お忍びの半神王女は、勇者パーティーを追放された廃人戦士を蘇らせる

「カクヨム」と「小説家家のなろう」にも投稿しています。
 私ガブリエラは、アリスランド王国の王女です。
 皆様もご存じのように、アリスランド王国の王族は、月神テーベと癒しの聖女アリスの間に生まれた、半神やクォーター神です。
 まだワンエイス神やワンシクスティーンス神は生まれていませんが、時間の問題だと思います。

 ですが、大半はアリスランド王国を離れて神々の国に向かいます。
 半身でも、月神テーベの能力を半分も受け継げば、神々の中では強い方です。
 神の世界でもよいパートナーが選べます。
 生れてくる子供の事を考えれば、神力が半減する人間との間に子供をもうけるのは、よほどの愛情がなければ避けたくなるのが普通です。

 聖女とはいえ、半分人間の血が流れている私だから言える事ですが、神の力が半分流れ神力を持つ身では、普通の人間として生活するのは難しいのです。
 どうしても恐れ敬われることになります。
 対等の恋愛など不可能です。
 自分の身体を神に捧げるような態度で愛情を返されても、正直辛いだけです。

 そういう経験をした事のある兄弟姉妹は、神々の国に向かいうことになります。
 可哀想なのは、その時に生まれてしまった甥達や姪達です。
 祖父となる月神テーベの神力を四分の一受け継いだ甥や姪は、平均的な神と同じくらいの神力を持っていますが、半神である片親からも、人間である片親からも、私達が父や母から注いでもらったような愛情を受けられていません。

 多くの神が身勝手な性格なのも、甥達や姪達のように、満足な愛情を幼少期に得られなかったからかもしれません。
 甥達や姪達が、神として人間と契約した時に、どんな無理難題を吹っかけるか心配になりますし、人間として神力をふるった時に、この世界の秩序を根本的に破壊してしまうかもしれません。

 でも、まあ、そんなことになるまでには、まだ数百年は間があるでしょう。
 私を含めた変りの者が大陸を放浪している間は、甥達や姪達も自重するでしょう。
 私達はまだ何をすべきか決めかねているのです。
 いえ、放浪する他の兄弟姉妹の考えは、正確には分かりません。
 少なくとも私は、神として生きる決断も、王族として生きる決断も、人として生きる決断もできていないのです。
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