文字の大きさ
大
中
小
19 / 80
2巻
2-3
「どうじゃ? なかなかのスピードじゃろ?」
「……えぇ、そうですね」
一個辺り五~十分くらい。箱に入れられた物品の種類が複数だと、手間取っているように見える。
(ちなみにじゃが、おぬしが鑑定したらどれくらいで終わる?)
(そうですね……)
小声で返答しながら周囲を見る。どうにも鑑定士たちからチラチラと見られているな。
見学に来る人間が珍しいとか、そんな感じか?
えーっと? 鑑定品が十個くらい入った箱が、五十個で台車一つ。それが六台か。全部でだいたい三千個だとすると……
(鑑定だけなら、一時間もあればできますね)
書類を作ったり、上司の面倒を押し付けられたりしなければな。
ランクと値段だけでいいのなら、魔力の消費も少なくて済むし。
(……なるほどの。せっかくじゃ、あやつの手元にある箱の中身を鑑定できるか?)
(えぇ、まぁ、そのくらいなら)
自分の目に魔力を集めて、箱の中にも小さな魔力を飛ばしていく。
──────────────────────────────────────────
【 名 前 】小さな魔石
【 ランク 】B
【 価 格 】4980エン
──────────────────────────────────────────
──────────────────────────────────────────
【 名 前 】冠ブリの王冠
【 ランク 】A
【 価 格 】1万1200エン
──────────────────────────────────────────
──────────────────────────────────────────
【 名 前 】薬草(三個)
【 ランク 】D
【 価 格 】380エン(一個につき)
──────────────────────────────────────────
誰かが冠ブリを狩りに行ったついでに、薬草も拾ってきたって感じかな。
あるはずの身がないけど、刺身にでもして食ったか? カマは塩焼きで、アラはブリ大根に――羨ましいな!
いや、ちょっと待て。ここへの持ち込みは生徒がメインだと言っていたはず。つまり、俺たちも冠ブリ狩りに行けるのか! いいな! 俺たちも冠ブリを狩りに行って、刺身とブリ大根を――っと、今は鑑定の時間だった。
(上から、Bランク、Aランク、Dランクが三つ。合計で1万7320エンですね)
(ん? なんじゃ? もう終わったのか?)
(えぇ、まぁ。このくらいなら)
朝飯前……いや、元いた国だとこの程度じゃ水すらもらえなかったか。
ここで働いている人たちはみんな、手元に飲み物を置いている。各自が好きなタイミングで、自由に飲み食いできるのだろう。
ジュースやコーヒーは当たり前らしく、焼いた食パンを片手に鑑定している強者もいた。なんとも羨ましい限りだ。
俺も帝国の鑑定士として生まれたかった……
(なんじゃ? 突然、遠い目をしおって。感情が死んどるぞ?)
(あー、いえ。気にしないでください。ちょっと、昔のことを思い出していただけなので)
そう、昔の話だ。今はもう、この幸せな国の住人だからな。
(ふん。まぁ、いいわい。もし何かあればいつでも聞くでな。遠慮なく部屋を訪ねてこい)
(ありがとうございます。その時は遠慮なく)
(うむ)
満足そうに頷いたルルベール教官が、小さな魔石を睨み続けていた男の側へと歩いていく。
「すまぬが、邪魔させてもらうぞ。調子はどうじゃ?」
「俺っちっすか!? えっと、ぼちぼちっす!」
「そうか。して、鑑定はどうじゃ?」
「はいっす! この髪飾りが、Aランクで、1万1200エンっす! 魔石はBランクで、値段はこれからっす!!」
ん? 魔石はいいにしても、髪飾り? それって〈冠ブリの王冠〉のことだよな?
「ぉん? そっちの学生さん、どうしたっすか? 不思議そうな顔してるっすけど、質問っすか?」
「あっ、いえ。なんでもないですよ」
疑問が顔に出ていたらしい。
鑑定士相手に下手な質問をしたら、仕事地獄の危機だからな。念のために……
ルルベール教官の背後に隠れて、リリの杖に指先を触れさせて会話する。
(教官たちの会話を聞いてちょっと思ったんだが。鑑定したものの名前は分かったりしないのか?)
(名前ですか? えっと、すっごく優秀な方が十年くらい修業してやっと分かる、って聞いたことがあります)
(……そうなんだ)
ほんの一握りのエリート。親方だとか、部長だとか呼ばれるレベルじゃなきゃ無理ってことか。
本人に聞いたら、『バカにしてるっすか?』って思われたかもしれないし。隠れながらリリに聞いて正解だったな。
(ん? あっちの二人。机に突っ伏して寝てる)
まさかのサボリか? おっかない筋肉の化物が来てるのに!? ルルベール教官に怒られるぞ!?
(いえ、普通に休憩ですね。魔力の回復を早めるために寝ているんだと思いますよ?)
(……なるほど)
ずっと鑑定し続けろ! 気絶している暇はないぞ! とは言われないわけだ。
それにしても、ベテランで名前が分かるレベルなら、物品の詳細が見られるのはほんの一握りか、一人もいないレベルなんだろうな。
やべぇ、本当に常識が違いすぎないか……?
(俺はできる限り大人しくしてることにするよ。悪いんだけど、フォローしてくれると助かる)
(分かりました! お任せください!)
ルルベール教官やリリたちが言う通り、やはり俺の鑑定はおかしいらしい。
俺の鑑定は、本当に鑑定じゃないのかもしれない。まさか、マジで〝みるみる君〟なのか……?
そんなことを思いながら、本物の鑑定士の姿をありがたく目に焼きつけていった。
一通り見せてもらって、鑑定室をあとにする。
「早い人でも一個二分。同じものなら同時に鑑定できるけど、違うものや劣化してランクが落ちたものは、個別に鑑定をする。詳細は見られない」
これが普通の鑑定。うん。ばっちり覚えさせていただきました。
「なんじゃ? 落ち込みながら鑑定室を出たと思うたら一人でブツブツと。不気味な奴じゃな」
ルルベール教官に変な目で見られた。自覚はあるが、さすがに不気味は酷くないですか?
いや、確かに教官の言葉通りなのかもしれないが……
「して、どうじゃった? まずは部下から聞くかの。リリ訓練生?」
「はい! えっと、皆さんすごかったのですが、どうしてもアルト様と比べてしまって……」
「うんうん。お姉さんも一緒かな。弟か妹にならしてもいいけど、上司はアルトくんがいいかな~、ってレベルに感じたわね~」
リリに続けてフィオランも評価を述べたが、意味が分からん。いやまぁ、『お姉さんも一緒!』って言っているから、リリと同意見なんだろうけどさ。
むしろ、『姉』と呼ばれることに恐ろしいほど執着しているフィオランが弟や妹にしたくないレベルって、どんな奴なんだろうか。見てみたいような、見たくないような……
語りだしたら長そうだから、聞くのはやめておいた方が無難か。
「二人の言う通りね。面白くもなんともなかったわ」
「申し訳ないですが、僕も同意見です。アルトさんの方が、なんだかゾクゾクしました」
「であろうな」
マルリアとマイロくんの意見も聞いて、ルルベール教官が大きく頷き、面白そうに笑みを浮かべる。一方、俺はデカい石を腹の中に押し込まれた気分だ。
今見てきた技術が本物の鑑定だって言うのなら、俺のは本当に〝ゴッド・ビジョン〟だな。
鑑定する時は左手で右目を覆って、『くくく、我が眼に見えぬものなどこの世に存在せぬ!!』とかなんとか言いながら、ニヤリと笑えばいいのか……?
「して、理解はできたかの? アルト准尉?」
「えぇ。嫌というほど痛感させられましたよ」
俺の常識は世間の非常識。今ならリリたちが戸惑っていた気持ちが理解できた。
誰よりも速く、より詳細に見られる。極めつきには、人の鑑定まで可能。
確かに、監禁されて、仕事地獄へ突き進む未来しか見えないよな。
「俺は、どうしたらいいですか?」
問題はそれだ。どうしたら仕事地獄を回避できるのか。どうしたら今の生活を維持できるのか。
「そうじゃな。できる限り使用は控える。それしかないじゃろ」
「ですが、それでは訓練校で支障が出ます」
教官が言いたいことは分かる。だが、俺が鑑定を使わないなんて無理だ。普通の職場ならまだしも、ここは軍だからな。
三日おきに一日休みがもらえる最高の職場だから、自分からやめる気はないけど、〝鑑定〟なしで生き延びられる気がしない。
「それに、鑑定を使わない俺なんて不要でしょう」
そもそもの話として『帝国に来ないか?』と誘われたのは、鑑定の技術があったから。鑑定が使えないとなれば、話は変わってくる。
「ふむ。おぬしが必要か不要かについては話し合いが不可欠じゃが、それは部下に任すわい」
ルルベール教官が、リリたちの方に視線を向けた。俺もつられてそちらを見るが……なんだろう? 怒ってる? 悲しんでる? 特にリリの表情が、いつもと違って見える。
「これは軍部としての意見じゃが、おぬしが高い評価を受けている部分は、大きく分けて二つある。部下をまとめ、育てる能力の高さ。大蛇の弱点を見抜いた観察眼」
「つまり鑑定ではないと?」
「うむ。儂やルドルフは、それらの評価は鑑定がもたらしたものだと知っておるがな。知らぬ奴は、どっちも別の能力だと思うじゃろ」
それは、まぁ、そうかもな。部下を育てることも、敵の弱そうな部分を見つけることも、鑑定ができない人だって普通にやっている。
「おぬしはこれから部下に指示する立場として、様々なことを学ぶ。そこに、鑑定で得た知識を加えるだけなら、世間に知られる心配も減るじゃろ」
「……なるほど」
俺の鑑定を知らない奴が見れば、准尉や幹部候補生の立場だから得た知識や情報だと思うわけか。
「おぬしがより高い地位に就けば、説得力は増すじゃろうしな。もし、己より高い地位の者に問われたら、儂に聞いたことにしておけばよい」
なるほどな。それなら多少は誤魔化せるか。
「もっとも、鑑定する時に魔力を悟られないようにする必要があるがの」
――ルルベール教官がそう言った瞬間、不意に押し飛ばされそうな殺気が、全身に降り注いだ。
教官から距離を取り、リリたちの前に立つ。
「え? 何? 二人とも、どうしたのよ!?」
「アルト様?」
教官は俺の姿を楽しそうに眺め、ニヤリと口元を歪ませた。
「ふむ。強く反応したのは、おぬしとマイロ訓練候補生だけか」
感じていた寒気がなくなり、額から冷や汗が流れ落ちる。
他のみんなは気付かなかったみたいだが、マイロくんは俺と同じく嫌な気配を感じたようだった。
「今のが魔力を向けられた時の感覚じゃ。おぬしが向けるものはずっと弱いが、魔力に敏感な者や訓練を積んだ者は多少なりと気付くじゃろ」
「……」
そういえば、俺をこの国に引き抜いてくれたベラルト少佐にも『俺に何かしたか?』と言われた。
今、ルルベール教官から向けられた殺気――いや、魔力の気配――は、小さな針を何千本も向けられているような独特の感覚だった。微弱だとしても気付く人は気付くと思う。
そうなると、人間を相手に使い続ければ、いずれはバレるだろう。ルルベール教官が言うように、なるべく封印した方がいいんだろうけど、でもな……
「おぬしの鑑定は、基本的には秘匿した方がいざという時に役立つじゃろ。儂が気付かんレベルになるまでは、我慢しておれ」
「……え?」
気付かん、レベル? ということは……
「隠せるんですか?」
「うむ。断言はできんが、大本は魔力のようじゃからな。鍛え方は分かっておる」
「……おお! さすがは教官!」
つまりはあれか!? 鍛えれば、バンバン鑑定が使えるようになるし、しかも周囲にバレない、と! そうなれば、仕事地獄に怯えずに済む。そういうことか!
「そのためにも、おぬしに会わせたい男が二人おるんじゃ。特別授業の続きじゃな。どうじゃ? 受けるかの?」
「はい! 誠心誠意、頑張らせていただきます!」
王国にいた頃と同じくらいの無理を要求されたら逃げるけどな。
そんな思いを胸に、俺は楽しげに笑うルルベール教官の背中を追いかけた。
「すまぬが、ここから先はアルト准尉だけじゃ」
ルルベール教官がそう言って、廊下の真ん中で立ち止まる。
俺の隣を歩いていたリリとマルリアが、目を丸くした。
「えっと、それは……」
「何よ? 私たちがいたら都合が悪いってわけ?」
「その通りじゃ。この先は、相応の実力が必要になる。おぬしらは、ここに控えておるか、儂を倒すか。二つに一つじゃな」
「「…………」」
「すまんの。アルト准尉だけなら守りきれるが、人数が増えれば、万が一がありえるでな」
いや、俺、どこに連れていかれるんだ? 物騒すぎないか? どうしよう。行きたくないんだが。面倒な雰囲気も感じるし、キャンセルして、このまま帰ったらダメだろうか? ……ダメだろうな。
フィオランやマイロくんも不安そうにしているが、続く言葉が見つからないらしい。
「うむ。みな素直ないい生徒じゃな。それでは行くぞ」
「……えっと、この先に何が?」
目の前には普通の廊下があって、その先には普通の部屋があるとしか思えないんですが。
「なに、来れば分かるわい」
「……そうですか」
どうやら、俺に拒否権はなさそうだ。もしくは、拒否するなら教官を倒す必要があるのか。
(見抜かれることなど恐れずに、鑑定は自由に使っていい。万が一の時は、自分が生き残ることだけを考えろ。いいな?)
小声でさらに忠告された。俺はほんとにどんな場所に連れていかれるんだ!?
ビクビクしながら教官の後に付いていく。
そうして、リリたちと別れてから曲がり角を二つ進んだ先。
「ここじゃな。できるだけ儂の後ろにおれ。それと、おぬしから話しかけてはならぬ。儂の質問にも答えてはならぬ。いいな?」
ずっと黙ってろ、ってことか。意図は分からないが、そのくらいならできるだろう。むしろ、何かを話せと言われるより、よっぽどいい。
コクリと頷いた俺の姿を見届けて、教官がドアをゆっくりと開いていく。
見えてきたのは、訓練校の制服を着た二人の男の姿。制服は新しく、歳も若そうだ。俺たちと同じ、新入生だろうか?
「お待ちしておりました、教官殿」
「……」
魔法使いの杖を持つ男が朗らかに微笑み、大盾を背負う男が無言で会釈をする。
それ以外には何もない、普通の教室だ。
教官に散々脅されたが、その対象はこの二人だったのか? それほどの脅威には思えないが……
「うむ。すまんな。少々立て込んでおっての」
ルルベール教官の雰囲気を見ても、それほど身構えている様子はない。むしろ、先にいた二人の方が、何かに怯えているな。それに、どことなく疲れて見える。
教官の許可もあるし、鑑定してみるか? だが、片方はどう見ても魔法使いだ。魔力には敏感だろう。まずは、様子を見た方がよさそうだな。
「二人が呼ばれた理由は分かっておるな?」
「えぇ。なんとなくですが、分かりますよ」
そう言った男が、杖を持つ手に力を入れる。男たちの視線は、ルルベール教官を見据えたままだ。
「我々が、王国の人間だから。ですね?」
王国!? この二人、あの腐った国の人間か!!
──────────────────────────────────────────
【 名 前 】バドラ(26歳)
【 犯罪歴 】なし
【奴隷価値】180万エン
【 補 足 】王国の地に生まれ、魔法に目覚める。
度重なる強制労働に耐えかね、部下と共に国を捨てた。
火の魔法が得意だが、使えるのは第一魔法のみ。
──────────────────────────────────────────
──────────────────────────────────────────
【 名 前 】バスダムル(21歳)
【 犯罪歴 】なし
【奴隷価値 】75万エン
【 補 足 】その体格を買われ、王国で貴族の専属兵となる。
度重なる過労と死の恐怖を感じる中で、脱国を決意。
敵の殲滅よりも、味方を守る方が得意。
──────────────────────────────────────────
……なるほどな、鑑定をしてみて分かった。俺と同じ脱国者か……強制労働と過労に耐えかねてというところまで同じなら、敵である可能性は低いように思えるのだが――
「……そこの方。私に何をされましたか?」
やはり、魔法使いの方は俺の鑑定に気付いたか。
「何、おぬしらが王国のスパイだとも限らないのでな。どうじゃ? 判別はできたかの?」
えぇ、まぁ。この二人なら大丈夫ですよ。そう答えそうになって、慌てて口を閉ざした。
ルルベール教官が、これまで感じたことのない強烈な殺気を放っている。向けられているのは、間違いなく俺だ。
『儂の質問にも答えてはならぬ』
ここに来る前に、そう言ってたな。つまりは喋るなということなのだろう。
やはり意図が読めないが、否やはない。
「「…………」」
「……ふむ。本当にスパイではないようじゃな。ちなみにじゃが、この者が二人に向けたのは、ただの魔力じゃ。害はないゆえ、安心していいぞ」
ルルベール教官の雰囲気が、普段の温厚な爺さんに戻っていく。
身構えていた脱国者の二人も、ほっと、肩の力を抜いていた。
「魔力と殺気。両方で、我々を試したというわけですね? しかし、純粋な魔力を飛ばせる人材がいるなんて、本当に恐ろしい国だ」
「ふん。この国を選んで亡命してきたのはおぬしらじゃろ?」
「えぇ。その通りです。この国には定期的な休みがあって、十分な給料ももらえる。後悔なんてしてませんよ」
しみじみと言葉を紡ぐ魔法使いと、何度も頷く盾の男。
「いい国だ」
実感の籠もった重い声。なんだろう、この湧き上がる感情は。この二人とは、心の底から仲良くなれる気がするな。
鑑定の結果を見ても、不思議な点はない。仮にスパイだったとしても、この国の素晴らしさを知れば普通に寝返るだろう。
そんな思いを込めて、無言で手を差し出す。声を出すのは、教官が怖いから無理だ。
「……えぇ、そうですね」
一個辺り五~十分くらい。箱に入れられた物品の種類が複数だと、手間取っているように見える。
(ちなみにじゃが、おぬしが鑑定したらどれくらいで終わる?)
(そうですね……)
小声で返答しながら周囲を見る。どうにも鑑定士たちからチラチラと見られているな。
見学に来る人間が珍しいとか、そんな感じか?
えーっと? 鑑定品が十個くらい入った箱が、五十個で台車一つ。それが六台か。全部でだいたい三千個だとすると……
(鑑定だけなら、一時間もあればできますね)
書類を作ったり、上司の面倒を押し付けられたりしなければな。
ランクと値段だけでいいのなら、魔力の消費も少なくて済むし。
(……なるほどの。せっかくじゃ、あやつの手元にある箱の中身を鑑定できるか?)
(えぇ、まぁ、そのくらいなら)
自分の目に魔力を集めて、箱の中にも小さな魔力を飛ばしていく。
──────────────────────────────────────────
【 名 前 】小さな魔石
【 ランク 】B
【 価 格 】4980エン
──────────────────────────────────────────
──────────────────────────────────────────
【 名 前 】冠ブリの王冠
【 ランク 】A
【 価 格 】1万1200エン
──────────────────────────────────────────
──────────────────────────────────────────
【 名 前 】薬草(三個)
【 ランク 】D
【 価 格 】380エン(一個につき)
──────────────────────────────────────────
誰かが冠ブリを狩りに行ったついでに、薬草も拾ってきたって感じかな。
あるはずの身がないけど、刺身にでもして食ったか? カマは塩焼きで、アラはブリ大根に――羨ましいな!
いや、ちょっと待て。ここへの持ち込みは生徒がメインだと言っていたはず。つまり、俺たちも冠ブリ狩りに行けるのか! いいな! 俺たちも冠ブリを狩りに行って、刺身とブリ大根を――っと、今は鑑定の時間だった。
(上から、Bランク、Aランク、Dランクが三つ。合計で1万7320エンですね)
(ん? なんじゃ? もう終わったのか?)
(えぇ、まぁ。このくらいなら)
朝飯前……いや、元いた国だとこの程度じゃ水すらもらえなかったか。
ここで働いている人たちはみんな、手元に飲み物を置いている。各自が好きなタイミングで、自由に飲み食いできるのだろう。
ジュースやコーヒーは当たり前らしく、焼いた食パンを片手に鑑定している強者もいた。なんとも羨ましい限りだ。
俺も帝国の鑑定士として生まれたかった……
(なんじゃ? 突然、遠い目をしおって。感情が死んどるぞ?)
(あー、いえ。気にしないでください。ちょっと、昔のことを思い出していただけなので)
そう、昔の話だ。今はもう、この幸せな国の住人だからな。
(ふん。まぁ、いいわい。もし何かあればいつでも聞くでな。遠慮なく部屋を訪ねてこい)
(ありがとうございます。その時は遠慮なく)
(うむ)
満足そうに頷いたルルベール教官が、小さな魔石を睨み続けていた男の側へと歩いていく。
「すまぬが、邪魔させてもらうぞ。調子はどうじゃ?」
「俺っちっすか!? えっと、ぼちぼちっす!」
「そうか。して、鑑定はどうじゃ?」
「はいっす! この髪飾りが、Aランクで、1万1200エンっす! 魔石はBランクで、値段はこれからっす!!」
ん? 魔石はいいにしても、髪飾り? それって〈冠ブリの王冠〉のことだよな?
「ぉん? そっちの学生さん、どうしたっすか? 不思議そうな顔してるっすけど、質問っすか?」
「あっ、いえ。なんでもないですよ」
疑問が顔に出ていたらしい。
鑑定士相手に下手な質問をしたら、仕事地獄の危機だからな。念のために……
ルルベール教官の背後に隠れて、リリの杖に指先を触れさせて会話する。
(教官たちの会話を聞いてちょっと思ったんだが。鑑定したものの名前は分かったりしないのか?)
(名前ですか? えっと、すっごく優秀な方が十年くらい修業してやっと分かる、って聞いたことがあります)
(……そうなんだ)
ほんの一握りのエリート。親方だとか、部長だとか呼ばれるレベルじゃなきゃ無理ってことか。
本人に聞いたら、『バカにしてるっすか?』って思われたかもしれないし。隠れながらリリに聞いて正解だったな。
(ん? あっちの二人。机に突っ伏して寝てる)
まさかのサボリか? おっかない筋肉の化物が来てるのに!? ルルベール教官に怒られるぞ!?
(いえ、普通に休憩ですね。魔力の回復を早めるために寝ているんだと思いますよ?)
(……なるほど)
ずっと鑑定し続けろ! 気絶している暇はないぞ! とは言われないわけだ。
それにしても、ベテランで名前が分かるレベルなら、物品の詳細が見られるのはほんの一握りか、一人もいないレベルなんだろうな。
やべぇ、本当に常識が違いすぎないか……?
(俺はできる限り大人しくしてることにするよ。悪いんだけど、フォローしてくれると助かる)
(分かりました! お任せください!)
ルルベール教官やリリたちが言う通り、やはり俺の鑑定はおかしいらしい。
俺の鑑定は、本当に鑑定じゃないのかもしれない。まさか、マジで〝みるみる君〟なのか……?
そんなことを思いながら、本物の鑑定士の姿をありがたく目に焼きつけていった。
一通り見せてもらって、鑑定室をあとにする。
「早い人でも一個二分。同じものなら同時に鑑定できるけど、違うものや劣化してランクが落ちたものは、個別に鑑定をする。詳細は見られない」
これが普通の鑑定。うん。ばっちり覚えさせていただきました。
「なんじゃ? 落ち込みながら鑑定室を出たと思うたら一人でブツブツと。不気味な奴じゃな」
ルルベール教官に変な目で見られた。自覚はあるが、さすがに不気味は酷くないですか?
いや、確かに教官の言葉通りなのかもしれないが……
「して、どうじゃった? まずは部下から聞くかの。リリ訓練生?」
「はい! えっと、皆さんすごかったのですが、どうしてもアルト様と比べてしまって……」
「うんうん。お姉さんも一緒かな。弟か妹にならしてもいいけど、上司はアルトくんがいいかな~、ってレベルに感じたわね~」
リリに続けてフィオランも評価を述べたが、意味が分からん。いやまぁ、『お姉さんも一緒!』って言っているから、リリと同意見なんだろうけどさ。
むしろ、『姉』と呼ばれることに恐ろしいほど執着しているフィオランが弟や妹にしたくないレベルって、どんな奴なんだろうか。見てみたいような、見たくないような……
語りだしたら長そうだから、聞くのはやめておいた方が無難か。
「二人の言う通りね。面白くもなんともなかったわ」
「申し訳ないですが、僕も同意見です。アルトさんの方が、なんだかゾクゾクしました」
「であろうな」
マルリアとマイロくんの意見も聞いて、ルルベール教官が大きく頷き、面白そうに笑みを浮かべる。一方、俺はデカい石を腹の中に押し込まれた気分だ。
今見てきた技術が本物の鑑定だって言うのなら、俺のは本当に〝ゴッド・ビジョン〟だな。
鑑定する時は左手で右目を覆って、『くくく、我が眼に見えぬものなどこの世に存在せぬ!!』とかなんとか言いながら、ニヤリと笑えばいいのか……?
「して、理解はできたかの? アルト准尉?」
「えぇ。嫌というほど痛感させられましたよ」
俺の常識は世間の非常識。今ならリリたちが戸惑っていた気持ちが理解できた。
誰よりも速く、より詳細に見られる。極めつきには、人の鑑定まで可能。
確かに、監禁されて、仕事地獄へ突き進む未来しか見えないよな。
「俺は、どうしたらいいですか?」
問題はそれだ。どうしたら仕事地獄を回避できるのか。どうしたら今の生活を維持できるのか。
「そうじゃな。できる限り使用は控える。それしかないじゃろ」
「ですが、それでは訓練校で支障が出ます」
教官が言いたいことは分かる。だが、俺が鑑定を使わないなんて無理だ。普通の職場ならまだしも、ここは軍だからな。
三日おきに一日休みがもらえる最高の職場だから、自分からやめる気はないけど、〝鑑定〟なしで生き延びられる気がしない。
「それに、鑑定を使わない俺なんて不要でしょう」
そもそもの話として『帝国に来ないか?』と誘われたのは、鑑定の技術があったから。鑑定が使えないとなれば、話は変わってくる。
「ふむ。おぬしが必要か不要かについては話し合いが不可欠じゃが、それは部下に任すわい」
ルルベール教官が、リリたちの方に視線を向けた。俺もつられてそちらを見るが……なんだろう? 怒ってる? 悲しんでる? 特にリリの表情が、いつもと違って見える。
「これは軍部としての意見じゃが、おぬしが高い評価を受けている部分は、大きく分けて二つある。部下をまとめ、育てる能力の高さ。大蛇の弱点を見抜いた観察眼」
「つまり鑑定ではないと?」
「うむ。儂やルドルフは、それらの評価は鑑定がもたらしたものだと知っておるがな。知らぬ奴は、どっちも別の能力だと思うじゃろ」
それは、まぁ、そうかもな。部下を育てることも、敵の弱そうな部分を見つけることも、鑑定ができない人だって普通にやっている。
「おぬしはこれから部下に指示する立場として、様々なことを学ぶ。そこに、鑑定で得た知識を加えるだけなら、世間に知られる心配も減るじゃろ」
「……なるほど」
俺の鑑定を知らない奴が見れば、准尉や幹部候補生の立場だから得た知識や情報だと思うわけか。
「おぬしがより高い地位に就けば、説得力は増すじゃろうしな。もし、己より高い地位の者に問われたら、儂に聞いたことにしておけばよい」
なるほどな。それなら多少は誤魔化せるか。
「もっとも、鑑定する時に魔力を悟られないようにする必要があるがの」
――ルルベール教官がそう言った瞬間、不意に押し飛ばされそうな殺気が、全身に降り注いだ。
教官から距離を取り、リリたちの前に立つ。
「え? 何? 二人とも、どうしたのよ!?」
「アルト様?」
教官は俺の姿を楽しそうに眺め、ニヤリと口元を歪ませた。
「ふむ。強く反応したのは、おぬしとマイロ訓練候補生だけか」
感じていた寒気がなくなり、額から冷や汗が流れ落ちる。
他のみんなは気付かなかったみたいだが、マイロくんは俺と同じく嫌な気配を感じたようだった。
「今のが魔力を向けられた時の感覚じゃ。おぬしが向けるものはずっと弱いが、魔力に敏感な者や訓練を積んだ者は多少なりと気付くじゃろ」
「……」
そういえば、俺をこの国に引き抜いてくれたベラルト少佐にも『俺に何かしたか?』と言われた。
今、ルルベール教官から向けられた殺気――いや、魔力の気配――は、小さな針を何千本も向けられているような独特の感覚だった。微弱だとしても気付く人は気付くと思う。
そうなると、人間を相手に使い続ければ、いずれはバレるだろう。ルルベール教官が言うように、なるべく封印した方がいいんだろうけど、でもな……
「おぬしの鑑定は、基本的には秘匿した方がいざという時に役立つじゃろ。儂が気付かんレベルになるまでは、我慢しておれ」
「……え?」
気付かん、レベル? ということは……
「隠せるんですか?」
「うむ。断言はできんが、大本は魔力のようじゃからな。鍛え方は分かっておる」
「……おお! さすがは教官!」
つまりはあれか!? 鍛えれば、バンバン鑑定が使えるようになるし、しかも周囲にバレない、と! そうなれば、仕事地獄に怯えずに済む。そういうことか!
「そのためにも、おぬしに会わせたい男が二人おるんじゃ。特別授業の続きじゃな。どうじゃ? 受けるかの?」
「はい! 誠心誠意、頑張らせていただきます!」
王国にいた頃と同じくらいの無理を要求されたら逃げるけどな。
そんな思いを胸に、俺は楽しげに笑うルルベール教官の背中を追いかけた。
「すまぬが、ここから先はアルト准尉だけじゃ」
ルルベール教官がそう言って、廊下の真ん中で立ち止まる。
俺の隣を歩いていたリリとマルリアが、目を丸くした。
「えっと、それは……」
「何よ? 私たちがいたら都合が悪いってわけ?」
「その通りじゃ。この先は、相応の実力が必要になる。おぬしらは、ここに控えておるか、儂を倒すか。二つに一つじゃな」
「「…………」」
「すまんの。アルト准尉だけなら守りきれるが、人数が増えれば、万が一がありえるでな」
いや、俺、どこに連れていかれるんだ? 物騒すぎないか? どうしよう。行きたくないんだが。面倒な雰囲気も感じるし、キャンセルして、このまま帰ったらダメだろうか? ……ダメだろうな。
フィオランやマイロくんも不安そうにしているが、続く言葉が見つからないらしい。
「うむ。みな素直ないい生徒じゃな。それでは行くぞ」
「……えっと、この先に何が?」
目の前には普通の廊下があって、その先には普通の部屋があるとしか思えないんですが。
「なに、来れば分かるわい」
「……そうですか」
どうやら、俺に拒否権はなさそうだ。もしくは、拒否するなら教官を倒す必要があるのか。
(見抜かれることなど恐れずに、鑑定は自由に使っていい。万が一の時は、自分が生き残ることだけを考えろ。いいな?)
小声でさらに忠告された。俺はほんとにどんな場所に連れていかれるんだ!?
ビクビクしながら教官の後に付いていく。
そうして、リリたちと別れてから曲がり角を二つ進んだ先。
「ここじゃな。できるだけ儂の後ろにおれ。それと、おぬしから話しかけてはならぬ。儂の質問にも答えてはならぬ。いいな?」
ずっと黙ってろ、ってことか。意図は分からないが、そのくらいならできるだろう。むしろ、何かを話せと言われるより、よっぽどいい。
コクリと頷いた俺の姿を見届けて、教官がドアをゆっくりと開いていく。
見えてきたのは、訓練校の制服を着た二人の男の姿。制服は新しく、歳も若そうだ。俺たちと同じ、新入生だろうか?
「お待ちしておりました、教官殿」
「……」
魔法使いの杖を持つ男が朗らかに微笑み、大盾を背負う男が無言で会釈をする。
それ以外には何もない、普通の教室だ。
教官に散々脅されたが、その対象はこの二人だったのか? それほどの脅威には思えないが……
「うむ。すまんな。少々立て込んでおっての」
ルルベール教官の雰囲気を見ても、それほど身構えている様子はない。むしろ、先にいた二人の方が、何かに怯えているな。それに、どことなく疲れて見える。
教官の許可もあるし、鑑定してみるか? だが、片方はどう見ても魔法使いだ。魔力には敏感だろう。まずは、様子を見た方がよさそうだな。
「二人が呼ばれた理由は分かっておるな?」
「えぇ。なんとなくですが、分かりますよ」
そう言った男が、杖を持つ手に力を入れる。男たちの視線は、ルルベール教官を見据えたままだ。
「我々が、王国の人間だから。ですね?」
王国!? この二人、あの腐った国の人間か!!
──────────────────────────────────────────
【 名 前 】バドラ(26歳)
【 犯罪歴 】なし
【奴隷価値】180万エン
【 補 足 】王国の地に生まれ、魔法に目覚める。
度重なる強制労働に耐えかね、部下と共に国を捨てた。
火の魔法が得意だが、使えるのは第一魔法のみ。
──────────────────────────────────────────
──────────────────────────────────────────
【 名 前 】バスダムル(21歳)
【 犯罪歴 】なし
【奴隷価値 】75万エン
【 補 足 】その体格を買われ、王国で貴族の専属兵となる。
度重なる過労と死の恐怖を感じる中で、脱国を決意。
敵の殲滅よりも、味方を守る方が得意。
──────────────────────────────────────────
……なるほどな、鑑定をしてみて分かった。俺と同じ脱国者か……強制労働と過労に耐えかねてというところまで同じなら、敵である可能性は低いように思えるのだが――
「……そこの方。私に何をされましたか?」
やはり、魔法使いの方は俺の鑑定に気付いたか。
「何、おぬしらが王国のスパイだとも限らないのでな。どうじゃ? 判別はできたかの?」
えぇ、まぁ。この二人なら大丈夫ですよ。そう答えそうになって、慌てて口を閉ざした。
ルルベール教官が、これまで感じたことのない強烈な殺気を放っている。向けられているのは、間違いなく俺だ。
『儂の質問にも答えてはならぬ』
ここに来る前に、そう言ってたな。つまりは喋るなということなのだろう。
やはり意図が読めないが、否やはない。
「「…………」」
「……ふむ。本当にスパイではないようじゃな。ちなみにじゃが、この者が二人に向けたのは、ただの魔力じゃ。害はないゆえ、安心していいぞ」
ルルベール教官の雰囲気が、普段の温厚な爺さんに戻っていく。
身構えていた脱国者の二人も、ほっと、肩の力を抜いていた。
「魔力と殺気。両方で、我々を試したというわけですね? しかし、純粋な魔力を飛ばせる人材がいるなんて、本当に恐ろしい国だ」
「ふん。この国を選んで亡命してきたのはおぬしらじゃろ?」
「えぇ。その通りです。この国には定期的な休みがあって、十分な給料ももらえる。後悔なんてしてませんよ」
しみじみと言葉を紡ぐ魔法使いと、何度も頷く盾の男。
「いい国だ」
実感の籠もった重い声。なんだろう、この湧き上がる感情は。この二人とは、心の底から仲良くなれる気がするな。
鑑定の結果を見ても、不思議な点はない。仮にスパイだったとしても、この国の素晴らしさを知れば普通に寝返るだろう。
そんな思いを込めて、無言で手を差し出す。声を出すのは、教官が怖いから無理だ。
感想 883
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
【老化返却】聖女の若さは俺の寿命だった〜回復魔法の代償を肩代わりしていた俺を追放した報いだ。回復のたびに毛が抜け、骨がスカスカになるが良い〜
「寿命を削って回復してやってたのに……感謝すらしないんだな」
聖女パーティの荷物持ち兼回復術師だった俺は、ある日突然パーティを追放された。
理由は「回復魔法のコストが寿命で、もうすぐ死ぬ無能はいらない」という勝手な思い込み。
だが、彼らは知らなかった。
俺の正体が、この世界の生命を司る世界樹の根源そのものだったことを。
俺の寿命は無限であり、俺がパーティにいたからこそ、彼らは「若さ」と「健康」を維持できていたのだ。
「俺がいなくなったら、誰が君たちの老化を止めるの?」
俺がいなくなった途端、聖女たちの身体に異変が起きる。
回復魔法を唱えるたびに、自慢の金髪はバサバサと抜け落ち、肌は土色に。
若さに溺れていた彼女たちは、骨がスカスカになり、杖なしでは歩けない老婆のような姿へと変わり果てていく。
一方、解放された俺は隣国の美少女皇女に拾われ、世界樹の力で枯れた大地を森に変える「現人神」として崇められていた。
「今さら戻ってきて? ……悪いけど、そのハゲ散らかした老婆、誰だっけ?」
すべてを失ってから「俺」の価値に気づいても、もう遅い。
これは、恩を仇で返した連中が、自らの美容と健康を代償に破滅していく物語。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中
異世界転移した僕と彼のスキルは「貯金箱」と「犬」だったので即追放。でもこれが意外と強かった
高校の英語の授業中、勇者召喚で僕たちクラスメイト7名は異世界にやって来た。
目的は魔王討伐では無くて、高難易度ダンジョンの封印?!
でも僕ユイトのスキルは「貯金箱」、エイジは「犬」。
役立たず認定で、二人とも城を追放されてしまった。
のんびり暮らそうとしたけどそうもいかなくなって。
僕たちは奇妙なスキルを駆使して異世界で生き延びる。
緩~いファンタージ物語です。のんびりと書いていきます。
本文はなるべく簡潔に、サクサク進むようにしています。
暇つぶしに読んでいただいて、楽しんでくださると嬉しいです。
なろう様にも投稿。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた