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16章

発覚した問題(※お知らせアリ)

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 お先にお知らせをば。
 Twitterや近況ボードで知っている方もいらっしゃると思いますが……この度、当作品がコミカライズ化されることとなりましたー!!

\\パチパチパチパチ//  \\ドンドンパフパフ//

 これもひとえに応援してくださっている皆様のおかげです。本当に、本当にありがとうございます!(土下座)
 作者はとても嬉しいです!!

 キャラクター原案は単行本の挿絵を描いてくださっている、キャナリーヌさま。
 コミカライズを担当してくださるのは水谷クロ先生です。


 ダレがとは言わないですが、可愛いんですよ、ほんとに。我が家にいて欲しい……

 記念すべき第一話は本日更新されるハズ!(何時かはわからない)
 コミカライズのため、原作である単行本とは少々内容が変わっている箇所があります。
 原作との違いも楽しみながら、コミカライズも読んでいただけると幸いです。

 以上、お知らせでした。



--------キリトリ線--------
 

 空が夕焼けに染まり始めたころ、アデトア君が私達がいる庭に顔を出した。
 こちらへ歩いてくるアデトア君は頭が痛いと言わんばかりに片手で仮面を着けている顔半分を覆っていらっしゃる。

「待たせた……」
「大丈夫だよ」

 むしろ、ミリエフェちゃんとレイン少年のやり取りにやきもきしていた私にとっては渡りに船ですよ。
 ひとまずわかったことだと前置きするアデトア君に促され、私達はジィジ達がいるテーブルへと移動した。フラーマ王子他、子供達はそのまま待機である。

「先に言っておく。厄介なことになった……いや、なっていた」

 そう小声で話始めたアデトア君によると、振込みした人物はすぐに見つかったらしい。ただ、その人物は言われた金額を振込んだだけ。しかーし、国庫から五十五億は消えていた。つまり、命令を下した上司がネコババしたと思われる。
 それなら上司を捕まえてお金の在り処を吐かせれば万事解決! のハズなんだけど……その上司、今生きていないと。

「視察先に向かう途中で賊に襲われたようだと報告書に記載されていた……が、これがどうも怪しい」
「怪しい?」
「あぁ。視察場所は王都からだと速くても三週間はかかる街だ。手前に一つ街はあるが、こちらはここから一週間もかからない。出立したのは振込みの翌日で、死んだとされる日は振込んだ日から二週間後」
「それのどこが怪しいんだ?」

 アデトア君の説明を聞いていた私達の思いを代弁するように、アーロンさんが口を挟んだ。
 それがな……とさらに声のボリュームを下げるアデトア君に合わせ、私達は顔を寄せ合う。

「早すぎるんだよ、報告書が上がってきた日が。そいつが乗っていた馬車は魔馬車。行きに二週間かかっている場所なのに、城に伝えられたのは死んだとされる日から二日後だった。さらに、葬儀は王都でおこなわれたが、ショックを受けていると家族である妻子の参加はなし。遺体の損傷がひどいとかで城の連中の中に確認した者はいなかった。極めつけは……今現在、領地にいるそいつの家族と連絡が取れていない」
「うーん……手前の街に泊まってた日数によらない?」
「あぁ、悪い。言ってなかったが手前の街には寄ってないらしい。これも謎なんだ」
「マジかよ……想像した距離よりも進んでる可能性が高いじゃん……馬車じゃなくて魔馬で単騎なら時間の短縮はできそうじゃない?」
「いや、難しいな」

 私の疑問にそう告げたのはジィジだった。

「仮にすぐに発見され、見つけた者が馬を飛ばして五日かかる日程を一日か二日に短縮し、街で報告したとしよう。しかし日数を縮めるほどのスピードを出している時点で、襲われたとされる馬車は置き去りだ。報告書に名前が記載されている時点で貴族だということは発覚しているだろう。を持っていない限り街から派遣された者が確認に向かう。貴族ならばなおさらな」

 ジィジの解説になるほどと頷く。
 私のマジックバッグとは違って、一般的なものであれば容量には限度があるから馬車の持ち運びはできないんだもんね。信憑性の有無についても納得だ。ギルドに登録していなければ死亡判別に使われているドッグタグのネックレスも持っていないだろう。でも……

「その報告がその人の護衛だった場合は? 自分以外全滅しました~って。信用するに値しない?」
「どのみちがなければ確認される。計画的に殺された線が濃厚だな」
「墓を調べれば何かわかるんじゃないのか?」
「残念ながら棺は領地に送られているため、ここにはない。領地で墓を掘り返すとなれば妻子の許可を得たいところだ。それに鑑定の能力が高い者を選定する必要も出てくる」

 ジィジの推測にアーロンさんがとんでもないことを言い出した。アデトア君が冷静に返してるのも驚きだ。
 惨殺されたかもしれないご遺体とご対面なんぞしたくない。モザイク案件! そんなんトラウマだよ、トラウマ。夢に出てきて眠れなくなったらどうしてくれる。

「私は絶対ヤダからね。ジィジが言うを持ってきた可能性だってあるじゃん。大体、なんで今まで問題にならなかったのさ? 今ここでこんなに疑惑が出てるのに」

 ジト目をアデトア君に送ると、すまんと頭を下げられた。
 国庫を管理する経理部門とはいえ、アデトア君……っていうか王族とは直接面識はなく、亡くなっていたことも知らなかったんだそう。
 同僚達はどうなんだと思いつつ、大企業でイチ社員のことを把握している社長クラスは珍しいだろうなと、それは少し納得した。
 私的に一番気になるのは妻子だ。ショックを受けていたとしても葬儀には出るもんじゃないのかい?

「お金が行方不明なのはわかったけど、それはこの国の問題でしょ? アタシ達……セナちゃんには関係ないわ。支払い期限は明日。現王に〝そちらの対応次第で延してあげてもいいわよ〟って伝えてちょうだい」

 不敵な笑みを浮かべるニキーダにアデトア君だけではなく、アーロンさんまでもが顔を引き攣らせていた。


 そんなこんなでアデトア君は再び調査に戻り、私達は日が暮れてきた庭からサロンと呼ばれる談話室に移動することになった。

「案内しよう。あ、ここは階段があるから気を付けて。ミリエフェ殿下、お手をどうぞ」
「え……だ、大丈夫です」
「僕はこれでも王子なんだ。エスコートもできない王子だと噂されてしまうから、頼めないかな?」
「ミリエフェ」
「…………はい……」

 困ったように差し出された手をしばし見つめていたミリエフェちゃんは、フェムトクトさんの呼び声を聞き、諦めたようにフラーマ王子の手を取った。
 緊張しているのか、ミリエフェちゃんの顔が強ばっている。

「ありがとう。レインがセナ嬢のエスコートをしてもいいかな? 身長的や年齢的にもちょうどいいと思うし、レインとセナ嬢、両方の練習にもなると思うんだ」

 ミリエフェちゃんが慣れていない第二王子と手を繋いでいるのに、私だけスタルティかジルを選ぶのもな……と、レイン少年の手に手を載せた。
 王子の連れが順番に降り、カチコチのミリエフェちゃんが続く。
 私の番になったとき、最後の一段を降りる前にグイッと手を引っ張られた。

「わっ!」
――ゴツッ!
「グブッ……!」

 レイン少年に支えられて倒れはしなかったものの、引っ張られた勢いで何かに頭突き。レイン少年から呻き声が発せられた。
 嫌な予感を感じつつも顔をあげれば、レイン少年が苦渋の表情を浮かべながら鼻を押さえている。その手の隙間から垂れているのは赤いもの……鼻血だった。


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