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再確認
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大広間に到着した冨岡は屋台の準備を着々と進めながら、今日の予定を再確認する。
「えっと、移動販売『ピース』の営業が夕方くらいまで。そのあとは貧民街でハンバーガーを配って、冒険者ギルドで誰か雇えないか相談する。めちゃくちゃ曖昧に時間を決めたけど、冒険者ギルドに間に合うのか? もう少し営業を短くすれば・・・・・・いや、冒険者ギルドってそんな役所みたいに夜には閉まる的なシステムじゃないだろ。それよりも営業時間を短くすれば、純粋に売り上げが減るし、仕入れの金額と売り上げのバランスを考えなきゃな」
冨岡は百億円を持っている商売初心者だ。
すぐさま所持金が尽きる、ということはなくとも徐々に減っていくことはあり得る。ハンバーガーの売り上げが大きく下がることは避けたかった。
そもそも、仕入れ値と売り上げの計算を細かく行わなくてはならないと思っていながら、考えることが多すぎて現状は何も手をつけられていない。
百億円を元手に、学園作りまで到達するにはどれくらい必要なのか試算する必要もある。
「自分で考えるのはそろそろ限界かもしれないな。商売に詳しい人に相談した方がいいかも、例えば自分一人で仕事してる人とか・・・・・・」
そう呟く冨岡の脳裏に、美作の顔がチラついた。
確かに美作は自分で『何でも屋美作』を経営しているはず。少なくとも冨岡よりは商売について詳しいだろう。
「何かあったら助けるとは言ってくれてたから、相談だけしてみるか」
今日の予定確認だったはずが、先のことまで考え始めればキリが無い。ともかく、目の前のことに集中しよう、と気合を入れ直し冨岡は調理台の前に立った。
「じゃあ、移動販売『ピース』営業開始しましょうか。アメリアさん、フィーネちゃんよろしくお願いしますね」
「はい!」
「はーい」
営業開始直後、未だハンバーガーの人気は衰えず多くの人が並ぶ。
フィーネが行列を捌き、アメリアが接客、冨岡が調理という役割分担はやはりバランスがいいらしい。どんどん売れていくが、手作りハンバーガーの調理はそれなりに時間がかかる。
作り置きなどをしておけば時間を短縮できるが、味が落ちるのは間違いない。
そんなことを悩みながらも冨岡は調理を続けた。
「今日もたくさん売れますね」
忙しい中、疲れているはずのアメリアだが笑顔は崩さない。嬉しそうに冨岡に声をかける。
冨岡が微笑みで返し、外に視線をやると楽しそうに客と話すフィーネの姿が見えた。
どうやら二人とも働くことが楽しいようだ。
まだ、お客様の笑顔が自分の幸せ、とまでは言えない冨岡だったが、二人の笑顔を見ていれば働くのも楽しいと思える。
「えっと、移動販売『ピース』の営業が夕方くらいまで。そのあとは貧民街でハンバーガーを配って、冒険者ギルドで誰か雇えないか相談する。めちゃくちゃ曖昧に時間を決めたけど、冒険者ギルドに間に合うのか? もう少し営業を短くすれば・・・・・・いや、冒険者ギルドってそんな役所みたいに夜には閉まる的なシステムじゃないだろ。それよりも営業時間を短くすれば、純粋に売り上げが減るし、仕入れの金額と売り上げのバランスを考えなきゃな」
冨岡は百億円を持っている商売初心者だ。
すぐさま所持金が尽きる、ということはなくとも徐々に減っていくことはあり得る。ハンバーガーの売り上げが大きく下がることは避けたかった。
そもそも、仕入れ値と売り上げの計算を細かく行わなくてはならないと思っていながら、考えることが多すぎて現状は何も手をつけられていない。
百億円を元手に、学園作りまで到達するにはどれくらい必要なのか試算する必要もある。
「自分で考えるのはそろそろ限界かもしれないな。商売に詳しい人に相談した方がいいかも、例えば自分一人で仕事してる人とか・・・・・・」
そう呟く冨岡の脳裏に、美作の顔がチラついた。
確かに美作は自分で『何でも屋美作』を経営しているはず。少なくとも冨岡よりは商売について詳しいだろう。
「何かあったら助けるとは言ってくれてたから、相談だけしてみるか」
今日の予定確認だったはずが、先のことまで考え始めればキリが無い。ともかく、目の前のことに集中しよう、と気合を入れ直し冨岡は調理台の前に立った。
「じゃあ、移動販売『ピース』営業開始しましょうか。アメリアさん、フィーネちゃんよろしくお願いしますね」
「はい!」
「はーい」
営業開始直後、未だハンバーガーの人気は衰えず多くの人が並ぶ。
フィーネが行列を捌き、アメリアが接客、冨岡が調理という役割分担はやはりバランスがいいらしい。どんどん売れていくが、手作りハンバーガーの調理はそれなりに時間がかかる。
作り置きなどをしておけば時間を短縮できるが、味が落ちるのは間違いない。
そんなことを悩みながらも冨岡は調理を続けた。
「今日もたくさん売れますね」
忙しい中、疲れているはずのアメリアだが笑顔は崩さない。嬉しそうに冨岡に声をかける。
冨岡が微笑みで返し、外に視線をやると楽しそうに客と話すフィーネの姿が見えた。
どうやら二人とも働くことが楽しいようだ。
まだ、お客様の笑顔が自分の幸せ、とまでは言えない冨岡だったが、二人の笑顔を見ていれば働くのも楽しいと思える。
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