(完)浮気ぐらいで騒ぐな?ーーそれを貴方が言うのですか?

青空一夏

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4 アメリアの腹心の部下達 

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🌷ꕤ୭*第三者視点ꕤ୭*アメリアの腹心の部下達


「さて、俺の部下どもぉーー! 今日も頑張って患者のために仕事しろよ! じゃ、俺はキャサリンと医師会の会合に出てくる」
 イアンは偉そうに胸をそらし、尊大な声をあげた。

「はい、どうぞ、いってらっしゃいませぇーー」
 病院の医師・看護師・事務員が一斉に頭を下げたのだった。



「あいつら、最近やりたい放題だなぁーー。アメリア様を追い出して本邸で好き勝手やってるって聞いたぜ」

「へぇーー。バカだな。あいつ婿だろ? この国の法律をわかってるのかね? 正当な当主を迫害するような真似をした奴は『爵位乗っ取り防止法』で厳しく裁かれるのに」

「あぁ、悪質であればあるほど国王陛下の怒りをかうよ」

 医師達がヒソヒソと固まって噂話に花を咲かせていた。



「おーーい、集まってくれぇーー! さてと、改めて朝礼を始めるぞぉーー。まず、今日のスケージュールの確認だ。ライアンとロバートとギルバートで午前中の患者さんを診てくれな。午後からは、エリアン・オスカー・カーソンで担当するように。夜間は私が待機するのでよろしく頼む」

「はい、副医院長!」

「はぁーーい。今度はこっちに注目――! えっと今日はカレンとクララとクリスタル、アイリスが1号棟の入院患者さんの検温と血圧測定・・・・・・2号棟はサラとシエナにジャスティン、アビーね! 3号棟は・・・・・・。よろしくお願いします。さぁ、今日も一日頑張りましょう!」

「はい! 副看護部長!」

 副医院長はヴィセンテ、副看護部長はアリッサ、いずれもアメリアの腹心の部下であった。イシド総合病院の医師や看護師は、すべて先代のイシド伯爵とアメリアが面接して採用した者だった。





「あのキャサリン看護部長って、いつも医院長とお出かけしますけどなんなのですか」
 新人の看護師が先輩看護師に質問していた。

「あぁ、あのキャサリンはバカ医院長が飲み屋から引き抜いたらしいわ。それでも看護師資格はもってるみたいだけれど、仕事は全然できないのよ。考えられないわよねぇーー! 仕事もしないで全部アリッサ副看護部長に丸投げ!」

「あぁ、だってキャサリンが来るまでアリッサさんが看護部長だったもの。当然よね」

「え? あの医院長ってアホなんですか?」

「うん、うん。あいつは、先代が生きてる頃は勤勉で真面目だったのよ。アメリア様も大事にしていたのに。やっぱ、女ができると男は変わるのねぇ。ブサイクな入り婿のくせに」

「副医院長とアメリア様はお似合いなのに。美男美女よね?」

「副医院長は平民だから、貴族と結婚はできないわよ。どっかの養子にでもなれば別だけど・・・・・・」

「こら、そこ私語は慎んでぇーー! もたもたしない! ここは命の現場よ! 患者様の命がかかっていますから気を抜いてはだめよ。さて、各自持ち場に行ってちょうだい」

「はぁーーい。副看護部長」

「はい」

「はい、今日も頑張りまぁす!」

 皆は笑顔で仕事にとりかかる。ここイシド総合大病院は、医院長とキャサリン看護部長を除く優秀なスタッフで構成された、患者達に最も信頼されている病院なのだった。

 


ꕤ୭*




「ねぇ、イアン。今日はどこにお出かけするぅ? 海が見たいわね!」

「あぁ、今日は暑いしなぁ。水着を買ってやろう。うんとセクシーなやつ。それで、ちょっと浜辺でイチャイチャしようか? ところで、妊娠はまだかな? 早くイシド伯爵家の跡継ぎができればいいのに」

「うふふ。あのねぇ、多分私妊娠したわ! だって、ここしばらく月のモノがないんですもの! びっくりさせよとして黙っていたの!」

「本当かい? でかしたぞ! ふははは。これでイシド伯爵家は安泰だ! 今日のディナーは奮発しなきゃ。いや、待てよ。このまま小旅行ってかんじで、2,3日高級ホテルを泊まり歩こう!」

「うわぁーー! 素敵! さすがイシド伯爵ね! 私、きっと元気な赤ちゃんを産んでこのイシド伯爵家を支えていくわ。お腹の赤ちゃんは私達の『真実の愛』の結晶ね?」

「あぁ、俺たちこそは『真実の愛』で結ばれている最高のカップルだよ。ふはははは」



。:.゚ஐ⋆*🍓・:*ೄ‧͙·*✨ஐ⋆*🍓・:*ೄ‧͙·*♪

続けてもう1話更新予定です。


以下、宣伝です。



ライト文芸
「愛を教えてくれた人」
本編完結で番外編は不定期で更新中です

よろしければ、あわせてお読みくださいませ🌷🌷🌷
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