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結婚相手を交換したいと言いますが、あの男はやめた方がいいですよ?

2 ダブルお見合い?

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「勿論、声を掛けずに済ませましたわ。近寄りたくありませんもの」



私は蒼白になる。



う、嘘でしょう……!!

日々忙しくされているクルト様と、たった十五分のお見合い時間を取り付けるのに、半年前から賄賂……じゃない、根回ししたりとんでもない労力を掛けたのに……!

ついでにミランダに骨抜きにして貰って、投資主との太いパイプ作って、3倍にして返すからと約束して投資資金を借りる予定がっっ!!





──しかし最悪、それはもういい。

情報ギルドの情報を鵜呑みにした私も悪かったのだ、多分。

妹をチビハゲデブに嫁がせないで済んで良かった、と考えよう。

最初から妹に頼らず直球勝負で投資話をしに行けば良かったのだ。そちらは改めて謝罪をしに行った時、相手の様子を探りつつ話題にしよう。



それよりも。

それよりも、だ。

「えと、それで……」

私は顔を引き攣らせながら、もうひとつ気になった話を聞く。

聞きたくない。しかし、聞かねば。



「私のお見合い相手と会ってきた、とはどういうことかしら?」

私が嫌々ながら尋ねると、妹は女神顔負けの微笑を浮かべて言った。

「お姉様のお見合いへ、私が代わりに行ったの。お姉様のお見合い相手のマルンナータ伯爵の令息に先程お会いして、直ぐに意気投合致しました。そして、彼と結婚のお約束をしたのですわ」



ガン、と頭に煉瓦を落とされたような衝撃が走る。



「……な、何故、私のお見合いの予定を?というか、私の見合いの予定を、私が知らないのだけど?」



色々おかしい。おかし過ぎて笑えない。



「ああ、それは私が誤ってお姉様宛の手紙を開封して、自分のことだと思って本日お見合いへ私が行ったのですわ」


う、嘘でしょう……!?

相手に手紙の返事すら送らなかったの?

そもそも、一日に二件もお見合い予定を入れるもの!?



逆によく会えたな、とすら思う。

相手があの伯爵令息でなければ、現れなかったかもしれない。



私が衝撃を受けている中、妹は態度を急変させて言った。

「お姉様ったら、狡いわ……!!自分だけ貴族の、しかも伯爵家のあんなに格好良い人に嫁いで、私には平民のチビハゲデブをあてがうだなんて……!!」

「誤解よ、ミランダ」



妹はその場に崩れ落ちるようにしてわんわん泣き出し、私は慌てて妹の傍に駆け寄った。
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