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第三章ー学園生活ー
確信犯?
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『申し訳無い……ただ……ナディアは本当に………可愛いなと思って……』
ーどこをどう見れば、“可愛い”なんて言葉が出て来るんだろうか?ー
本当におかしい。今のやりとりも、ちゃんと聞こえていたのだろうか?可愛いところって……どこかにあった?全否定して、おまけにツッコミを入れただけだよね?
「モンテルアーノ様…あの…分かってますか?私と恋仲だ─なんて、噂を通り越して真実になってしまってるんですよ!?何故、否定してくれないんですか!?」
「否定はしていないが、肯定もしていない。周りが勝手にそう思ってるだけだが?」と言いながら、モンテルアーノ様は小首を傾げる。
「それに……私は困ってないからね…。」
「すみませんが、私は困ってます!」
「────くくっ………」
モンテルアーノ様と私のやり取りを見ていたダレルさんが、我慢できない─と言うように笑いだした。
「モンテルアーノ様、ナディアを苛めないで下さい。」
「苛めてなんてないんだが……もともと、私はナディアの事は良いな─と思っていたからな。」
「え?」
ー今、モンテルアーノ様、何て言った?ー
「なるほど……外堀からですか…」
ダレルさんが愉快そうに呟くと、モンテルアーノ様は否定も肯定もせず、やっぱり微笑んでいる。
「え?」
ー“外堀”って何!?ー
いや、意味は何となく分かるけど……え?確信犯?何で?
「“虫除け”だったのでは?」
「虫除け?の意味は分からないが……早い話、私はナディアに好意を持っている─と言う事だ。」
「───っ!?」
バチンッ──と、思考回路が弾け飛んだような音が、頭の中に響いた。
******
「おはよう、ナディア。どうやら……週末はゆっくり眠れなかったみたいだね。」
「おはようございます。ゆっくり眠れる……訳ないですよね?」
あれから思考回路がスッカリ停止した私は、ダレルさんが呼んでくれたリゼットが迎えに来てくれて、リゼットに抱えられるようにして、ルシエント邸に帰った。その後の事は、正直あまり覚えていない。気が付いたら週末は終わっていて、また1週間の始まりの朝を迎え、今日も学園へとやって来た。
ー取り敢えず、気持ちを切り替えようー
「えっと…今日の授業は、1年生は教室で筆記の小テストと、その後は教科書による復習。2年生と4年生は運動場での授業になります。」
「今日もAクラスか……今朝、王城で第三王子を見掛けたけど、目がしっかりしていたから、もう殆どマトモになってると思う。その分、彼女がどう出るか…だね。」
「でも、流石に教室では彼女も魔法を使ったりはしないんじゃないですか?システムも反応するだろうし。」
前に魔法を使ったのは、魔法の授業が行われる運動場だった。
「んー…そう願いたいけどね。それでも、もし彼女が魔法を使って、またシステムが反応しなければ──それはそれで大変だけどね。」
“システムを掻い潜る魔法”
そんな魔法をシェイラが扱えるのか─は分からないけど、ダレルさんが居れば何とかなるだろうなと思うと、ルシエント様がシェイラの魔法に引っ掛かって、代理でダレルさんが講師になってくれて良かった─と思っている事は、ルシエント様には内緒にしておこう。いや、もう、いっその事、ダレルさんが講師のままで良くない?
『スフィール領には、思い出がいっぱいあるんだ。』
いつだったか、ダレルさんが楽しそうに話していたっけ。亡き奥さんと出会ったのが、ダレルさんの故郷であるスフィール領で、デートを沢山したのもスフィール領だったと。だから、王都よりもスフィール領が好きなんだと。
ーそれはそれで素敵な話だけど…本当に色々勿体無いよねー
「兎に角、もし彼女が何かしらの魔法を発動させたら、また無効化の魔法を発動させるだけだね。システムが反応しなかった場合は、その場ではすぐに動くことはせず、先ずはモンテルアーノ様報告をして指示を仰ぐ事にしよう。」
「分かりました。」
どちらにせよ、私にはシェイラの魔法を感知する事はできないから、ダレルさんに任せるしかない。
できれば、昨日の今日でモンテルアーノ様と会うのは……遠慮したい。まだまだ色んな事の整理ができていない。
リゼットとルシエント様のやり取りを見たり、ダレルさんの奥さんへの思いを聞いたりするのは嬉しい気持ちになるし、楽しいんだけど……
ー自分の事となると、別だよねー
自分が恋をする事は、想像もできない。そもそも、恋なんてできるんだろうか?
そこで、ふと、紫色の瞳が頭に浮かぶ。
モンテルアーノ様の瞳は、とても綺麗な紫色だった。
そこには、彼のような冷たい色ではなく、温かい色が見えた。
ー比べては…いけないよねー
と、軽く首を振った後、改めて気持ちを切り替えて、授業の準備を始めた。
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
♡~(>᎑<`๑)♡
ーどこをどう見れば、“可愛い”なんて言葉が出て来るんだろうか?ー
本当におかしい。今のやりとりも、ちゃんと聞こえていたのだろうか?可愛いところって……どこかにあった?全否定して、おまけにツッコミを入れただけだよね?
「モンテルアーノ様…あの…分かってますか?私と恋仲だ─なんて、噂を通り越して真実になってしまってるんですよ!?何故、否定してくれないんですか!?」
「否定はしていないが、肯定もしていない。周りが勝手にそう思ってるだけだが?」と言いながら、モンテルアーノ様は小首を傾げる。
「それに……私は困ってないからね…。」
「すみませんが、私は困ってます!」
「────くくっ………」
モンテルアーノ様と私のやり取りを見ていたダレルさんが、我慢できない─と言うように笑いだした。
「モンテルアーノ様、ナディアを苛めないで下さい。」
「苛めてなんてないんだが……もともと、私はナディアの事は良いな─と思っていたからな。」
「え?」
ー今、モンテルアーノ様、何て言った?ー
「なるほど……外堀からですか…」
ダレルさんが愉快そうに呟くと、モンテルアーノ様は否定も肯定もせず、やっぱり微笑んでいる。
「え?」
ー“外堀”って何!?ー
いや、意味は何となく分かるけど……え?確信犯?何で?
「“虫除け”だったのでは?」
「虫除け?の意味は分からないが……早い話、私はナディアに好意を持っている─と言う事だ。」
「───っ!?」
バチンッ──と、思考回路が弾け飛んだような音が、頭の中に響いた。
******
「おはよう、ナディア。どうやら……週末はゆっくり眠れなかったみたいだね。」
「おはようございます。ゆっくり眠れる……訳ないですよね?」
あれから思考回路がスッカリ停止した私は、ダレルさんが呼んでくれたリゼットが迎えに来てくれて、リゼットに抱えられるようにして、ルシエント邸に帰った。その後の事は、正直あまり覚えていない。気が付いたら週末は終わっていて、また1週間の始まりの朝を迎え、今日も学園へとやって来た。
ー取り敢えず、気持ちを切り替えようー
「えっと…今日の授業は、1年生は教室で筆記の小テストと、その後は教科書による復習。2年生と4年生は運動場での授業になります。」
「今日もAクラスか……今朝、王城で第三王子を見掛けたけど、目がしっかりしていたから、もう殆どマトモになってると思う。その分、彼女がどう出るか…だね。」
「でも、流石に教室では彼女も魔法を使ったりはしないんじゃないですか?システムも反応するだろうし。」
前に魔法を使ったのは、魔法の授業が行われる運動場だった。
「んー…そう願いたいけどね。それでも、もし彼女が魔法を使って、またシステムが反応しなければ──それはそれで大変だけどね。」
“システムを掻い潜る魔法”
そんな魔法をシェイラが扱えるのか─は分からないけど、ダレルさんが居れば何とかなるだろうなと思うと、ルシエント様がシェイラの魔法に引っ掛かって、代理でダレルさんが講師になってくれて良かった─と思っている事は、ルシエント様には内緒にしておこう。いや、もう、いっその事、ダレルさんが講師のままで良くない?
『スフィール領には、思い出がいっぱいあるんだ。』
いつだったか、ダレルさんが楽しそうに話していたっけ。亡き奥さんと出会ったのが、ダレルさんの故郷であるスフィール領で、デートを沢山したのもスフィール領だったと。だから、王都よりもスフィール領が好きなんだと。
ーそれはそれで素敵な話だけど…本当に色々勿体無いよねー
「兎に角、もし彼女が何かしらの魔法を発動させたら、また無効化の魔法を発動させるだけだね。システムが反応しなかった場合は、その場ではすぐに動くことはせず、先ずはモンテルアーノ様報告をして指示を仰ぐ事にしよう。」
「分かりました。」
どちらにせよ、私にはシェイラの魔法を感知する事はできないから、ダレルさんに任せるしかない。
できれば、昨日の今日でモンテルアーノ様と会うのは……遠慮したい。まだまだ色んな事の整理ができていない。
リゼットとルシエント様のやり取りを見たり、ダレルさんの奥さんへの思いを聞いたりするのは嬉しい気持ちになるし、楽しいんだけど……
ー自分の事となると、別だよねー
自分が恋をする事は、想像もできない。そもそも、恋なんてできるんだろうか?
そこで、ふと、紫色の瞳が頭に浮かぶ。
モンテルアーノ様の瞳は、とても綺麗な紫色だった。
そこには、彼のような冷たい色ではなく、温かい色が見えた。
ー比べては…いけないよねー
と、軽く首を振った後、改めて気持ちを切り替えて、授業の準備を始めた。
❋エールを頂き、ありがとうございます❋
♡~(>᎑<`๑)♡
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