好きな人

冷静沈着で、感情を表に出さない実業家、
鷹宮雪広(たかみや ゆきひろ)。

合理性と結果だけを重んじるその姿は、周囲から「冷酷」と評されていた。

そんな雪広を、朝倉理央(あさくら りお)は、遠くから見ていた。
言葉を交わしたことは、ほとんどない。

ただひとつだけ、確かな接点がある。
雪広が決まった時間に立ち寄るパン屋で、理央が働いていること。

そして雪広は、
いつも理央が焼いたパン__
ブールだけを選んで買っていった。

それだけの関係。
それなのに、目が離せなかった。

ふとしたきっかけから、二人は身体を重ねる。雪広にとってそれは、合理的で、深入りしない関係。理央にとっては、ずっと気になっていた人と初めて触れ合う、特別な時間だった。

静かに始まり、静かに続き、そして何事もなかったように、離れていくはずだった。

静かに始まり、静かに続き、
そして、何もなかったように離れていく。

感情を切り離して生きてきた男と、
想いを言葉にできないまま見つめ続けていた青年。

その関係は、まだ名前を持たないまま、
確かに、そこにあった。


《構成》
第一章 ノイズ(雪広視点)
第二章 オーブン(理央視点)
第三章 温度(両視点)

・『先生、距離感バグってます』スピンオフ
・第一章〜第三章構成/両視点あり
・毎日更新
・※表記回は性描写あり
・雪広✖️理央
24h.ポイント 214pt
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