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第二章:夏
24 *
しおりを挟む「くそ……」
秀悟は悪態をつき、椿をカーペットへと寝転がせた。そして、椿に覆い被さると、大きめのスウェットを膝までずり下ろす。現れたのは細い太腿部で、その肌の白さが、秀悟の目に刺さった。先程コンビニで買った黒の下着は、性器で押し上げられている。秀悟は熱い息を吐きながら、下着をゆっくりと脱がせた。
「っ……」
ぶわりと匂い立つ椿のフェロモンに、秀悟は息を呑んだ。美術館で嗅いだフェロモンよりも濃い匂いだ。目前に晒された肢体、Tシャツの裾から見える腹、ゆるく勃ち上がった性器、薄い下生え、そして、会陰から続く後孔を秀悟は凝視する。
椿は羞恥を感じて、足を閉じ、身体を捩る。しかし、秀悟がそれを制した。秀悟はスウェットと下着を椿の足から抜いて傍に置き、椿の足の間に身体を入れ込む。
「大丈夫」
秀悟は優しく言う。表面上は穏やかだが、それはあくまで仮面だ。赤ずきんを狙う狼のように、無害な顔を作っているに過ぎない。その証拠に瞳の奥は獰猛だ。
「っ……七村さん……」
椿の呼吸は荒くなり、鼓動は速くなる。秀悟に自覚はないが、αのフェロモンの匂いが強く、全身が痺れたように動かない。椿は本能的に、完全にαに屈服していた。
「椿くん、触るよ」
椿が小さく頷いたのを確認し、秀悟はそっと椿自身に触れる。自慰以外で使われたことのない性器は綺麗だ。
先走りが溢れる先端を指で撫でられ、椿はびくんっと身体を震わせると同時に「っひぁ」と声をあげた。椿は慌てて両手で口を抑える。
「可愛い」
秀悟は再び本音を漏らす。椿は否定しようとしたが、秀悟の手が性器に触れているため、声がでるのを我慢するのに精いっぱいだ。
秀悟の手によって、先走りは塗り広げられる。痛みがないように気遣って、優しく性器は扱かれた。性器は徐々に硬さを増していき、にちゅにちゅといやらしい水音が部屋に落ちた。
「っは……んんっ……、んぅ……」
椿は声を我慢して、唇を噛みながら、右手で口を覆う。縋るものが欲しくて、左手でカーペットを逆手で掴んだ。足が自然と閉じようとするが、秀悟の体躯がそれを邪魔する。
「痛くない?」
秀悟の質問は椿には聞こえていない。与えられる快感は新鮮で強烈で、目は潤み、頬は赤く染まる。椿のフェロモンは際限なく放たれて、それは秀悟の脳を揺さぶった。秀悟の欲望は止まることを知らず、椿の後孔へと手を移動させる。慎ましやかに閉じているそこを撫で、ゆっくりと指を一本挿入した。内壁は指の侵入を拒むように、ぎゅっと固く締めつけてくる。
「椿くん、身体の力を抜いて」
「なに、……んっ、っあ、そこっ……」
後ろに秀悟の指が入ってきて、椿は目を見開いた。椿は深呼吸を繰り返し、頑張って身体の力を抜こうとする。椿の指より、太くて長い指は、より質量を感じる。しかし、嫌悪感は全くなく、じわりと快感が生まれる。椿の中は分泌液のおかげで、ぐっしょりと濡れ、挿入に伴う痛みはない。
「ああっ……、だめ、っ……んあっ……」
「大丈夫、大丈夫だから」
安心させるように、秀悟は優しく繰り返す。何が大丈夫なんだ、ひどい大人だ、と心の中では自嘲していた。
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