、さらに距離を詰める。すでにレガリオンは鞘から抜いており、いつでも斬りかかれる。間合いに入るまで後三歩……その間合いで、ジャグドが弓に付けた刃で斬りかかるようにしながらこちらに突撃してきた。こちらもレガリオンで対応して切り結ぶ。
「クソ痛かったぞ、なんだあの爆発物はよ! あの規模の爆発は流石に想定してねえぞ!」「ある意味失敗作だからね! 自爆や誤射が怖いからなかなか使えないんだよ!」
そんな会話を交わしつつ火花を散らしてひたすら近接戦闘で刃を交わす。弓を持っているのにやっている事は完全なインファイト戦である……ジャグドも完全に一般的なレンジャーとは別物の動きをするようになっ──っと危ない。ジャグドの鋭い蹴りが飛んできたので、こちらも蹴りを合わせて相殺した。
「ち、バレたか」「あいにく、蹴り技の師匠にこう言った不意の蹴り技の対処は学んできているよ」「また師匠かよ、何人てめえには師が居やがるんだ! てめえの一番怖い所はその人脈と作り上げる力だな!」
ここからは蹴りも交えての戦闘に移っていく。だがお互いにクリーンヒットは無し。かすった程度のダメージはあるが、試合の流れを変えるほどの物はない。そしてジャグドは何らかの方法で毒に対する耐性を持っているようだ。数回マリン・レッグセイヴァーの爪の先がジャグドを掠めているのだが、ジャグドが毒に苦しむ様子が見られない。
(インファイトに持ち込んでも五分か……遠距離戦ではジャグド側にアドバンテージが大きいからここで何とかできないと厳しいんだけど。焦ってもしょうがない、とにかく活路を無理やりにでも切り開かないと)
逆に言えば、接近戦なら五分に出来るのだ。やはりジャグド相手は近距離戦で勝機を探さないと話になりそうにない。距離を離されたら、またあの強弓による容赦ない急所狙いの矢が飛んでくるのを回避する事が中心の動きを強いられることになってしまう。こちらの反撃の手数が少なくなるため、その形にまた移行されたら勝ち目が薄くなる。
やはり、ジャグドに勝つにはこの盾に仕込んであるパイルバンカーやシザーを使うしかないだろう。初見殺しと言う形になってしまうのは申し訳ないけれど……使える物を使って勝つのが自分のスタイルだ。地力で負けている以上、そうせざるを得ないのだが。後は仕掛けるタイミングだ……意表を突き、そして確実に決めなければならない。その瞬間をジャグド相手に作らなければならない。
でも、やらなければ勝てないならやるだけである。そう考えたまさにその瞬間だった、ジャグドが動いたのは。ジャグドの振ってきた弓の上部についていた刃が突如伸びた……違う、スネークソードになった。その刃がこちらの防御の隙間を潜り抜け──自分の顔面を切り裂いた。一気に減る自分のHP、そして燃えるような痛み。戦いの流れを変えるその一撃を、自分はもろに貰ってしまったのである。
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「Copyright(C)2021-九頭竜坂まほろん」
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