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しおりを挟むお祖父様とザックは立ち上がり、証言台に立ち話し始めます。
それを私の元家族は拘束されながら被告席で聞きます。最後に見た時は異常なほどに目がチカチカする衣装を着ていたのに、今日はなんだか裾さえ汚れているような衣装を着ています。そしてたまにすごい顔で私を睨んできますが、その顔もあまり美しいとは言えませんね。
「まず最初に我が息子であったトーマスとその嫁ですが、実の娘であるマリアに対して、必要な教育も行わず、私がつけた教師すら勝手に解雇していました。これは貴族の教育法に違反しており、本来各子どもに割り振られてある教育基金も、マリアの分と偽り、ナディアにかけておりました。これは明らかに教育法に違反しております。そして、スターン子爵領の税の横領も発覚しております。今述べた内容の資料はこちらです。提出いたします」
お祖父様は少し厚めの本くらいの資料を兵士の一人に手渡します。
「続いて私からの内容になりますが、まず被告人ナディアは身体が弱いと偽り、多くのご令嬢方から髪飾りやネックレス、ブレスレットに靴さえも強奪してきました。そしてそれを両親は諫めることなく、逆にその相手に圧力をかけ、強奪行為を繰り返してきました。その内容を集めた証言集になります。証言が必要であれば、そちらも揃えております。さらに被告人達は当主により廃籍されたことで平民になったにも関わらず、伯爵令嬢であり、未来の公爵夫人であるマリア・スターンを侮辱し続けました。この内容もまとめてありますので、提出いたします。
まずはこの告発内容の吟味をお願い致します。」
ザックは辞典ほどの資料を兵士に手渡します。
あんなに分厚い資料になにが書かれているのでしょうか。
「告発内容に関しては承知した。では被告人3名は前へ。今の告発内容に異議がある場合述べるように。ただし先ほど伝えたように虚偽を述べた場合、侮辱的な事を述べた場合は厳罰に処されることを忘れないように。また誰か一人だけの発言であったとしても今回の場合、家族であることを考慮し連帯で厳罰を科される」
「「…………」」
元お父様と元お母様は悔しそうに顔を歪めますがなにも発言はしないようです。
お祖父様の性格を知っていれば余計なことは言えませんよね。事実をしっかりと調べ上げ、調べ終わったら逃げられないように追い詰める。
逃げればより痛い目にあう。なぜお祖父様に歯向かうことなどしたのでしょう。
「裁判官、これは全部お姉様が私を妬んでやっていることです。私が皆に愛されてしまうから。自分は誰にも愛されないからってこんなことをしているんです。でも許してあげてください。「ナディア!やめろ!!」だって、お姉様は誰からも愛されないだけですごく可哀想な人なんです。「ナディア、お願いやめて!」この間だって婚約者から婚約破棄されてしまって心がすさんでしまっているんです。でも私のたった一人の姉なんです。だからどうか許してあげてください」
元お父様と元お母様が発言を止めようとしますが、逆に二人が止められてしまっています。
そしてナディアはまるで悲劇のヒロインのように泣いている仕草をしています。
でも、ここは裁判所であり、今は裁判中です。誰がそんなことに付き合うと思っているのでしょうか。
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