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第2章 蜜月
第8話 蜜月の甘い落とし穴(前編)2※
しおりを挟む婚礼の儀の後――。
フィオーレはデュランダルによって、王都の貴族街にある屋敷へと連れてこられていた。
国境から王都までは半日足らずだったが、もうすっかり日は暮れてしまっている。
馬車から降り立った彼女は、想像していた新居とは全く違う屋敷に、大変驚かされていた。
屋敷は、はちみつ色の煉瓦で出来た大層大きな建物で、庭には色とりどりの花が植えられていた。まるで童話の中の建物で、妖精でも住んでいそうな雰囲気がある。
(デュランダル様とのギャップがすごい……)
フィオーレの隣に立つ、藍色の短髪に射るような紫色の瞳をした、長身痩躯の青年――エスト・グランデの騎士を束ねる将軍デュランダル・エスト・グランデ。
(彼の剣技は大陸一、神をも恐れぬ不遜な態度で、諸国からも恐れられている――とっても怖い人のはず――?)
「今まで城に住んでたから、新しく外に作らせたんだ。オルビスの姫さんと結婚するって言って作らせたら、こんな屋敷になった」
そうして屋敷の中に通される――。
建物の中は、古めかしい雰囲気を残した家具たちがひしめく。
(中はわりと普通――?)
フィオーレはデュランダルに案内されて階段を登り、最奥の部屋に通された。
そして――。
「ここが俺とお前の寝室だ――」
(うわぁ……)
フリルにリボンのついた白いカーテンに、可愛らしい動物の置物や、ピンク色の花が飾ってあった。
(か、可愛らしすぎる……!)
「一応、姫さんの姿絵を見せてから、頼んだんだが……」
フィオーレはデュランダルをちらりと見上げた。
(絶対、デュランダル様の好みじゃなかったはず……)
彼女は彼に正面から近づく。
フィオーレは、デュランダルが身に付けているエスト・グランデ騎士団のコートの袖をツンツンと引っ張った。
そうして、彼女はもじもじと告げた。
「指輪といい、屋敷といい、とっても嬉しいです」
デュランダルが息を呑んだ気配がする。
すると、彼女の上に影が射した。
いつの間にか彼女の唇は、彼の唇で塞がれてしまっていた。
「ふぇ、ふぁ、あ――」
フィオーレの口の中を、デュランダルがぐちゅぐちゅと蹂躙していく。
「はあ……誘ってきたのはお前だからな――」
(え? え? 私、何かした?)
そうしてまた、彼女に彼が唇を重ねてきた。
いつの間にか、フィオーレはドレスの肩口にある紐をしゅるりと解かれた。
ぱさりと音を立ててドレスは地面に落ちる。
「デュランダルさま……ふぇ、は、はやい……んぅっ」
「はあ……女のドレス、脱がすのは得意なんだよ――」
彼が吐息とともに告げてくるので、フィオーレの頭はくらくらしてくる。
デュランダルが下着姿になったフィオーレの、なだらかな双丘を揉みしだきはじめた。
「っあ、あん、あ、デュラン……さ」
「相変わらず、声、可愛いな」
デュランダルの手つきと艶めいた声で、彼女は脚の脚がじわじわと濡れていくのを感じる。
フィオーレがもじもじしていると――。
「下着を脱げ」
「ふぇ――?」
ぴたりと彼の動きが制止した。
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