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170.新学期2

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シエンナは、立ち上がって、周囲を一通り睨みつけ、
また、座った。
圧倒的な迫力に震えている者が一人いた。
誠一は恐る恐るシエンナを鑑定した。
あっ、胸がまた、大きくなっている。
そこじゃないと左右に首を振り、シエンナの状態を確認した。
うわっ、貧乏くじの称号が発動している上に
称号の熟練度が上がっていた。

凍り付いた周囲に向かって、誠一は話し掛けた。
「シエンナはパーティメンバーの中で
最も魔術師らしい魔術師だったから、
強力な補助魔術と強烈な氷や水の魔術で
魔物を圧倒したよ。
残念ながら、僕、ヴェルそして弟と同様に上位魔人には、
致命的な一撃を加えることは難しかったけどね」
誠一の言葉の終わりに予鈴がなった。

次の授業のために各々、あわてて次の講義の場所に
散っていった。

ファブリッツィオは誠一の言葉でニヤリと笑い、
次の杖術の訓練のために講義室を出て行った。

杖術の訓練は新たに着任した剣豪が受け持っていた。
「みなさん、ごきげんよう。
これより講義を受けもつオニヤと申します。
気軽に先生と呼んでください」

各々の実力を見極めるために二人一組の組打ちを
行うこととなった。
誠一は、ヴェルとそして、シエンナはファブリッツィオと
組むことになった。

「なっ、俺とこいつでは実力に差があり過ぎる。
怪我を負わせる!」
ファブリッツィオは、誠一もしくはヴェルの
鼻を折ってやろうと、この時を待っていたが、
下駄を外されてしまった。

「ふーむ、あの二人だと君に恥をかかせるし、
さりとて、シエンナの相手となると見渡す限りで、
君がギリギリ何とかというレベルだしねぇ。
それと以前の講師のように君の我儘は通用しないよ」
へらへらと笑う剣豪であった。

侮辱されたと思い、ファブリッツィオの頭に血がのぼった。
「良く分かった。この樽が赤樽になる様をよく見ておくんだな」

組打ちが始まると、他の面々は誠一とヴェルを
組ませたことを十分に理解できた。
高々、40日程度でこうも差が現れるものかと
肌で感じてしまった。

繰り出される杖の速度が違う。

杖に籠る殺気の圧が違う。

杖をいなす、避ける動作が違う。

二人は、全てにおいて、違いをまざまざと周囲に
見せつけていた。

「ファブリッツィオさん、よそ見をしてると怪我をしますよ。
そろそろ、あなたに合わせているだけでは、
訓練にならないので本気でいきます」
シエンナの杖術にも変化があった。
そして、防戦一方になるファブリッツィオであった。

「うっうおおおぉーなめるなぁ」
一旦、距離をとり、シエンナに気圧された自分に
気合を入れ直すファブリッツィオであった。
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