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第2章

声の主は

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「サリーどうしたの?」

私の動きを不審に思ったのか、フレッドが顔を見つめて、聞いてくる。
私たちの他に、この場所には誰もいない。けど今誰かに呼ばれた気がした……

「サリー、聞こえる?」

やっぱり聞こえる。
女の人のような可愛らしい声でサリーって。でもここには女性は私以外にいない。
きょろきょろと辺りを見渡してみてもその姿を見つけることができない。

「誰かが私を呼んでるの聞こえる?」
フレッドに聞いてみても「誰かが呼んでるの?いや、聞こえないけど」と返されてしまう。

やはり空耳?

「サリー、ここ、ここ」

声につられて視線を下に移すと蜘蛛たちがぴょんぴょんと飛び跳ねている。

…………まさか蜘蛛?ってまさか~。

そんな自分の妄想のような言葉を打ち消しながら見つめていると、飛んでいるのを確認したと思ったのか、蜘蛛たちが飛ぶのをやめた。

その中の先頭の蜘蛛が私たちの方に進んでくる。
え?……蜘蛛じゃないよね……話してないよね……
いやよ。蜘蛛と話せる女だなんて……

「サリー、手を伸ばしてくれる?」

その言葉になぜか私は腰を下ろし、蜘蛛の前に手を伸ばしてしまう。

いくらナシェルカ蜘蛛に慣れているからと言って、蜘蛛に触り慣れているわけではない。それなのにこんな事をしてしまうなんて……
でも私が手を伸ばすと待っていたと言わんばかりに蜘蛛は私の手の上に登ってきた。

それを黙ってみているとフレッドも黙って隣で腰を屈めて見てくれている。

「サリー、やっとあなたと話せる!あなたと話せるのをずっと待ってたミュ
私はキュミー。よろしくミュ」

私は思わずフレッドを見つめてしまう。
フレッドは私を見つめ「どうした?」と聞いてくれるが、もしかして聞こえてない?

「この蜘蛛キュミーって言うらしいです……」

「え?サリー蜘蛛の声が聞こえるの?」

わからない。。。私は蜘蛛の声を聞いてるのかしら……
私の困惑をよそに可愛らしい声の言葉はさらに続く。

「サリー、いつも私たちを大事にしてくれてありがとう。
あなたが生まれたのを感じて私たちの一部は国をでて、あなたの近くに行ったミュー。
そしたら天候のせいで異常に繁殖してしまった。私たちは人間に見つかると悪いことなどしていなくても殺されてしまう。それが大量に繁殖なんてしまったらまとめて殺されてしまうのなど目に見えてたミュ。

だから皆おびえてたミュよ。

でもそれを見たあなたが救ってくれた!
救ってくれただけではなく、人間と共に暮らせる方法を作ってくれた!

私たちはいつも人間から隠れるように生活してたミュ。
悪いこともしていないのに私たちの姿を見るだけで人間は悲鳴を上げ、殺そうとする。
だから隠れてたのに、初めて一緒にいていいのだと言われた気がしたんだミュ。
だからずっと御礼が言いたかった!サリー、私たちを救ってくれて本当にありがとミュ。大好きミュ!!」

そう聞こえてきた。
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