特別にはなれなかった

『今も君の歌を探している』奏視点。

高校時代。
「このバンド格好よくね?」
そんな一言から始まった関係だった。

好きな音楽。
放課後のCDショップ。
気づけば毎日のように一緒にいて、自然とバンドを組んでいた。

ヴィジュアル系バンド・D-SOUNDSはメジャーデビューを果たし、玲と奏は夢のような時間を駆け抜けていく。

――ただ一つ。

奏だけは、ずっと隠していた。

玲と少しでも長く一緒にいたい。
その気持ちが、恋愛感情だということを。

玲の恋愛対象は女性だった。
だから奏は、“バンド仲間”として隣にいることを選ぶ。

それでもよかった。
そう思っていた。

玲に彼女ができるまでは。
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