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8 カイリン視点 / バーン視点
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(カイリン視点)
とても優しいバーン様に、いつの間にか恋をしていた私だ。例え愛されなくても、私はこの方となら一生添い遂げることができそう。
(愛の言葉なんてなくても我慢できる。優しい気遣いと思いやりがあれば、家族としては充分やっていけるもの)
だから、幸せな気分でバージンロードをゆっくりと歩いたわ。そして、バーン様と目が合ってにっこりと笑い合う。この方の笑顔はとても眩しい。
「愛しているよ」
思いがけない言葉が耳元でささやかれて涙で霞む祭壇。やっぱりこの言葉が欲しかった。自分の本心は誤魔化せない。
「私も愛しています」
嬉しくて恥ずかしくて声が少しだけ震えた。
お互いが両思いになっていたことがわかり、今までの景色も別世界のように輝く。温かいものがじんわりと心にひろがり、心の底から微笑むことができた。
(生まれて初めて幸せを感じたかもしれないわ)
結婚式が終わりメーガンお姉様が駆け寄ってきて、私を脅したけれど私はもうかつての私ではないのよ。
「バーン様をお姉様に譲れ、とおっしゃるのですか? そんなこと出来るわけがありません」
大きな声でバーン様にも聞こえるように言った。これぐらいは許されるわよね?
あとはバーン様に撃退してもらい、あれからお姉様はセアー伯爵家には寄りつかない。
それから半年後のこと。セアー伯爵家のサロンで、私はバーン様の隣に寄り添って座っている。
「バーン様、実家の両親達は全く私を訪ねてこなくなりましたけれど、あれからどうなったのかしら?」
「あぁ、カイリンが気にすることはひとつもないよ。あれでも一応カイリンの家族だからお金はたっぷりやっている。充分贅沢できて今頃は満足だろうさ」
「え? あれからずっとお金を援助し続けているのですか? そんなこといけません。あの人達はきりがない貪欲な性格ですから・・・・・・」
「大丈夫。長くは続かない。カイリンはなにも気にしなくていいからね。あんな家族のことを考えていたら胎教に良くないよ」
私が子供を授かったことがわかり、セアー伯爵家は喜びに包まれていた。
(これからは私も母になる。もうかつての家族のことは忘れよう。さようなら、ブランストーン男爵家)
(バーン視点)
「ブランストーン男爵家には金を好きなだけあげればいいさ。あの母親には高給食材をたっぷり送りつけろ。あの父親には酒をたっぷり。怠惰な者達の命は長くは続かない。あぁ、あのメーガンには話題のスイーツを毎日届けてあげるといいと思う」
「はい、かしこまりました。媚薬と食欲増進剤、どちらを盛りますか?」
「うん、増進剤でいいだろう。醜く太って最後は動けなくなって足から腐って死ねば良い」
「かしこまりました。では、そのように」
セアー伯爵家の家令は無表情でうなづいた。
カイリンを虐げたお礼は充分しよう。もちろん優しいカイリンの手前、あいつらを飢えさせるとか貧乏暮らしをさせるのはまずいし、世間体もある。
だが、こちらが充分な金を援助してあいつらが自らの不摂生で死ぬのなら、それはあいつらの評判をますます落とすし愚か者の証明にもなる。
カイリンは今では私の最愛の妻だ。わたしの最愛を虐げた罪は重い。
わたしはバーン・セアー。女嫌いで有名だった男だが、今は妻を溺愛しすぎる夫として有名になっている。
だから、せいぜいカイリンの家族を大事にするさ。わたしなりのやり方でな。
完
とても優しいバーン様に、いつの間にか恋をしていた私だ。例え愛されなくても、私はこの方となら一生添い遂げることができそう。
(愛の言葉なんてなくても我慢できる。優しい気遣いと思いやりがあれば、家族としては充分やっていけるもの)
だから、幸せな気分でバージンロードをゆっくりと歩いたわ。そして、バーン様と目が合ってにっこりと笑い合う。この方の笑顔はとても眩しい。
「愛しているよ」
思いがけない言葉が耳元でささやかれて涙で霞む祭壇。やっぱりこの言葉が欲しかった。自分の本心は誤魔化せない。
「私も愛しています」
嬉しくて恥ずかしくて声が少しだけ震えた。
お互いが両思いになっていたことがわかり、今までの景色も別世界のように輝く。温かいものがじんわりと心にひろがり、心の底から微笑むことができた。
(生まれて初めて幸せを感じたかもしれないわ)
結婚式が終わりメーガンお姉様が駆け寄ってきて、私を脅したけれど私はもうかつての私ではないのよ。
「バーン様をお姉様に譲れ、とおっしゃるのですか? そんなこと出来るわけがありません」
大きな声でバーン様にも聞こえるように言った。これぐらいは許されるわよね?
あとはバーン様に撃退してもらい、あれからお姉様はセアー伯爵家には寄りつかない。
それから半年後のこと。セアー伯爵家のサロンで、私はバーン様の隣に寄り添って座っている。
「バーン様、実家の両親達は全く私を訪ねてこなくなりましたけれど、あれからどうなったのかしら?」
「あぁ、カイリンが気にすることはひとつもないよ。あれでも一応カイリンの家族だからお金はたっぷりやっている。充分贅沢できて今頃は満足だろうさ」
「え? あれからずっとお金を援助し続けているのですか? そんなこといけません。あの人達はきりがない貪欲な性格ですから・・・・・・」
「大丈夫。長くは続かない。カイリンはなにも気にしなくていいからね。あんな家族のことを考えていたら胎教に良くないよ」
私が子供を授かったことがわかり、セアー伯爵家は喜びに包まれていた。
(これからは私も母になる。もうかつての家族のことは忘れよう。さようなら、ブランストーン男爵家)
(バーン視点)
「ブランストーン男爵家には金を好きなだけあげればいいさ。あの母親には高給食材をたっぷり送りつけろ。あの父親には酒をたっぷり。怠惰な者達の命は長くは続かない。あぁ、あのメーガンには話題のスイーツを毎日届けてあげるといいと思う」
「はい、かしこまりました。媚薬と食欲増進剤、どちらを盛りますか?」
「うん、増進剤でいいだろう。醜く太って最後は動けなくなって足から腐って死ねば良い」
「かしこまりました。では、そのように」
セアー伯爵家の家令は無表情でうなづいた。
カイリンを虐げたお礼は充分しよう。もちろん優しいカイリンの手前、あいつらを飢えさせるとか貧乏暮らしをさせるのはまずいし、世間体もある。
だが、こちらが充分な金を援助してあいつらが自らの不摂生で死ぬのなら、それはあいつらの評判をますます落とすし愚か者の証明にもなる。
カイリンは今では私の最愛の妻だ。わたしの最愛を虐げた罪は重い。
わたしはバーン・セアー。女嫌いで有名だった男だが、今は妻を溺愛しすぎる夫として有名になっている。
だから、せいぜいカイリンの家族を大事にするさ。わたしなりのやり方でな。
完
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みんなの感想(26件)
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うっわ〜(・・;) 酷い家族
確かに姑とは相性もよくなく
そこに産まれた自分の子が
毛嫌いする姑にソックリ
だからカワイイと思えない
は、意外と実際にある話ですよね
それにしても
バーンさまの所業は
さすが頭の良い商売人😅
自業自得にもっていくあたり
これからも繁栄の未来しか
みえません💦
バーン様のご両親は
お祖母様をよく知っていたのでしょうね
そして、孫娘の1人がそっくりなことも✌️
スッキリしました!!!
感想ありがとうございます!
あっは😅 ですよねーー
そうそう
実際にもありそうなお話です
自業自得という結末が大多数になっております😁
スッキリしていただき良かったです
こちらも読んでくださってありがとうございます!
嬉しいぃーー💃🏻💖✨
あ、名前間違えました(^_^;)
あ、大丈夫ですーー
名前なんて作者自身が何度も間違えておりますのでぇーー😁
たまにヒロインの名前もど忘れしますもん💦
カイリンが虐げられて心配でしたが、ブランストーン伯爵夫人は良いひとみたいで、幸せになれそうか予感が(*ˊᵕˋ*)
感想ありがとうございます!
あれ💦
返信が抜けていたみたい
今気がつきました😲
ひゃーー、ごめんなさい、すみません、申し訳ありません🙇🏻♀️🙇🏻♀️🙇🏻♀️
はい、幸せになると思いまぁす
超お返事が遅くなって🙇♀️🙇♀️🙇♀️