眠る虹
幼い僕に祖母はよく言ったものだった。
「あの虹はね、起きている虹なんだよ。虹というのはそこかしこに、数え切れないくらいたくさんあって、普段は眠っているんだ。目覚めたときにだけ、ああやって七色の姿を現すんだよ」
僕は訊ねる。
「あの虹に登れる?」
祖母は笑いながら首を振る。
僕は、なお訊ねる。
「あの虹をくぐれる?」
祖母は言う、あの虹はくぐれない。でも、方法が一つだけある。
「いいかい、ジョー。そうしたいんなら、眠る虹を見つけることさ。誰にでもできることじゃあないけどね」
愛しい妻と愛猫と暮らす、人付き合いもほとんど無い一人の男の物語。
ある日、最大の理解者でもあった職場の上司が世界からいなくなったことを皮切りに、最愛の妻が姿を消し、愛猫も消えてしまう。
男はどこへ向かうのだろう?
我々が再び出会える場所は、あの虹を潜(くぐ)った先にしか無いのだろうか。
男は踠(もが)き、混乱し、目に見えぬ存在にひれ伏しながらも、一縷(いちる)の望みに縋(すが)るように「眠る虹」を探す。
そして辿り着いたその場所で、僕たちは同じ気持ちで笑い合えるだろうか?
「あの虹はね、起きている虹なんだよ。虹というのはそこかしこに、数え切れないくらいたくさんあって、普段は眠っているんだ。目覚めたときにだけ、ああやって七色の姿を現すんだよ」
僕は訊ねる。
「あの虹に登れる?」
祖母は笑いながら首を振る。
僕は、なお訊ねる。
「あの虹をくぐれる?」
祖母は言う、あの虹はくぐれない。でも、方法が一つだけある。
「いいかい、ジョー。そうしたいんなら、眠る虹を見つけることさ。誰にでもできることじゃあないけどね」
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そして辿り着いたその場所で、僕たちは同じ気持ちで笑い合えるだろうか?
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