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8章:学園に入学したらしい
83話:星舞雪都の苦難
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授業が終わり、生徒たちは寮へと戻る。
雪都も璃杏達と帰り、寮の自室へと戻った。
制服を脱ぎ普段着に着替えさせてもらい、そのままベッドに倒れこむ。
数秒突っ伏したあと雪都は仰向けになり目を瞑る。
雪都の表情はとても辛く、苦しそうだ。
「はぁ・・・なぜ、黒川先生はあんなことを言ったのでしょうか。」
目を瞑ると黒川隼人の顔が鮮明に思い出される。
とても・・・歪んでいた。
人とは思えないことを言ってきた。
なぜ・・・あんなことを・・・。
そんな疑問が雪都の頭の中を埋め尽くす。
雪都がここまで悩むことになったのは昼休みに黒川隼人に呼び出されたのがきっかけだった。
♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟
雪都は黒川隼人について行き、人気のないところまで来た。
てっきり職員室に行くのかと思っていたため、雪都は少し驚いたと同時に不信感を少し抱く。
「あの黒川先生・・・なぜ、僕をこんな所に連れてきたんですか?」
雪都は黒川先生に聞く。
後ろを向いていた黒川隼人は雪都の方を向く。
その顔はいつも通りの優しいほほ笑みを浮かべている。
「・・・・・・君に少し聞きたいことがあってね。」
そう言うと黒川隼人は微笑みが消える。
その顔に雪都は恐怖心をおぼえる。
「な、なんでしょうか?」
「君は月鍵璃杏と仲がいいよね?」
黒川隼人からでた言葉はそんな言葉だった。
「はい。それがどうしましたか?」
雪都はその質問に軽く驚きつつ答える。
「いや・・・なんで、あんな子と関わるのかなって純粋に思ったんだよね。だって、あの子は『忌々しい呪われた子』でしょ?」
黒川隼人から発せられた言葉に雪都は思いっきり黒川隼人を睨みつける。
「確かに、たくさんの令嬢や子息にそのようなことを言われていますが・・・彼女は僕にとっては大切な存在で普通の令嬢だと思っています。」
雪都の中で月鍵璃杏という存在は歳を重ね関わりをたくさん持つごとにかけがえのない存在になっていた。
「そうか・・・それは好都合。」
黒川隼人はぽつりとそう呟いた。
雪都はその呟きに眉をひそめる。
「あの・・・先程から何故、璃杏様のことについて話されているのですか?」
少し強い口調で言う雪都。
「ああ。それはね・・・・・俺があいつが大っ嫌いだからだよ。勝手に人の物を自分のものにしやがった・・・許せるわけがない。魔力が強くて銀色の髪を持ったやつは、人のものを勝手に奪うやつしかいないんだなあ。」
だんだん顔が歪んでくる黒川隼人。
恨みや憎悪そんな感情が混ざった表情をしている。
黒川隼人は結恵を殺したいほど恨んでいる。
美結を呪うほど愛している。
そして、閉じ込めておいた・・・光の精霊をその子孫が結界を解いてしまった。
彼にとってそれは、結恵に奪われた精霊と同様なことをされたとしか思わなかった。
また、自分の物を奪われた。
そんな感情が黒川隼人──狗社隼真を狂わせた。
雪都はそんな黒川隼人の顔を見て寒気がした。
なぜ、そこまで月鍵璃杏を恨むのか・・・先祖に何か恨みでもあるのか。
雪都にとってはそれは不思議なことでしかなかった。
「あのさ。雪都様は闇魔法を使えるんだよね?」
雪都は一瞬固まった。
雪都が使える魔法は2つある。
土魔法と・・・闇魔法だ。
しかも、闇魔法の方が1番強い。
魔力も高いため、誰かを永遠に眠らせるのは容易い。
そして、雪都は黒川隼人が何を言おうとしているのか・・・気づいてしまった。
ドクン・・・ドクンと心臓がなる。
嫌な感じがする。
「その反応は使えるってことね。それじゃあさ、俺のお願い聞いてよ。」
そう言うと黒川隼人は雪都の耳の方へ顔を寄せ言った。
「月鍵璃杏を殺せ。」
♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟
雪都は瞑っていた目を開く。
あのことを思い出すだけで冷や汗をかき、心臓がドクン、ドクンと鳴る。
僕は・・・本当に璃杏様を殺さなくてはいけないのでしょうか。
殺す・・・この手で・・・大切な人を・・・愛してしまった人を・・・。
手を天井にかざしぐっと力を込める。
「嫌です・・・殺したくありません。」
泣きそうな声が部屋の中に響いた。
雪都も璃杏達と帰り、寮の自室へと戻った。
制服を脱ぎ普段着に着替えさせてもらい、そのままベッドに倒れこむ。
数秒突っ伏したあと雪都は仰向けになり目を瞑る。
雪都の表情はとても辛く、苦しそうだ。
「はぁ・・・なぜ、黒川先生はあんなことを言ったのでしょうか。」
目を瞑ると黒川隼人の顔が鮮明に思い出される。
とても・・・歪んでいた。
人とは思えないことを言ってきた。
なぜ・・・あんなことを・・・。
そんな疑問が雪都の頭の中を埋め尽くす。
雪都がここまで悩むことになったのは昼休みに黒川隼人に呼び出されたのがきっかけだった。
♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟
雪都は黒川隼人について行き、人気のないところまで来た。
てっきり職員室に行くのかと思っていたため、雪都は少し驚いたと同時に不信感を少し抱く。
「あの黒川先生・・・なぜ、僕をこんな所に連れてきたんですか?」
雪都は黒川先生に聞く。
後ろを向いていた黒川隼人は雪都の方を向く。
その顔はいつも通りの優しいほほ笑みを浮かべている。
「・・・・・・君に少し聞きたいことがあってね。」
そう言うと黒川隼人は微笑みが消える。
その顔に雪都は恐怖心をおぼえる。
「な、なんでしょうか?」
「君は月鍵璃杏と仲がいいよね?」
黒川隼人からでた言葉はそんな言葉だった。
「はい。それがどうしましたか?」
雪都はその質問に軽く驚きつつ答える。
「いや・・・なんで、あんな子と関わるのかなって純粋に思ったんだよね。だって、あの子は『忌々しい呪われた子』でしょ?」
黒川隼人から発せられた言葉に雪都は思いっきり黒川隼人を睨みつける。
「確かに、たくさんの令嬢や子息にそのようなことを言われていますが・・・彼女は僕にとっては大切な存在で普通の令嬢だと思っています。」
雪都の中で月鍵璃杏という存在は歳を重ね関わりをたくさん持つごとにかけがえのない存在になっていた。
「そうか・・・それは好都合。」
黒川隼人はぽつりとそう呟いた。
雪都はその呟きに眉をひそめる。
「あの・・・先程から何故、璃杏様のことについて話されているのですか?」
少し強い口調で言う雪都。
「ああ。それはね・・・・・俺があいつが大っ嫌いだからだよ。勝手に人の物を自分のものにしやがった・・・許せるわけがない。魔力が強くて銀色の髪を持ったやつは、人のものを勝手に奪うやつしかいないんだなあ。」
だんだん顔が歪んでくる黒川隼人。
恨みや憎悪そんな感情が混ざった表情をしている。
黒川隼人は結恵を殺したいほど恨んでいる。
美結を呪うほど愛している。
そして、閉じ込めておいた・・・光の精霊をその子孫が結界を解いてしまった。
彼にとってそれは、結恵に奪われた精霊と同様なことをされたとしか思わなかった。
また、自分の物を奪われた。
そんな感情が黒川隼人──狗社隼真を狂わせた。
雪都はそんな黒川隼人の顔を見て寒気がした。
なぜ、そこまで月鍵璃杏を恨むのか・・・先祖に何か恨みでもあるのか。
雪都にとってはそれは不思議なことでしかなかった。
「あのさ。雪都様は闇魔法を使えるんだよね?」
雪都は一瞬固まった。
雪都が使える魔法は2つある。
土魔法と・・・闇魔法だ。
しかも、闇魔法の方が1番強い。
魔力も高いため、誰かを永遠に眠らせるのは容易い。
そして、雪都は黒川隼人が何を言おうとしているのか・・・気づいてしまった。
ドクン・・・ドクンと心臓がなる。
嫌な感じがする。
「その反応は使えるってことね。それじゃあさ、俺のお願い聞いてよ。」
そう言うと黒川隼人は雪都の耳の方へ顔を寄せ言った。
「月鍵璃杏を殺せ。」
♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟
雪都は瞑っていた目を開く。
あのことを思い出すだけで冷や汗をかき、心臓がドクン、ドクンと鳴る。
僕は・・・本当に璃杏様を殺さなくてはいけないのでしょうか。
殺す・・・この手で・・・大切な人を・・・愛してしまった人を・・・。
手を天井にかざしぐっと力を込める。
「嫌です・・・殺したくありません。」
泣きそうな声が部屋の中に響いた。
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