婚約破棄された令嬢は自由を満喫する

「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「すまない、イザベラ。
 私は真実の愛を見つけてしまったのだ。
 こんな気持ちで君と結婚する事はできない。
 償いは必ずするから、婚約を解消して欲しい」

 婚約発表に集まっていた、国内外の王侯貴族が凍り付いたのが分かります。
 先ほどまで笑いに満ちていたのに、今は葬式会場のようです。
 まあ、当然でしょう。
 婚約を解消するのなら、真実の愛とやらが本物なら、それほど愛情深いのなら、せめて前日に内密で婚約解消を伝えるべきです。

 それを、婚約発表するはずだった私より豪華なドレスを着た、満面に笑みを浮かべた令嬢を腕につかまらせて、これほどの人々が集まる前で発表するなんて、意識して私とハミルトン伯爵家を貶めるつもりだったのです。

「申し訳ない事をしてしまいましたね、イザベラ嬢。
 でもこれは仕方のない事なの。
 ハリー王太子殿下と私は運命の相手なの。
 神に祝福された恋人同士なの。
 恥をかかせて申しわけないのだけれど、貴女に相応しい償いをさせていただくわ」

 ベレスフォード公爵家令嬢リリー。
 私と同じく月神コンス様の聖女候補だった女性。
 でも、ベレスフォード公爵家令嬢として格をつけるために、なんの能力もコンス様の啓示もないのに、神官達に賄賂を贈って聖女候補になった女性。
 今度はどんな手を使って婚約者の座を手に入れたのでしょう?

 でも、そんなに嬉しそうに残忍そうに、勝利の笑みを浮かべていていいの?
 ソレは大外れの男ですよ。
 全く博才のない博打好き。
 私が事前に調べた範囲では、表裏多くの所に借金があるのですよ。
 その全てをベレスフォード公爵家で尻拭いするのですか?
 犯罪者ギルドの借金を踏み倒したら、王太子でも暗殺されますよ。

「ああ、その通りだ。
 必ず君に相応しい償いをさせてもらうとも。
 君に相応しいね」

 ああ、そういう事でしたか。
 ハミルトン伯爵家令嬢に対する賠償なら、それ相応のモノを渡さないといけませんが、両親も分からない孤児に払う賠償金なら、雀の涙程度ですみます。
 本当に性根の腐ったカップルですね。
 そう言う意味では、とてもお似合いの、まさに運命の相手ですね。

 ですが、こんな事をして大丈夫なのですか?
 本当に真剣にこの筋書きを考えたのですか?
 まともな人間に相談しなかったのですか?
 貴方達が踏みつけにしたのは、犯罪者ギルドとも深いつながりがある、私でも逃げ出す事ができなかったハミルトン伯爵ですよ。
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