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第2章 訓練の日々

訓練の日々 21

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「彼女は今、隔離しておる」
「隔離? とは、どう言う事ですか?」
「うむ。順を追って話す。まあ、だから心配するな」

 ヴィベールがゆっくり皆に語りかける様に話しかける。
 
「ここに来る奴らは、皆それなりの過去を抱えている。俺らは、貴族のみの騎士団みたいに、身分やら宗教やらの縛りはなく、農民出や町民出の者、しかもあぶれた者たちが多い。だから、深く過去は詮索せん。皆、ここからスタートし直せば良いと考えておる。だがな、騎士としての誇りを持ち、仲間と共に活動するためには、揺るぎない信頼が必要となってくる」

 ヴィベールはそう言うと皆を見渡した。

「最初、衛兵の詰所でわしは身分証明を求め出身を聞いたな。あれは唯一と言っていい皆の身体検査でもある。我々の隠密がそれぞれ出生を出身地まで確認しに行っておる」

 そう言うとヴィベールは、アヌシビを一目見て言葉を続けた。

「あのラクフと名乗った男は、堂々と嘘をつき、立派な偽の証明書を持って来おった」

 レイは、ノアと共にヴィベールの前に立ち、羊皮紙の身分証明を見せたのを思い出した。そしてノアの読めぬほどに汚れた身分証明も。……あれは、血の汚れだ。ノアには聞かなかったが、血だ。……ノアには、何かまずい所があったのだろうか?

 ヴィベールの話では、皆の確認をしたが、ノアの出身地マリニエール=シュル=メールだけ、まだ確認が取れてなかったらしい。

「ま、じきに確認が取れる。心配するな」

 ヴィベールがレイを見て最後にそう言ったが、レイは血塗られた身分証明を思い出し胸騒ぎがして、その後のアヌシビの話が耳に入らなかった。
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