あなたのお嫁さんになりたいです!~そのザマァ、本当に必要ですか?~

古芭白あきら

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第4章 その暗躍、本当に必要ですか?

第45話 狩人現る!

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「せめてニルゲ嬢が諌めてくださったら」
「あの方は駄目だ」

 レーキの目は落胆の色に染まる。

「最初は文武両道で下の者の言葉にも耳を傾けてくれる優れた令嬢と思っていたが、ただ八方美人なだけでご自分の商会にしか興味がない」
「一貴族、一商会長としては優れていても王妃になれる人物ではないか」

 イーリヤは学園の出来事にまったく興味を示さず、オーウェンの浮気にも我関せずであった。

「まあ、それでもあの奸婦よりはましだが」
「カオロ嬢が王妃になる事はないでしょう。男爵令嬢だし能力にも性質にも問題があり過ぎます」
「それだけは安心だが……」

 正直に言って甘い言葉しか耳に入れない今のオーウェンが国王になるのは不安でしかない。どう見ても暗君になる未来しか想像できないのだ。

「父の話では今生の陛下は道理の分からぬお方ではないようですので、オーウェン殿下の即位自体が怪しいのではないかな」
「そうなると次代はエーリック殿下となるが……」

 レーキの顔が曇る。

「エーリック殿下は能力的に問題は無いとは思うんだが、どうにも優柔不断と言うか……」
「少し気弱なところはあるかな」
「婚約者のグロラッハ嬢は才色兼備で人気のある令嬢だが……」
「どちらも情味のある人物だけど一国の長にしては頼りない?」

 柔和なエーリックとウェルシェを思い浮かべてレーキは頷いた。

「オーウェン殿下は少々狭量なところもありますが、その覇気はまさに王者の風格……改心していただければ十分に王たる器だとは思うのですが……」
カオロ嬢あの女に骨抜きにされて悪い部分ばかり表に出ている」

 あの奸婦が、とレーキは吐き捨てた。

「古今東西英雄色を好み、女で身を滅ぼすのは歴史を紐解けばよく見られるものです」
「皮肉だな」

 オーウェンにはそれだけに資質ありとの証明かとレーキは苦笑いした。

「なんとか殿下を諭せないものか」
「難しいですね」

 彼らに向けられる視線はお世辞にも好意的とは言い難い。

「我々は殿下の不興を買い、学園では疎外されていますからね」

 オーウェンから遠ざけられ、とばっちりを受けまいと2人に近づく者はいなかった。

「まいったなぁ、ここまで疎外されるとは思いませんでした」
「王家は畏れ敬うものだが、あいつらはたんに権威に恐怖している小者さ」
「ははは、レーキは豪胆だね。誰だって王族は怖いものだよ」

 オーウェンを畏れて二人から距離を取る彼らの気持ちはジョウジにも理解できる。

「ふん! 本当に恐ろしいものが何かを理解できない未熟者どもが」

 このまま手をこまねいていればオーウェンの即位が暗いものになる。レーキにはそれが分かるだけに口惜しくてならない。

「ほとんどの人は将来さき災禍なんを畏れるほど想像力の翼を持っていないものですわ」
「「――ッ!?」」

 突然、会話に入ってきた人物に驚き二人は絶句した。

 その声の主は彼らが話題にしていた人物の一人、ウェルシェ・グロラッハであった……
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