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「関係のない事かは裁判官が決めるものであり、あなたが決めるものではありません。
ですが、裁判官。ここであらたな告発を行います。レイズ伯爵家と元スターン伯爵家族の犯罪行為についてです。まず一つ目が元スターン伯爵の横領。そしてそれを補助していたレイズ伯爵の横領ほう助。2つ目はレイズ伯爵領での禁止薬物の栽培・製造に関して。こちらは元スターン伯爵がほう助しております。そして3つ目は禁止薬物の隣国への輸出についてです。こちらは両家で協力して行ったことが確認できております。資料についてはすでに提出済みでございます」

裁判所は今までにないほどざわざわと大きくざわついています。
禁止薬物は色々な物がありますが、物によっては死に至らしめたり、精神を破壊してしまうものもあります。我が国でももちろん厳しく取り締まっておりますが、隣国へ輸出だなんて、これが事実であればとんでもない事件になってしまいます。

「なっ!!なんだこれは!私たちは証言を頼まれたからここに来たんだ!こんなの嵌められたも同じじゃないか!!裁判官、こんな事が許されるべきではありません!!こんなの公爵家の横暴です!!」

「その発言もこの事件が事実であれば侮辱罪が適用されるが、その覚悟はありますね!
それに先ほどの内容は公爵家のみで調べたものではない。警察が動き、隣国への輸出品も押さえてある。事実でないのはあなたの発言のようだが、まず質問をしよう。
さきほど公爵が述べた3つの内容は事実ですか?虚偽の発言をする場合、この罰とは別に重い罰が課されることを忘れないように」

「っ………こ、こんなこと………わ、私たち家族が関わったという証拠があるのですか」

「ふむ、先ほどいった押さえてある輸出品。運んでいた者が「レイズ伯爵の荷だぞ、検査など必要ない」と言っていたそうだ。それに薬物の栽培場所は日当たりなどを考慮したのか子爵領の林の中だったそうだが、そこを管理していたのはレイズ伯爵領の者だった。こんな内容の証拠がずらずらと出ているがひとつずつ読み上げるか?」

これを聞いてレイズ伯爵が膝から崩れ落ちました。反論できなかったのでしょう。でも、貴族が犯罪を犯そうというのにこんなにも証拠を残していていいのでしょうか。あまりにもずさんすぎます。基本的に貴族が犯罪を犯しても足がつかない、証拠がないから摘発できないのです。それなのに………まぁ、元々悪い噂が立っていた家。きっとそういう杜撰さから周りにもばれていたのでしょうね。

「わ、私と息子は無関係です。夫がどんな仕事をしていたのか、その内容までは存じません。家族であることでご批判はあるでしょうが、そう言った犯罪行為に手を染めた事をございません!」

伯爵夫人が大きな声をあげ、裁判官にそのように主張します。
でも夫人が夫の仕事内容を知らないことは実際にあります。夫婦によっては仕事は夫のものであり、妻が口を出してはいけないというほど厳格な家もあるのです。伯爵家はそうだったということでしょうか。

「お前!私を裏切るのか!!今まで散々贅沢させてきただろう!」

「贅沢は生きているからこそできること。牢に入れられたり、死んでしまえば元も子もありません」
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