無能の料理人と言われ領地を追い出されたが、何故か料理じゃなく戦いで頭角を現し無双します。俺を追い出したあいつは没落していくが、仕方ないよな

ぐうのすけ

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拡大するホワイト領とブック領

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 王は手を叩いた。

「次の話をする。」

「リコとカイに今没収した領地を授与する。更にリコとカイに星を1つづつ授与する。色々意見はあると思う。続きはお菓子でも食べながら議論しようではないか。」

 これで、
 テイカーとリコが3つ星貴族

 カイは2つ星貴族となる。

 ホワイト領は前から昇格の話があり、納得だが、カイの2つ星は意外だった。




「こちらへどうぞ。」





 こうしてささやかな立食パーティーが開かれた。

「今回も規模の小さい立食パーティーだが、最初だけでも皆集まってくれ」

「カイ、リコ、問題点が色々あるのは分かっている。だが、王都には余裕が無い。まだブック領の方が余裕がある。それほど王都に余裕が無いのだ。本来はもっと余裕を持って事を進めたいのだが、テイカーのダークスフィアの鎮圧は止まり、暗黒時代の幕開けにより、危機的状況だ。優秀な者には前倒しで事に当たって欲しいのだ。」

 なるほど、余裕が無いからカイとリコに前倒しで処理をお願いしたい。
 その為の期待を込めたカイへの星授与か。

「まず、ホワイト領とブック領の問題を上げて欲しい。リコから頼む。」

「一番の問題は旧ブラック領のダークスフィア問題ですが、その他に、支援により、動きが取りにくくなっていますわ。木こりが不足し、孤児院と難民は限界まで受け入れ、人材の不足が起こっていますの。」

「こちらも同じで、旧ブラック領のダークスフィア問題が一番厄介なのですが、今の領地すら安定しておらず、王都・ホワイト領・ブック領間をブックピヨで高速移動する流通革命も遅れております。」

「ハルト、キュキュクラブにも手伝ってもらいたいが、ハルトならどうする?」

「俺が決めていいなら、ロック・ガードを指揮官にして、ホワイト領とブック領の混合軍を編成し、ダークスフィアの鎮圧と見回りをしてもらうな。俺が料理ブーストをして兵力の底上げをすれば、長期的な国力増加が期待できる。それと、ロックが活躍して2つ星貴族になって欲しいってのもある。間に合わないようなら俺が前に出る。」

「他の人手不足やビックピヨの流通計画はエステルとメイが手伝ってくれれば、かなり改善されると思うぞ。ただ、エステルとメイの考えもある。話し合いは必要だ。」

「私やるよ!」

「私も手伝います!」

 その後、王・カイ・リコは話を詰め、俺の言った方針通り事を進めた。






 キュキュクラブとリコは、すぐにホワイト領への帰路に就く。

「また戻ってきますわね。きゅう、なでなでしますわ。」

「ダークスフィアの鎮圧が終わるころには、ホワイト学園の2年生になるな。」

「そうですわね、所でエステルの勉強は順調ですの?」

 エステルの犬耳がぺたんと垂れる。

「いえ、何もやってないですよ。」

「このままではエステルだけ留年ですわね。エステル、お勉強も頑張りますわよ。」

「俺とメイはほとんど学園に行ってないけど2年になれるんだな。」

「学科は終わっておりますし、王命をこなしておりますもの。十分条件は満たしてますわ。エステルの学科だけが問題なのですわ。」

 こうしてエステルはお勉強をしながらホワイト領に帰還した。





「エステルは毎日4時間お勉強ですわ。」

「前より時間が増えてるよ!」

「今までサボったからですわ。」

 エステルはお勉強をしつつ皆の手伝いを始めた。





 メイは操作魔法と生活魔法を駆使して、掃除と洗濯をこなす。

 生活魔法を駆使し、水を操り火の魔法で温水に変え洗濯物を洗う。
 更に、風魔法と炎の魔法で温風を作り一気に乾かす。


 孤児院の子供たちが集まってくる。
「わあ、すごいよ!」
「お姉ちゃん一人で全部洗濯してるね。」

「ふふふ、これがメイドの力ですよ。」





 俺はダンジョンキャンプで料理を作り続けた。
 早くみんなをパワーレベリングして仕事についてもらう事で、高ステータスの者が仕事を始め、生産力を上げることと、王都の力をアップさせることを狙っている。

「こ、これが伝説のハルトカレーか。」

「まさか仕事の無い俺達が食べられるとは思わなかったぜ。」

「ありがたい。早く仕事について、まともな生活を送る。そしてまたハルトカレーを食べるんだ!」





 メイとエステルは孤児院で勉強をする。
 エステルの勉強のついでに、子供の識字率を高める狙いもあった。

「エステルお姉ちゃん、これ教えて。」

「え、えーとねぇ・・・・」

「エステルはおバカだから分かりませんよ。私に聞いてください。」
 メイがエステルを挑発する。

「バカじゃないよ!」

「えー?じゃあ説明をお願いしますね。」

「そ、それは・・・」

「エステルお姉ちゃんっておバカなの?」
 子供が純粋な目で見つめてくる。

「そうですよ。エステルお姉ちゃんはおバカなんですよ。お勉強が嫌いなエステルお姉ちゃんのようにならないようにみんなは、お勉強しましょうね。」
 更にメイはエステルを挑発した。

「「はーい!」」




 エステルはリコに泣きついた。

「・・・そういう事があったのですわね。」

「悔しいよ!私子供にもおバカって言われてるんだよ。」

「お勉強して、メイをぎゃふんと言わせるのですわ!」

 エステルの犬耳がしゃきん尖り、尻尾がぶんぶん振れる。

「そうだよ!頑張るよ!」

 こうしてエステルのお勉強はどんどん進み、学力が上がるにつれて、勉強嫌いも克服された。

 エステルは上機嫌で孤児院の子供に勉強を教える。

 メイが洗濯をしながらリコと話す。
「エステルは素直なのですぐ挑発にのってきました。」

「メイはすごいですわね。エステルがあんなに楽しそうにお勉強してますわ。」

「ふふふ、これで後は、ハルトときゅうのダークスフィア狩りが落ち着けば、楽になります。」




 ロックは旧ブラック領でダークスフィアの鎮圧の指揮を執る。
 戦闘する兵を500に絞り、余ったハルトカレーはすべてダンジョンキャンプに回した。
 斥候と後方の補給部隊を豊富に揃え、確実に兵の質を上げていった。

 ロックに声をかける。
「順調みたいだな。」

「ハルトのおかげだぞ。」

「俺は料理のサポートをしているだけだ。」

「その効果が凄まじいのだ。それに、俺を2つ星貴族に推薦してくれたようだな。ホワイト領に受け入れてもらった時からずっと世話になっている。」

「それを言うなら、ロックの指揮能力の高さに助かってるし、優秀な人間には上に行って欲しいと思っている。」

「そういえば、ハルト、最近英雄と言われることが増えたな。ハルトの絵本も販売されてるぞ。」

「みたいだな。」
 この前も『英雄ハルトに会いたくてこの部隊に志願しました!』とか色々言われたもんな。
 目立って良い事はないんだが。

「ハルト、不機嫌になっても仕方がない。英雄と言われることはしてきたんだ。利益をほとんど投資に回して、もう何もしなくてもみんなを助け続ける仕組みまで作っているんだ。」
 今俺は、ホワイト領に投資した配当金をほとんどブック領に回している。
 ホワイト領が大きく発展したことで、ありえないほど投資の資産が膨らみ、その資産をブック領に回したら今度はブック領が急速に発展し、その利益をさらにブック領の投資に使っている。

 その効果とホワイト領の支援でブック領はホワイト領の時の数倍のスピードで発展している。
 テイカーの邪魔が入らないのも大きい。

 こうして順調にダークスフィアを消滅させていった。





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