無資格の俺は、魔法使いと呼ばれない
魔法使いになることを、諦めた。
ロイには魔法の才能があった。
対象を見て「燃えろ」と言えば燃え、「砕け散れ」と言えば砕け散る。
ただ、それだけ。
だが彼の魔法は、既存の魔法使いたちには認められなかった。
何度試験を受けても不合格。
やがてロイは魔法使いになることを諦め、土木作業員として平凡に暮らしていた。
そんなある日、仕事現場で事故が起きる。
崩れた瓦礫の下に、人がいる。
周囲の力ではどうにもならない。
「魔法使いを呼べ!」
誰かが叫んだ。
人命に関わる魔法の使用を許されているのは、資格を持つ魔法使いだけ。
ロイに資格はない。
それでも、瓦礫の下にいる人間と目が合った。
「どけッ!」
――そしてロイは、捕まった。
彼を捕らえたのは、年下の正規魔法使い・リタ。
本来なら罪人となるはずだったロイに、裁判所が言い渡した罰は――
「魔法使いリタの補助魔法師として仕えよ」
こうして、とっくに魔法使いを諦めた男は、魔法を仕事にすることになった。
しかも自分を引き取った女は、会うたび平然とこう呼んでくる。
「行くわよ、無資格」
「……俺にはロイって名前があるんだけど」
誰にも魔法使いと認められなかった男と、
そんな男を勝手に認めた魔法使い。
これは、“魔法使い”と呼ばれない男の物語。
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