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第二章
魔法薬②
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「きっと、大丈夫ですよ。昨日あれだけ話し合って対策を考えたんですから、気楽に行きましょう」
『今から不安になってもしょうがない』と諭し、ユリウスはグランツ殿下を励ます。
すると、父がおもむろに視線を上げた。
「いざという時は帝国の頭をすげ替えるだけですので、あまり気負いせずどうぞ」
「「……」」
無言で顔を見合わせるユリウスとグランツ殿下は、何とも言えない表情を浮かべる。
『何でこの人はいつも、こうなんだ……』と項垂れつつ、静かに緑色の液体を飲んだ。
かと思えば、少しばかり眉を顰める。
「……『良薬口に苦し』とは言うけど、この魔法薬の味にはなかなか慣れないな」
「同感です。公爵様の無茶ぶりのせいで、最近はほぼ毎日飲んでますけど、未だに抵抗が……」
口元を押さえて上を向き、ユリウスは『うぅ……』と呻く。
余程不味いのか涙目になる彼の前で、私はパチパチと瞬きを繰り返した。
魔法薬って、確か魔法の籠った薬のことよね?
普通の薬草で作った薬より効力が強くて、効果内容も幅広い。
作り手の力量や魔法属性にもよるけど、一日だけ動物になれる変身薬とか、嗅覚を過敏にする強化薬とか作れるみたい。
『無属性の私では作れないから、講義に出なかったのよね』と思いつつ、じっとグラスを見つめる。
「ユリウス達の飲んだ魔法薬は一体、何なの?」
何の気なしに問い掛けると、ユリウスとグランツ殿下……ではなく、父が口を開く。
「あれは疲労回復効果のある魔法薬だ。徹夜してもアレを飲めば、元気になれる。まるで、きちんと休息を取った後のようにな」
「へぇー。元の世界で言うエナジードリンクの強化版みたいなもんか」
横で話を聞いていたルカは、『すげぇ』と素直に感心する。
────と、ここで何とか魔法薬を飲み切ったユリウスが顔を上げた。
「まあ、めちゃくちゃ高価な上、飲み過ぎると体に異常をきたすので大事なときしか使いませんけどね」
『ちゃんと休んだ方が断然いいです』と言い切り、ユリウスは空いたグラスを侍女へ渡した。
グランツ殿下も同じようにグラスを片付け、『ふぅ……』と一つ息を吐く。
椅子の背もたれに寄り掛かってゆったりしている二人を前に、私はチラリと父の方を見た。
「お父様はお飲みにならなくても、よろしいんですか?」
『今から不安になってもしょうがない』と諭し、ユリウスはグランツ殿下を励ます。
すると、父がおもむろに視線を上げた。
「いざという時は帝国の頭をすげ替えるだけですので、あまり気負いせずどうぞ」
「「……」」
無言で顔を見合わせるユリウスとグランツ殿下は、何とも言えない表情を浮かべる。
『何でこの人はいつも、こうなんだ……』と項垂れつつ、静かに緑色の液体を飲んだ。
かと思えば、少しばかり眉を顰める。
「……『良薬口に苦し』とは言うけど、この魔法薬の味にはなかなか慣れないな」
「同感です。公爵様の無茶ぶりのせいで、最近はほぼ毎日飲んでますけど、未だに抵抗が……」
口元を押さえて上を向き、ユリウスは『うぅ……』と呻く。
余程不味いのか涙目になる彼の前で、私はパチパチと瞬きを繰り返した。
魔法薬って、確か魔法の籠った薬のことよね?
普通の薬草で作った薬より効力が強くて、効果内容も幅広い。
作り手の力量や魔法属性にもよるけど、一日だけ動物になれる変身薬とか、嗅覚を過敏にする強化薬とか作れるみたい。
『無属性の私では作れないから、講義に出なかったのよね』と思いつつ、じっとグラスを見つめる。
「ユリウス達の飲んだ魔法薬は一体、何なの?」
何の気なしに問い掛けると、ユリウスとグランツ殿下……ではなく、父が口を開く。
「あれは疲労回復効果のある魔法薬だ。徹夜してもアレを飲めば、元気になれる。まるで、きちんと休息を取った後のようにな」
「へぇー。元の世界で言うエナジードリンクの強化版みたいなもんか」
横で話を聞いていたルカは、『すげぇ』と素直に感心する。
────と、ここで何とか魔法薬を飲み切ったユリウスが顔を上げた。
「まあ、めちゃくちゃ高価な上、飲み過ぎると体に異常をきたすので大事なときしか使いませんけどね」
『ちゃんと休んだ方が断然いいです』と言い切り、ユリウスは空いたグラスを侍女へ渡した。
グランツ殿下も同じようにグラスを片付け、『ふぅ……』と一つ息を吐く。
椅子の背もたれに寄り掛かってゆったりしている二人を前に、私はチラリと父の方を見た。
「お父様はお飲みにならなくても、よろしいんですか?」
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