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7 断罪
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国王が重病であるという噂が流れる中、主だった貴族が集められ会議が開かれた。
いつもは呼ばれないその場所に何故かリリアーナも出席を促された。
(一体何事かしら? もしかしたら次期国王にランベールが決定したという話かもしれないわ)
ランベールの世話は他人に任せっきりで一切関与していないにも関わらず、リリアーナは自らの功績だと信じて疑わなかった。
ランベールが国王になったら自分は国王の実母として君臨し、邪魔なルイーズとファビアンをこの王宮から追い出してやろうと画策していた。
父親である公爵も奴隷商を使って何やら違法な商売をしているようだ。
このガヴェニャック王国を思い通りに動かせる日が来るのもそう遠くないとたかをくくっていた。
会議の日、父親であるデュルフェ公爵と共に会議場に足を運ぶと、席に案内された。
リリアーナ達が会議場に入ると、それまであちこちでおしゃべりをしていた貴族達がピタリと押し黙った。
静かになった会議場内を一瞥するとリリアーナは軽く笑みを浮かべて優雅に足を進めた。
(きっとわたくしの話をしていたに違いないわ。ランベールが王位を継いだらわたくしが国母になるんですものね)
ほんの僅かな時間差とはいえ、ランベールが先に生まれたのは間違いない。
よほどの事がない限り、第一王子が王位を継ぐのは当然である。
(いつ死んでもおかしくないアロイスが亡くなる前にランベール入場王位を継がせるという決定が伝えられるのだわ)
そう思いながら足を進めるが、何故か二人の席は他の貴族とは少し離された位置に用意されている。
会議場内に待機している騎士の数がいつもより多いように感じるのは気のせいだろうか?
訝しく思いながらもリリアーナは顔に出さないように振る舞う。
すべての貴族が揃った所で最後に王族が入場するはずだが、国王は欠席だと告げられた。
そして王妃であるルイーズと共にランベールとファビアンが姿を現した。
ルイーズを中心に両隣にランベールとファビアンが腰を下ろす。
リリアーナがルイーズを睨みつける中、彼女は平然とその視線を受け流していた。
三人が腰を下ろすと宰相がルイーズの合図を受け会議を進行する。
「本日、集まってもらったのは他でもない。ここにいる公爵とその娘であるリリアーナの罪を暴くためだ」
宰相の言葉と同時にいつの間にか近くまで来ていた騎士達が公爵とリリアーナを取り囲んだ。
「何をする! 儂が一体何をしたと言うのだ!」
父親が騎士に拘束される中、リリアーナも騎士に腕を掴まれて立たされていた。
「ちょっと! 触らないでよ! あなたみたいな一介の騎士が触っていいようなわたくしじゃないのよ! 大体わたくしは何もしてないわよ!」
「証拠も無しに儂達を拘束など出来ないぞ!」
公爵とリリアーナが騎士達の手から逃れようと必死になっていると、バン!と音を立てて扉が開いた。
リリアーナが顔をそちらに向けた途端、信じられないものを見たように目を見開いた。
「ヒィッ! …な、なんで! 何でまだ生きているのよ!」
そこに立っていたのは病気で寝たきりになっているとされているアロイスだった。
アロイスを殺そうとしていたにもかかわらず、いざこうして生きているアロイスを見てリリアーナは何処かホッとしている自分に気付いた。
リリアーナと公爵はその場で断罪されるとそれぞれ貴族用の独房へと連れて行かれた。
リリアーナは独房のソファーに腰掛けてぼんやりと過ごしていた。
(わたくしはどこで間違ったのかしら? そもそも側妃を受け入れない方が良かったのかしら?)
それでもやはり他の女が側妃になるのは認められなかったに違いない。
(わたくしが本当に欲しかったものは…)
どんなに願っても手に入れられないものにリリアーナは思いを馳せた。
いつもは呼ばれないその場所に何故かリリアーナも出席を促された。
(一体何事かしら? もしかしたら次期国王にランベールが決定したという話かもしれないわ)
ランベールの世話は他人に任せっきりで一切関与していないにも関わらず、リリアーナは自らの功績だと信じて疑わなかった。
ランベールが国王になったら自分は国王の実母として君臨し、邪魔なルイーズとファビアンをこの王宮から追い出してやろうと画策していた。
父親である公爵も奴隷商を使って何やら違法な商売をしているようだ。
このガヴェニャック王国を思い通りに動かせる日が来るのもそう遠くないとたかをくくっていた。
会議の日、父親であるデュルフェ公爵と共に会議場に足を運ぶと、席に案内された。
リリアーナ達が会議場に入ると、それまであちこちでおしゃべりをしていた貴族達がピタリと押し黙った。
静かになった会議場内を一瞥するとリリアーナは軽く笑みを浮かべて優雅に足を進めた。
(きっとわたくしの話をしていたに違いないわ。ランベールが王位を継いだらわたくしが国母になるんですものね)
ほんの僅かな時間差とはいえ、ランベールが先に生まれたのは間違いない。
よほどの事がない限り、第一王子が王位を継ぐのは当然である。
(いつ死んでもおかしくないアロイスが亡くなる前にランベール入場王位を継がせるという決定が伝えられるのだわ)
そう思いながら足を進めるが、何故か二人の席は他の貴族とは少し離された位置に用意されている。
会議場内に待機している騎士の数がいつもより多いように感じるのは気のせいだろうか?
訝しく思いながらもリリアーナは顔に出さないように振る舞う。
すべての貴族が揃った所で最後に王族が入場するはずだが、国王は欠席だと告げられた。
そして王妃であるルイーズと共にランベールとファビアンが姿を現した。
ルイーズを中心に両隣にランベールとファビアンが腰を下ろす。
リリアーナがルイーズを睨みつける中、彼女は平然とその視線を受け流していた。
三人が腰を下ろすと宰相がルイーズの合図を受け会議を進行する。
「本日、集まってもらったのは他でもない。ここにいる公爵とその娘であるリリアーナの罪を暴くためだ」
宰相の言葉と同時にいつの間にか近くまで来ていた騎士達が公爵とリリアーナを取り囲んだ。
「何をする! 儂が一体何をしたと言うのだ!」
父親が騎士に拘束される中、リリアーナも騎士に腕を掴まれて立たされていた。
「ちょっと! 触らないでよ! あなたみたいな一介の騎士が触っていいようなわたくしじゃないのよ! 大体わたくしは何もしてないわよ!」
「証拠も無しに儂達を拘束など出来ないぞ!」
公爵とリリアーナが騎士達の手から逃れようと必死になっていると、バン!と音を立てて扉が開いた。
リリアーナが顔をそちらに向けた途端、信じられないものを見たように目を見開いた。
「ヒィッ! …な、なんで! 何でまだ生きているのよ!」
そこに立っていたのは病気で寝たきりになっているとされているアロイスだった。
アロイスを殺そうとしていたにもかかわらず、いざこうして生きているアロイスを見てリリアーナは何処かホッとしている自分に気付いた。
リリアーナと公爵はその場で断罪されるとそれぞれ貴族用の独房へと連れて行かれた。
リリアーナは独房のソファーに腰掛けてぼんやりと過ごしていた。
(わたくしはどこで間違ったのかしら? そもそも側妃を受け入れない方が良かったのかしら?)
それでもやはり他の女が側妃になるのは認められなかったに違いない。
(わたくしが本当に欲しかったものは…)
どんなに願っても手に入れられないものにリリアーナは思いを馳せた。
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