上 下
145 / 179

第145話

しおりを挟む
【ドリル視点】

「どうした!どうしたおい!」

 俺はアサヒを追い詰める。
 雑魚の分際で俺に傷をつけやがって!
 許さねえ!
 何度も槍で突き、何度も倒そうとするが意外としぶとい。
  
 アサヒの刀と打ち合うが浅い傷は何度も与えている。
 だが直撃出来ねえ!

 ちょっとでも距離を取れば刀の斬撃が飛んでくる。
 クズな性格が戦い方に出ている!

 しかもこいつ、スキがあれば逃げようとしやがる!
 お前はここで殺す!
 
「早くくたばれ!」
「ぐう、ドリル!僕は、死なない!諦めるんだ!」

 ガキンガキンガキンガキン!
 ののしり合いながら打ち合う。

「血だらけで何言ってやがる!」
「致命傷は、受けていないよ!僕は天才だからね!僕はレベル60に達している!」
「おれは80だ馬鹿が!温存してアーツを使わないでやってるんだよ!」
「使ったら君はここで死ぬんだろう?温存するしかないんだ!正義の前で悪は通用しないんだ!」
「アサヒ!お前は悪魔じゃねえか!正義じゃねえよ!」
 
 しぶとい!
 まるでゴキブリだな!
 もういい!アーツを使って潰してやる!

「ソニックタイム!ショートスティング!ロングスティング!」
「ぐはあ!」

 アーツを決めてやった!
 一気に押し切る!

「おらおらおらおらおらあ!」

 何度も槍で突こうとするがそれでも倒しきれねえ!
 こいつ、しばらく見ないうちに強くなっている!

 アサヒが刀を消した。
 なん、だ?

 アサヒが口角を釣り上げた。
 何かが来る!?

「ガトリング!」
「ぐぼおおおおおおお!」

 俺は弾幕を受けて後ろに下がっていく。
 もう一発、使えたのか!

 だが、問題ない!
 ポーションで治せる!

 俺がポーションを飲んだ隙にアサヒが逃げ出す。

「ま、待てよ!」
「はははははは!今日から毎日、後ろに気を付けるんだね!いつ僕の刀が君を斬り刻むか分からないからねぇ!」

 ここで逃げるのか!
 クズが!

 俺はアサヒに迫って槍を突き刺した。
 アサヒが倒れた瞬間、俺の腹に槍が刺さった。
 俺がアサヒに意識を集中した一瞬のスキを突かれた。
 
 槍が消えると、アオイの手に槍が出現する。

「アオイか。ようやく表れたな!」
「あなたの相手はしたくはないのだけれど、仕方がないわね」

「俺に勝てないって分かっているのか!物分かりがいいようだな!」
「ソニックタイムが切れたわよ?」

「問題無い。お前をおとなしくさせて持ち帰ればいいだけだ。アオイ、レベルを上げるのに苦労したか?」
「ドリルが私に監視をつけて邪魔をしたんでしょ?親にそっくりね」

「はあ!意味が分からねえが、お前を気絶させたら何度も懇願させてやろう」
「スティンガーそのものね」
「俺はスティンガーとは違う!」

「実の父の事をスティンガーと呼ぶのね。あなたの嫌いなスティンガーとあなたの性格はそっくりよ」
「時間稼ぎは終わったか?言っておくが、ここにいる全員を俺一人で殺す事が出来るんだよ!」
「時間稼ぎはあなたもでしょう?あなたのクールタイムは回復したのかしら?」
「時間稼ぎには乗らねえ!」

「ソニックタイム!ロングスティング!ショートスティング!」
「ソニックタイム!ロングスティング!ショートスティング!」

 アオイと打ち合う。
 攻撃力はそこまでじゃねえが、動きが早い。
 だが、それだけだ!

 俺と打ち合うたびにアオイは押し負けて後ろに飛ばされる。
 態勢を崩しながら後ろに下がる。
 その隙を狙う。

 俺より弱い!
 しかも俺はソウルスキルを使っていない。
 アオイ、いい女だ。確実に倒して、手に入れる。

「ソウルスキル!レディーキラー!」

 俺の槍が紫色に輝く。
 少しでも槍で攻撃を受けちまえばアオイは終わりだ。

「ぐらあああああああああああああああああああああああ!!!!」

 俺はアオイに槍の連撃をお見舞いした。
 何度も何度も突く。

 そして、ついにアオイの腕に槍を突き刺した。

「んあああああ!」
「どうした?ずいぶん色っぽい声を出すじゃねえか!」

 俺はアオイを何度も突き刺す。

 レディーキラー。
 その効果は俺の攻撃を当てた女を強制的に発情状態にする。
 
 もうアオイはただのメスだ。
 後は、ここにいる全員を倒して……

 味方が全員倒されたのか!
 いつの間に!

 頭数は俺達の方が多かったはずだ!
 しかも相手はほとんどが雑魚だ。

 ハイブリッドの無能が俺に刀を向けた。
 ハヤトの眼を見た瞬間に俺は身構えた。

 貧民街で育ち、人を見抜く力は身につけてきた。
 あの目は、油断できねえ!
 修羅場を何度も味わった目をしてやがる!

「言っておくがなあ!このレディキラーは男には毒効果をもたらす!女をメスに変えるだけじゃねえ!」
「そうか、EXスキルをどうするか決めた」
「訳が分からねえ」

「気にするな、こっちの事だ」

 ハヤトは歩いて俺に近づいてくる。
 槍を構えても落ち着いたように歩いてくる。

 俺が槍を突き出した瞬間奴は急に動いた。
 いきなり俺の喉を狙って刀を振る。

 俺と奴が打ち合うが、奴は速いわけじゃない。
 体力もそこまでではない。
 だが何故か俺は防戦一方に回った。
 
 ソニックタイムを使わねえと対応できねえ!
 だが、クールタイムがまだ回復しない。

 俺は小さい傷を何度もつけられていく。
 奴は連撃のたびに威力が上がっていく。

 意味が分からねえ。
 だが、奴はもう、スタミナが残っていない。
 そしてアーツも使えない。

 何度もアーツを決められるタイミングがあったが使わねえ。
 使えねえんだろう。
 だが、雑魚のハイブリッドのはずだが、この悪寒は何だ?

 クールタイムが終わった!ソニックタイムが使える!
 これで一気に決める!

「ソニックタイム!」

 俺は一気に猛攻を仕掛けた。

「ぐらあああああああああああああああああああああああ!!!!」

 そして攻撃を当てた!
 掠っただけだが当てればいいんだ。

 俺のレディーキラーの効果が消える。
 ギリギリ間に合ったぜ。

「へっへっへ。お前はもう終わりだ。異常解除のポーションを今飲んでも無駄なんだよ!諦めろ!」
「ぶっつけ本番になるか」

 そう言いながら奴は異常解除のポーションを飲んだ後、魔力ポーションも飲んだ。
 意味が分からねえ。

「ハイリジェネ!強化弾丸!」

 奴の武具が光を放ち、そして奴自身も光っていく。
 奴は俺に斬りかかってきた。

 奴の攻撃力が増している!
 奴のスタミナが回復していくのか!

 奴の動きが良くなっていって、俺はどんどん攻撃を受けて行った。

 なん、だ?
 レディーキラーの毒は効いているはずだ。
 レディーキラーの毒効果は異常解除ポーションの効果を超えて相手を殺すはずだ!
 毒は効かないのか?
 いや、効かないなら異常解除のポーションを飲む意味がねえ!

 それに奴の顔を見て分かった。
 俺がなんでこんなに弱いんだ?って顔をしてやがる。
 だが、、もう、奴に攻撃を当てられる気がしねえ!

「おいおい!今度はなんだよ!」

 奴の体が黒いオーラで覆われていく。
 ヒメのスキルか!

 俺は一気に切り刻まれた。
 奴は、力を隠していたのか?
 奴は俺を倒す寸前までカースウォーをヒメに使わせなかった?

 いや、カースウォーが無くても、勝てなかった。
 能力値はそこまで高くねえはずだ。
 俺はソウルスキルを使いこなし、強い戦士のジョブで、しかもいくつもの修羅場を生き延びてきた。

 なのに何でだ?
 俺の攻撃は当たらねえのに奴の刀は俺を斬り刻んでいく。

 俺は、ここで、死ぬのか。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

重婚なんてお断り! 絶対に双子の王子を見分けてみせます!

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,512pt お気に入り:44

ざまぁされちゃったヒロインの走馬灯

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,635pt お気に入り:59

悪魔に祈るとき

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:16,707pt お気に入り:1,322

思い付き短編集

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:241pt お気に入り:121

処理中です...