67 / 75
その後のお話①
❋長いですが、分割せずにいきます❋
*リンディ=ブルーム視点*
ブルーム家全員での最後の晩餐は、我儘を発揮したエヴィのせいで後味の悪いモノとなった。
「こんなに美味しいベリーパイが嫌いだなんて。それに、今更何なの!?本当に、最後なんだから、我慢でもして食べれば良いのに」
ー勿体無いなぁー
と思い、エヴィとジェマが残していったベリーパイに手を伸ばした時、エヴィとジェマの後を追って出て行ったお母様が戻って来た。
「あ、お母様、おかえりなさい。あの2人は戻って来ないわよね?この残ったベリーパイ、私が食べて──」
「駄目よ!リンディ!そんなお行儀の悪い事はしないで!」
「え?」
こんな風にお母様に叱られたのは初めてだ。
「あ…ごめんなさいリンディ。でもね、リンディ。貴方は王族に嫁ぐ事になったのよ。他人が残した物を食べるだなんて、マナー違反な事はしてはいけないわ。これからは気を付けないと…」
それは、いつもの優しいお母様だったけど、結局はそのベリーパイを食べる事はできなかった。
******
それから、私は予定通りに2年で学校を卒業し、卒業式の3日後には、王家から手配された人達によって、ゲルダン王国へと旅立つ事となった。
ゲルダン王国の王族に嫁ぐと言うのに、私達を見送りに来たのは第二王子イズライン殿下と宰相と、学校で同じクラスだった友達の数名だけだった。
それに対して、お父様もお母様も怒っていて、宰相を叱りつけていたけど。
「国王両陛下も王太子殿下もお忙しいのです。代わりに、ゲルダン王国迄の宿泊費用等は王家が受け持ちますし、宿も上位クラスでご用意させていただいていますから」
と言われれば、「それなら仕方無い─」と、私達は軽く挨拶を済ませた後、用意された乗り心地の良さそうな立派な馬車に乗り込んだ。
ゲルダン王国への旅は快適で楽しいものだった。
余分だったエヴィとジェマは居ない。大好きなお父様とお母様とサイラスの4人の旅は、本当に楽しかった。4人皆が笑顔だった。
その旅が、4人揃って笑顔で居られた最後になるとも知らずに──
ゲルダン王国の国境を超えるとすぐに、ゲルダン王国側の王族直属のお迎え部隊が待ち構えていて、今迄私達と共にやって来ていたアラバスティア王国の者達は、私達を引き渡すと軽く挨拶をしただけで、休む事なくアラバスティア王国へと戻って行った。
「折角ゲルダン迄来たのだから、遊んでから帰れば良いのに…」
なんてのんびり考えながら、私達の乗っている馬車は王都にある王城へと向かって行った。
ゲルダン王国の王城は、アラバスティア王国の城よりも少しこじんまりしたモノで、豪華さや華やかさもなく、要塞のような城だった。
城に入ると4人それぞれ違う部屋に案内され、謁見する為にそれぞれに服を着替えさせられた。その時に「この国では、それぞれの魔力について登録する義務があるから」と、魔力についても調べられた。勿論、私は光の魔力持ちだ。「確かに、光の魔力をお持ちですね。我が国への輿入れ、ありがとうございます」と、頭を下げてお礼を言われた。
そう。これこそが、本来私が受けるべき対応だ。
なのに、アラバスティアでは、それらが一切無かった。
「この国に来て良かったわ」
謁見の場に行けば、そこにはゲルダン国王と、私の婚姻相手である王弟─ルシエルが居た。
ルシエルの見目は典型的な金髪碧眼の王子が、少し歳を重ね渋みが増した様なイケメンだった。リンディは、一目で恋に落ちた。リンディは謁見の間中、ずっとルシエルに目を奪われていて、全く気付いてはいなかった。
その謁見の場に、母親であるポーリーンが居ない事。父親であるフロイドの顔色が真っ青だった事を──
ゲルダン国王主催の歓迎会は盛大に行われた。
その歓迎会の翌日には、ルシエルが治める領地へと向かう事になった。王弟であるから、住んでいる場所は王都かと思っていたが──王都から2日程掛かる辺境地であった。
そして、そこで初めて知った真実─
正妻ではなく、側室としての輿入れだった事。
正妻が病弱で世継ぎが生めない為、側室を迎えたのだと。しかも、私の他に2人も居ると言う。
ー光の魔力持ちの私が、側室の1人扱い!?ー
正直、腹立たしくはあったが、ルシエルと婚姻できるなら─それに、子ができれば、私が正妻になれるかもしれない─と思い、怒りは抑えて、私はルシエルと婚姻を結んだ。
ソレさえも……嘘だった。
初夜に、ルシエル様の部屋に呼ばれ、部屋に向かうと、そこには女性─側室の1人がグッタリとして床に横たわっていた。
よく見ると、手足にアザがあり意識もハッキリしていない。
「だっ…だいじょ───」
「お前は黙って、何も言わずにその女を治療するんだ」
その側室に声を掛けようとしたところで、後ろから底冷えのする様な声で言われた。勿論、その声の主はルシエル様だった。
それからの日々は、とても辛いものだった。
王弟ルシエル様は、表では魔力無しを擁護しているが、裏では魔力無しを蔑み、虐待していたのだ。2人の側室が魔力無しで、一週間のうち2、3回程、ルシエル様からの虐待を受けていた。そして、私の役割は、その虐待された側室を癒やす事だった。あまりにも酷過ぎる!とルシエル様に「止めて欲しい」とお願いすると
「お前の母親が、魔力無しだと、貴族の連中に言ってやろうか?馬鹿なお前でも、もう分かるだろう?この国では、魔力無しが裏でどんな扱いを受けるのか…」
「え?」
ーお母様が…“魔力無し”?ー
「アラバスティアでは上手く隠せていたようだが、ここではあんな小細工では、魔力無しは隠せないからな」
ニヤリと嗤うルシエル様。
そう言えば─と、そこでようやく気が付いた。ルシエル様と婚姻を結んでから、一度も家族に会っていない事に。
今分かった事は、私がルシエル様に逆らえば、母親の安全が確実ではなくなると言う事。
「いっそのこと……殺してくれたら………」
「───っ!」
その日もまた、グッタリとした側室の1人─アガタを治療していると、ポロポロと涙を流しながら呟いた。
ー魔力無しが、何だと言うの!?一体、アガタが何をしたと言うの!?ー
グッ─と涙を耐えながら治療を続け、心の中で叫び──そこで初めて理解した。
ー私は、なんて愚かだったんだろうー
エヴィが一体、何をした?
両親の興味は私に向かい、エヴィは我慢していただけ。
高熱を出した時も、独りで耐えていただけ。
魔力無しになっても、自分を磨いただけ。
我儘なんて……言った事なんてなかった。
ーエヴィ……ごめんなさい…………ごめんなさい…………ー
『光の魔力が少しでも強くなって……ゲルダン王国では…他人の為に尽して……頑張って欲しい』
夢の中で、久し振りの優しい声が聞こえた。
「───エヴィ?」
「目が覚めた?」
「え!?」
目が覚めると、そこには少しやつれてはいるが、綺麗な女性─ルシエル様の正妻であるエイミー様が居た。
ここは私の部屋─で、間違いはない。と言う事は、ここはエイミー様が居る筈の無い別邸だ。別邸には、使用人を除けば側室である3人しか居ない。
ルシエル様とエイミー様は、本邸住まいで、別邸には色々マズイ事がある為、エイミー様は立ち入らせないようにされていた──筈だ。
「───ごめんなさい……私……知っていたのに…何もできなかったの……」
ヒュッ─と息を呑んだ。
「でも…そろそろ、終わりにしなければ……ね?」
「終わり?終わりに……できるの?」
思わずエイミー様の服を掴んでしがみつくと、エイミー様は、ただただ優しく微笑んでいた。
それから数日後、ゲルダン王国は大騒ぎとなった。王弟ルシエル様の、裏での行いが公になったのだ。これには、ルシエルの兄であるゲルダン国王が即座に動いた。
“王族、実の弟であっても赦さない”
国王自身が推し進めている魔力無しの保護活動を、更に確実に進める為に。ある意味“見せしめ”である。
「魔力無しなど、何の価値もない!」
と、最後の最後迄反省する事なく、王弟ルシエルは公開処刑となった。
その3日後、エイミー様も持病が悪化し儚くなってしまった。自身の死を悟り、自分が死んでしまう前に─と動いてくれたのかもしれない。
そうして、側室だった私達3人は、ルシエル様が保有していた財産を三等分したモノとは別に、国王からそれなりの額の慰謝料をもらい、それぞれの希望する所へと送られた。
アガタは両親の居る領地へ。もう1人の側室だったボニーは取り敢えずは王都で療養するとの事だった。
私は───
ブルーム侯爵が治める領地は、王都を挟んでルシエル様が治めていた領地とは真反対の位置にあった。
久し振りに会った家族は……
お母様は、ゲルダンに来てから半年後に、病を患い亡くなっていた。そう。ルシエル様が私に脅しを掛けて来た時には、既にこの世には居なかったのだ。
お父様は、お母様の魔力無しと言う事実と、亡くなった事実を無かったかのように淡々と領地運営をしている。
弟のサイラスは、隠してはいるが、相変わらずの光の魔力持ちの私主義者だ。その辺りの思想を正さないと─と思っている。
そして、与えられた領地。その領地にある鉱山では、純度の高い魔石がよく採れる。
私は今、その鉱山で働く人達の疲れや怪我を癒やすために働いている。
私の光の魔力はとても弱くて少ない為、1日に数人しか癒やす事はできないけど、それでも、そんな私にでも
「人数は関係無い。癒やしてくれるだけでありがたいのだから」
と、優しい言葉を掛けてくれるのだ。それが、とても……嬉しい。
『──光の魔力は、他人の為に使いなさい』
と、昔、誰かに言われたような気がする─と、今更ながらに思い出した。
ーまだ遅くはない?今からでも、こんな私でも、他人の役に立てますか?ー
空を見上げると──
『リンディなら、できるわ』
なんて、エヴィが都合よく答えてくれたような気がした。
ーいつか、エヴィに会って、謝る事は……できるだろうか?ー
次にエヴィに会った時には、笑顔で会えるように……私は今日も他人を癒やす為に鉱山へと向かった。
*リンディ=ブルーム視点*
ブルーム家全員での最後の晩餐は、我儘を発揮したエヴィのせいで後味の悪いモノとなった。
「こんなに美味しいベリーパイが嫌いだなんて。それに、今更何なの!?本当に、最後なんだから、我慢でもして食べれば良いのに」
ー勿体無いなぁー
と思い、エヴィとジェマが残していったベリーパイに手を伸ばした時、エヴィとジェマの後を追って出て行ったお母様が戻って来た。
「あ、お母様、おかえりなさい。あの2人は戻って来ないわよね?この残ったベリーパイ、私が食べて──」
「駄目よ!リンディ!そんなお行儀の悪い事はしないで!」
「え?」
こんな風にお母様に叱られたのは初めてだ。
「あ…ごめんなさいリンディ。でもね、リンディ。貴方は王族に嫁ぐ事になったのよ。他人が残した物を食べるだなんて、マナー違反な事はしてはいけないわ。これからは気を付けないと…」
それは、いつもの優しいお母様だったけど、結局はそのベリーパイを食べる事はできなかった。
******
それから、私は予定通りに2年で学校を卒業し、卒業式の3日後には、王家から手配された人達によって、ゲルダン王国へと旅立つ事となった。
ゲルダン王国の王族に嫁ぐと言うのに、私達を見送りに来たのは第二王子イズライン殿下と宰相と、学校で同じクラスだった友達の数名だけだった。
それに対して、お父様もお母様も怒っていて、宰相を叱りつけていたけど。
「国王両陛下も王太子殿下もお忙しいのです。代わりに、ゲルダン王国迄の宿泊費用等は王家が受け持ちますし、宿も上位クラスでご用意させていただいていますから」
と言われれば、「それなら仕方無い─」と、私達は軽く挨拶を済ませた後、用意された乗り心地の良さそうな立派な馬車に乗り込んだ。
ゲルダン王国への旅は快適で楽しいものだった。
余分だったエヴィとジェマは居ない。大好きなお父様とお母様とサイラスの4人の旅は、本当に楽しかった。4人皆が笑顔だった。
その旅が、4人揃って笑顔で居られた最後になるとも知らずに──
ゲルダン王国の国境を超えるとすぐに、ゲルダン王国側の王族直属のお迎え部隊が待ち構えていて、今迄私達と共にやって来ていたアラバスティア王国の者達は、私達を引き渡すと軽く挨拶をしただけで、休む事なくアラバスティア王国へと戻って行った。
「折角ゲルダン迄来たのだから、遊んでから帰れば良いのに…」
なんてのんびり考えながら、私達の乗っている馬車は王都にある王城へと向かって行った。
ゲルダン王国の王城は、アラバスティア王国の城よりも少しこじんまりしたモノで、豪華さや華やかさもなく、要塞のような城だった。
城に入ると4人それぞれ違う部屋に案内され、謁見する為にそれぞれに服を着替えさせられた。その時に「この国では、それぞれの魔力について登録する義務があるから」と、魔力についても調べられた。勿論、私は光の魔力持ちだ。「確かに、光の魔力をお持ちですね。我が国への輿入れ、ありがとうございます」と、頭を下げてお礼を言われた。
そう。これこそが、本来私が受けるべき対応だ。
なのに、アラバスティアでは、それらが一切無かった。
「この国に来て良かったわ」
謁見の場に行けば、そこにはゲルダン国王と、私の婚姻相手である王弟─ルシエルが居た。
ルシエルの見目は典型的な金髪碧眼の王子が、少し歳を重ね渋みが増した様なイケメンだった。リンディは、一目で恋に落ちた。リンディは謁見の間中、ずっとルシエルに目を奪われていて、全く気付いてはいなかった。
その謁見の場に、母親であるポーリーンが居ない事。父親であるフロイドの顔色が真っ青だった事を──
ゲルダン国王主催の歓迎会は盛大に行われた。
その歓迎会の翌日には、ルシエルが治める領地へと向かう事になった。王弟であるから、住んでいる場所は王都かと思っていたが──王都から2日程掛かる辺境地であった。
そして、そこで初めて知った真実─
正妻ではなく、側室としての輿入れだった事。
正妻が病弱で世継ぎが生めない為、側室を迎えたのだと。しかも、私の他に2人も居ると言う。
ー光の魔力持ちの私が、側室の1人扱い!?ー
正直、腹立たしくはあったが、ルシエルと婚姻できるなら─それに、子ができれば、私が正妻になれるかもしれない─と思い、怒りは抑えて、私はルシエルと婚姻を結んだ。
ソレさえも……嘘だった。
初夜に、ルシエル様の部屋に呼ばれ、部屋に向かうと、そこには女性─側室の1人がグッタリとして床に横たわっていた。
よく見ると、手足にアザがあり意識もハッキリしていない。
「だっ…だいじょ───」
「お前は黙って、何も言わずにその女を治療するんだ」
その側室に声を掛けようとしたところで、後ろから底冷えのする様な声で言われた。勿論、その声の主はルシエル様だった。
それからの日々は、とても辛いものだった。
王弟ルシエル様は、表では魔力無しを擁護しているが、裏では魔力無しを蔑み、虐待していたのだ。2人の側室が魔力無しで、一週間のうち2、3回程、ルシエル様からの虐待を受けていた。そして、私の役割は、その虐待された側室を癒やす事だった。あまりにも酷過ぎる!とルシエル様に「止めて欲しい」とお願いすると
「お前の母親が、魔力無しだと、貴族の連中に言ってやろうか?馬鹿なお前でも、もう分かるだろう?この国では、魔力無しが裏でどんな扱いを受けるのか…」
「え?」
ーお母様が…“魔力無し”?ー
「アラバスティアでは上手く隠せていたようだが、ここではあんな小細工では、魔力無しは隠せないからな」
ニヤリと嗤うルシエル様。
そう言えば─と、そこでようやく気が付いた。ルシエル様と婚姻を結んでから、一度も家族に会っていない事に。
今分かった事は、私がルシエル様に逆らえば、母親の安全が確実ではなくなると言う事。
「いっそのこと……殺してくれたら………」
「───っ!」
その日もまた、グッタリとした側室の1人─アガタを治療していると、ポロポロと涙を流しながら呟いた。
ー魔力無しが、何だと言うの!?一体、アガタが何をしたと言うの!?ー
グッ─と涙を耐えながら治療を続け、心の中で叫び──そこで初めて理解した。
ー私は、なんて愚かだったんだろうー
エヴィが一体、何をした?
両親の興味は私に向かい、エヴィは我慢していただけ。
高熱を出した時も、独りで耐えていただけ。
魔力無しになっても、自分を磨いただけ。
我儘なんて……言った事なんてなかった。
ーエヴィ……ごめんなさい…………ごめんなさい…………ー
『光の魔力が少しでも強くなって……ゲルダン王国では…他人の為に尽して……頑張って欲しい』
夢の中で、久し振りの優しい声が聞こえた。
「───エヴィ?」
「目が覚めた?」
「え!?」
目が覚めると、そこには少しやつれてはいるが、綺麗な女性─ルシエル様の正妻であるエイミー様が居た。
ここは私の部屋─で、間違いはない。と言う事は、ここはエイミー様が居る筈の無い別邸だ。別邸には、使用人を除けば側室である3人しか居ない。
ルシエル様とエイミー様は、本邸住まいで、別邸には色々マズイ事がある為、エイミー様は立ち入らせないようにされていた──筈だ。
「───ごめんなさい……私……知っていたのに…何もできなかったの……」
ヒュッ─と息を呑んだ。
「でも…そろそろ、終わりにしなければ……ね?」
「終わり?終わりに……できるの?」
思わずエイミー様の服を掴んでしがみつくと、エイミー様は、ただただ優しく微笑んでいた。
それから数日後、ゲルダン王国は大騒ぎとなった。王弟ルシエル様の、裏での行いが公になったのだ。これには、ルシエルの兄であるゲルダン国王が即座に動いた。
“王族、実の弟であっても赦さない”
国王自身が推し進めている魔力無しの保護活動を、更に確実に進める為に。ある意味“見せしめ”である。
「魔力無しなど、何の価値もない!」
と、最後の最後迄反省する事なく、王弟ルシエルは公開処刑となった。
その3日後、エイミー様も持病が悪化し儚くなってしまった。自身の死を悟り、自分が死んでしまう前に─と動いてくれたのかもしれない。
そうして、側室だった私達3人は、ルシエル様が保有していた財産を三等分したモノとは別に、国王からそれなりの額の慰謝料をもらい、それぞれの希望する所へと送られた。
アガタは両親の居る領地へ。もう1人の側室だったボニーは取り敢えずは王都で療養するとの事だった。
私は───
ブルーム侯爵が治める領地は、王都を挟んでルシエル様が治めていた領地とは真反対の位置にあった。
久し振りに会った家族は……
お母様は、ゲルダンに来てから半年後に、病を患い亡くなっていた。そう。ルシエル様が私に脅しを掛けて来た時には、既にこの世には居なかったのだ。
お父様は、お母様の魔力無しと言う事実と、亡くなった事実を無かったかのように淡々と領地運営をしている。
弟のサイラスは、隠してはいるが、相変わらずの光の魔力持ちの私主義者だ。その辺りの思想を正さないと─と思っている。
そして、与えられた領地。その領地にある鉱山では、純度の高い魔石がよく採れる。
私は今、その鉱山で働く人達の疲れや怪我を癒やすために働いている。
私の光の魔力はとても弱くて少ない為、1日に数人しか癒やす事はできないけど、それでも、そんな私にでも
「人数は関係無い。癒やしてくれるだけでありがたいのだから」
と、優しい言葉を掛けてくれるのだ。それが、とても……嬉しい。
『──光の魔力は、他人の為に使いなさい』
と、昔、誰かに言われたような気がする─と、今更ながらに思い出した。
ーまだ遅くはない?今からでも、こんな私でも、他人の役に立てますか?ー
空を見上げると──
『リンディなら、できるわ』
なんて、エヴィが都合よく答えてくれたような気がした。
ーいつか、エヴィに会って、謝る事は……できるだろうか?ー
次にエヴィに会った時には、笑顔で会えるように……私は今日も他人を癒やす為に鉱山へと向かった。
あなたにおすすめの小説
【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
私の手からこぼれ落ちるもの
アズやっこ
恋愛
5歳の時、お父様が亡くなった。
優しくて私やお母様を愛してくれたお父様。私達は仲の良い家族だった。
でもそれは偽りだった。
お父様の書斎にあった手記を見た時、お父様の優しさも愛も、それはただの罪滅ぼしだった。
お父様が亡くなり侯爵家は叔父様に奪われた。侯爵家を追い出されたお母様は心を病んだ。
心を病んだお母様を助けたのは私ではなかった。
私の手からこぼれていくもの、そして最後は私もこぼれていく。
こぼれた私を救ってくれる人はいるのかしら…
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。
❈ ざまぁはありません。
【完結】 私を忌み嫌って義妹を贔屓したいのなら、家を出て行くのでお好きにしてください
ゆうき
恋愛
苦しむ民を救う使命を持つ、国のお抱えの聖女でありながら、悪魔の子と呼ばれて忌み嫌われている者が持つ、赤い目を持っているせいで、民に恐れられ、陰口を叩かれ、家族には忌み嫌われて劣悪な環境に置かれている少女、サーシャはある日、義妹が屋敷にやってきたことをきっかけに、聖女の座と婚約者を義妹に奪われてしまった。
義父は義妹を贔屓し、なにを言っても聞き入れてもらえない。これでは聖女としての使命も、幼い頃にとある男の子と交わした誓いも果たせない……そう思ったサーシャは、誰にも言わずに外の世界に飛び出した。
外の世界に出てから間もなく、サーシャも知っている、とある家からの捜索願が出されていたことを知ったサーシャは、急いでその家に向かうと、その家のご子息様に迎えられた。
彼とは何度か社交界で顔を合わせていたが、なぜかサーシャにだけは冷たかった。なのに、出会うなりサーシャのことを抱きしめて、衝撃の一言を口にする。
「おお、サーシャ! 我が愛しの人よ!」
――これは一人の少女が、溺愛されながらも、聖女の使命と大切な人との誓いを果たすために奮闘しながら、愛を育む物語。
⭐︎小説家になろう様にも投稿されています⭐︎
【完結】私のことを愛さないと仰ったはずなのに 〜家族に虐げれ、妹のワガママで婚約破棄をされた令嬢は、新しい婚約者に溺愛される〜
ゆうき
恋愛
とある子爵家の長女であるエルミーユは、家長の父と使用人の母から生まれたことと、常人離れした記憶力を持っているせいで、幼い頃から家族に嫌われ、酷い暴言を言われたり、酷い扱いをされる生活を送っていた。
エルミーユには、十歳の時に決められた婚約者がおり、十八歳になったら家を出て嫁ぐことが決められていた。
地獄のような家を出るために、なにをされても気丈に振舞う生活を送り続け、無事に十八歳を迎える。
しかし、まだ婚約者がおらず、エルミーユだけ結婚するのが面白くないと思った、ワガママな異母妹の策略で騙されてしまった婚約者に、婚約破棄を突き付けられてしまう。
突然結婚の話が無くなり、落胆するエルミーユは、とあるパーティーで伯爵家の若き家長、ブラハルトと出会う。
社交界では彼の恐ろしい噂が流れており、彼は孤立してしまっていたが、少し話をしたエルミーユは、彼が噂のような恐ろしい人ではないと気づき、一緒にいてとても居心地が良いと感じる。
そんなブラハルトと、互いの結婚事情について話した後、互いに利益があるから、婚約しようと持ち出される。
喜んで婚約を受けるエルミーユに、ブラハルトは思わぬことを口にした。それは、エルミーユのことは愛さないというものだった。
それでも全然構わないと思い、ブラハルトとの生活が始まったが、愛さないという話だったのに、なぜか溺愛されてしまい……?
⭐︎全56話、最終話まで予約投稿済みです。小説家になろう様にも投稿しております。2/16女性HOTランキング1位ありがとうございます!⭐︎
0歳児に戻った私。今度は少し口を出したいと思います。
アズやっこ
恋愛
❈ 追記 長編に変更します。
16歳の時、私は第一王子と婚姻した。
いとこの第一王子の事は好き。でもこの好きはお兄様を思う好きと同じ。だから第二王子の事も好き。
私の好きは家族愛として。
第一王子と婚約し婚姻し家族愛とはいえ愛はある。だから何とかなる、そう思った。
でも人の心は何とかならなかった。
この国はもう終わる…
兄弟の対立、公爵の裏切り、まるでボタンの掛け違い。
だから歪み取り返しのつかない事になった。
そして私は暗殺され…
次に目が覚めた時0歳児に戻っていた。
❈ 作者独自の世界観です。
❈ 作者独自の設定です。こういう設定だとご了承頂けると幸いです。
聖女になりたいのでしたら、どうぞどうぞ
しゃーりん
恋愛
聖女が代替わりするとき、魔力の多い年頃の令嬢十人の中から一人選ばれる。
選ばれる基準は定かではなく、伝聞もない。
ひと月の間、毎日のように聖堂に通い、祈りを捧げたり、奉仕活動をしたり。
十人の中の一人に選ばれたラヴェンナは聖女になりたくなかった。
不真面目に見えるラヴェンナに腹を立てる聖女候補がいたり、聖女にならなければ婚約解消だと言われる聖女候補がいたり。
「聖女になりたいならどうぞ?」と言いたいけれど聖女を決めるのは聖女様。
そしていよいよ次期聖女が決まったが、ラヴェンナは自分ではなくてホッとする。
ラヴェンナは聖堂を去る前に、聖女様からこの国に聖女が誕生した秘話を聞かされるというお話です。
アンジェリーヌは一人じゃない
れもんぴーる
恋愛
義母からひどい扱いされても我慢をしているアンジェリーヌ。
メイドにも冷遇され、昔は仲が良かった婚約者にも冷たい態度をとられ居場所も逃げ場所もなくしていた。
そんな時、アルコール入りのチョコレートを口にしたアンジェリーヌの性格が激変した。
まるで別人になったように、言いたいことを言い、これまで自分に冷たかった家族や婚約者をこぎみよく切り捨てていく。
実は、アンジェリーヌの中にずっといた魂と入れ替わったのだ。
それはアンジェリーヌと一緒に生まれたが、この世に誕生できなかったアンジェリーヌの双子の魂だった。
新生アンジェリーヌはアンジェリーヌのため自由を求め、家を出る。
アンジェリーヌは満ち足りた生活を送り、愛する人にも出会うが、この身体は自分の物ではない。出来る事なら消えてしまった可哀そうな自分の半身に幸せになってもらいたい。でもそれは自分が消え、愛する人との別れの時。
果たしてアンジェリーヌの魂は戻ってくるのか。そしてその時もう一人の魂は・・・。
*タグに「平成の歌もあります」を追加しました。思っていたより歌に注目していただいたので(*´▽`*)
(なろうさま、カクヨムさまにも投稿予定です)