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第四章
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「お、時田―!」
「篠田…」
下駄箱、上履きを履いていると、珍しく声を掛けられる。
「おひさー、どしたの夏休みに。部活入ってなかったよな?」
「あー…うん、進路のことで相談があって…」
「っはー…もう考えてんのか。早えなぁ…」
「そんなことないって…オーキャンは2年で行っとけっていうじゃん」
「俺なんてずっとバスケして寝てばっかだわ…焦るわー」
焦るのはこっちのほうだ、言葉をぐっと飲みこむ。
「し、篠田は何しに来たんだよ。体育館、向こうだろ?」
「あー俺?今備品整理しててさー。ボール足りんくて探し役のジャンケン負けた…」
「あー…それはお疲れ」
「くっそー…このクソ暑い時期にぃ…じゃあそろそろ行くわ。またなー」
靴箱程度の箱の中には、小さいキューブ型でレンズがついている。
「これって、まさか…」
箱に空いている小さな穴。考える間もなく分かってしまう。その場で映像は見れないようだ。でも、なんで、こんなところを…ここに撮る価値のあるものなんて…
「持って帰ってきてしまった…」
でも警察や先生に言うにしても、中身が何もなければただの迷惑になってしまう。
まあ、体よく言っているけれど、好奇心というものが一番大きい。
一応自室に持ち込んだパソコンにSDカードを差し込む。やはり、というべきか、時田がひたすらペットボトルに小便しているところが映る。何日も、何日も、何回も、何回も。
「え…」
どんどん昔にさかのぼると、最初の二本だけサムネイルが違う。そしてその画像もとんでもないものだ。震える手で一番最初の再生ボタンを押す。
「やだっ、やだぁっ、ァっ、」
よく知る人物の悲痛な叫び。手を拘束されて、下半身がはぎとられて、全身をまさぐられている映像。
「ぐっ…」
ガクガクと震えている肉体の穴に、無理やり棒を押し込んで。犯人とおぼしき人物の機械音と、生の吐息が合わさって気持ち悪い。最近の時田の奇行に納得がいった。彼は今、後遺症に悩まされている。
「んっ…ぁぁ…」
シュウウぅ…何度見たか分からない放尿シーン。一番最新の映像だ。
「せんせ…またおしっこできなかった…」
「大丈夫だ、ゆっくり行こう。確実に前には進んでいる」
「ほんと?」
「ああ。だから焦らなくてもいい」
映っている、善良な大人を演じている人間が。
犯人は、こいつだ。
「篠田…」
下駄箱、上履きを履いていると、珍しく声を掛けられる。
「おひさー、どしたの夏休みに。部活入ってなかったよな?」
「あー…うん、進路のことで相談があって…」
「っはー…もう考えてんのか。早えなぁ…」
「そんなことないって…オーキャンは2年で行っとけっていうじゃん」
「俺なんてずっとバスケして寝てばっかだわ…焦るわー」
焦るのはこっちのほうだ、言葉をぐっと飲みこむ。
「し、篠田は何しに来たんだよ。体育館、向こうだろ?」
「あー俺?今備品整理しててさー。ボール足りんくて探し役のジャンケン負けた…」
「あー…それはお疲れ」
「くっそー…このクソ暑い時期にぃ…じゃあそろそろ行くわ。またなー」
靴箱程度の箱の中には、小さいキューブ型でレンズがついている。
「これって、まさか…」
箱に空いている小さな穴。考える間もなく分かってしまう。その場で映像は見れないようだ。でも、なんで、こんなところを…ここに撮る価値のあるものなんて…
「持って帰ってきてしまった…」
でも警察や先生に言うにしても、中身が何もなければただの迷惑になってしまう。
まあ、体よく言っているけれど、好奇心というものが一番大きい。
一応自室に持ち込んだパソコンにSDカードを差し込む。やはり、というべきか、時田がひたすらペットボトルに小便しているところが映る。何日も、何日も、何回も、何回も。
「え…」
どんどん昔にさかのぼると、最初の二本だけサムネイルが違う。そしてその画像もとんでもないものだ。震える手で一番最初の再生ボタンを押す。
「やだっ、やだぁっ、ァっ、」
よく知る人物の悲痛な叫び。手を拘束されて、下半身がはぎとられて、全身をまさぐられている映像。
「ぐっ…」
ガクガクと震えている肉体の穴に、無理やり棒を押し込んで。犯人とおぼしき人物の機械音と、生の吐息が合わさって気持ち悪い。最近の時田の奇行に納得がいった。彼は今、後遺症に悩まされている。
「んっ…ぁぁ…」
シュウウぅ…何度見たか分からない放尿シーン。一番最新の映像だ。
「せんせ…またおしっこできなかった…」
「大丈夫だ、ゆっくり行こう。確実に前には進んでいる」
「ほんと?」
「ああ。だから焦らなくてもいい」
映っている、善良な大人を演じている人間が。
犯人は、こいつだ。
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